芸術家に必要な3つの大事な要素を考える
彫刻家の大黒貴之です。
アート作品はいかにして後世にまで残っていくのでしょうか?
「巨大アートビジネスの裏側-誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか」(石坂泰章【著】)によると作品が制作されてから60年後が、その大きな節目になるのだといいます。
それは以下のようなプロセスを踏んでいくそうです。
1.ある人が最初に作品を購入する(購入から最初の1ヶ月後にも鮮度が保たれているかどうか)
2.作家の世代が第一線から退く(作品制作から約30年後の評価)
3. 作品を購入した所有者が亡くなった時、作品を他のコレクターや美術館が購入するのかどうか(作品制作から約60年後の強度)
3の時点がだいたい作品の制作後60年になるのだといいます。
しかしのプロセスを眺めると作品が誕生した時点で、それが良いのかどうかを知ることは極めて難しいと考えます。それではどのようにしてその良し悪しを知ることができるのでしょうか。
学生時代、大学の先生から 「作品ができた時、それが本当にいい作品かどうかはとどのつまりはわからない。最終的には その作家の人柄が大事になってくる」 と言われたことがあります。
当時はその真意がよくわかりませんでした。
2017年頃、世界の最前線で戦ってこられたアートに関わる会社の社長の講演会に出席させていただいたことがありました。
そのときのやりとりです。
社長:「アートマーケットで価格が高くなった作品が後世に残るかどうかはわからない」
大黒:「では、その作品のどのようなところを観て良いかどうか判断するのですか?」
社長:「その作家の人柄を観る」
僕は20年前に大学で聞いたことと同じことを思い出しました。
作家には、資格や免許がありません。
あるのは作品と実績、あと人間力(人柄)なのだと思います。
・作品
美的感覚の鋭い独創的な
アートの文脈
世に問いかける
異質な…
あと、量
数稽古が必要
量が増えれば必然的に質も上がる
ただし集中しながら
・実績
今までに作家としてどのような足跡を刻んできたか
それは信用を測る1つの指標になる
・人間力(人柄)
作家自身から滲み出る凄みや魅力
人間力
それは人から人に電波していき、良縁になっていく
良い作品は時間が経てば経つほどに味わいが深まります。
本物の作品を観ている人、いわゆる「目の肥えた人」は、作品の良し悪しが直観で分かるのだといいます。
作家は、自分が美しいと信じる作品を生み出し 一つ一つの発表の機会を大切する。 後は、人間力で勝負する。
先述の3つの要素がリンクし、かつ、長い時間の圧力に耐えることができた強度のある作品が後世にも残っていくのでしょう。
その作品が本当に良いのかどうかがわかるには
どうしても長い時間がかかるものなのです。
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