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豊島紀 ⑲棋士の研究についての研究1

『伊藤園お〜いお茶杯第64期王位戦挑戦者決定リーグ紅組 豊島将之九段ー徳田拳士四段戦』の日(春分の日)はずっと外に出ていたのでたまにスマホでチラチラと途中経過を見てたのだが、明らかに押されていて形勢が悪い。常に「負けるのでは」とおびえて生きているわりにじっさい負けそうになるとさらに動揺する。

豊島先生が『将棋フォーカス』の新講師就任で「これからは普及や後進の育成に軸足を移すのでは」などとさんざん言われてるのがアタマの中にぐわーっとよみがえる。この頃やたら「普及をやる豊島」がクローズアップされてるのは「豊島は弱くなってきている→将棋フォーカスの講師→普及に力を入れる→弱くなるのもやむなし」……とか思う人が増えたのか、なんて考えはじめるともうアタマの中グルグルである。

(しかし将棋フォーカスの講師やるってだけでそんなことを言われるというのもすごい。われわれは豊島将之を「食事と風呂とトイレと睡眠時間以外はすべて将棋の研究をやっている男」と思ってるのではないか?

でも、どんだけ勝ちまくる者でもやがて勝てなくなるのは世の理。藤井聡太だっていずれ「あー、藤井もさすがに衰えてきたな」と言われる日が来るのだ、って考えると気が遠くなりそうですが。って藤井聡太の話ではない、豊島さんのことです。今、豊島将之という棋士が何らかの過渡期を迎えてるんではないかというのは確実な気がする。普及の話じゃなくて。で、これを契機にいい方に向かうのかそれとも、というのを考え出すとまたグルグルである。私はこういう時に「豊島先生なら大丈夫! 信じてついて行きます!」とか言えない人間なのだ。そう思っていない、という意味ではない(この気持ちをわかってくれる人と話をしたい)。

さて、そのうちスマホも見られない状況になり、夕方ぐらいにやっとへろへろになりながらアプリを見たら勝っていた。この時点で二敗したら痛いなあと思いながら負けた時の言い訳を考えまくっていたので(誰に対する何の言い訳なんだよ)ホッとして倒れそうになった。

勝ったら勝ったでまたいろいろ考えるんだけど、思ったことは、豊島さんの研究の方法が変わってきている(or変えようとしてきている)んじゃないのか。なんて、そもそも棋士の研究ってものが、具体的にどのような作業か知らないで言ってるわけだが。私は将棋を、というか豊島を見始めてからずっと「棋士の研究」に夢中かも。すごく興味深い。とにかく、豊島将之が朝起きて、パソコンに向かってまず何をするのか、どういうことをするのかが知りたい。そして人によってやり方がどうちがうのかとかいうことも知りたくてしょうがないがそれこそ企業秘密か。

そんなことを考えているうちに、高槻将棋まつりプレイベント市制施行80周年記念対局 豊島将之九段vs佐藤天彦九段が始まって、終わった。

現在、対佐藤天彦公式戦14連勝中で、これは公式戦じゃない記念対局だが豊島せんせいが負けてしまいました。じつはこの対局は、個人的にたいへん注目すべき対局だったのである。というのも、「棋士の研究」というものについて考えを深めようとするきっかけになるタイミングでやってきた運命の対局だったからだ。なんのことかわかりませんね。続きはまた明日(以降)。

たんたんとなさっている豊島せんせいのスーツの衿にははにたん

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