見出し画像

【料理と食べる事が好き】でそれを仕事にしてみた結果。見守る犬と10年前の決断 ~学生時代と1年目完結編~ 後編

入社して初めて迎えた冬

『D!ガロニ(付け合わせの野菜)火入れてるんできてるんか!?』

D:『はい!』

『○○は!?』

D:『はい!それもできてます!』

Dの頭の中・・(次はお皿を並べて、魚料理までにガロニを盛り付ける。○○さんがそろそろ肉の火入れに入るからコンベクションの温度157°に設定してetc)

画像6

気づけば頭の中で段取りを組み立てられるようになり、鈍臭く動いてた自分も少しづつスムーズに動けるようになってきた。楽しい!というより気持ちいぃ!

水泳の北島選手のインタビューの「ちょー気持ちいい!」と同じ感覚かもしれない。満席のテーブル。気品あるゲストが華やかに談話する一方、厨房では怒号が鳴り響く。

『○○テーブル次の料理行くぞ!おい!これ冷たいわ!温めなおせ!』

『ソースがシャバいわ!もっと濃度詰めろ!もたもたするなよ!』

『そのゲストは甲殻類アレルギーや!オマール海老じゃなくて鰆でいくんや!今一度確認せぇ!!』

脳からアドレナリンが出ていただろう。まぁ単純なミスはするし、深く考えれてない事は明瞭なのだが。

画像2

料理人は人が楽しんでいる時に働く者

基本的に土日も仕事だし、クリスマスは1年で最も忙しくなる日だ。当然正月休みなんかもない。どうしも周りの同い年が土日休み、長期休暇を取るところを身近で感じてしまうと、分かり切っていたけど自分で選んだ道なので仕方がない。だがすこし寂しくもなる。

そんな料理人の一日の流れを見てみよう

スケジュールでは9時出勤。15分前に出勤?そんなわけがない・・

7時過ぎには現場に入る。

まずまな板の準備、ラップや台ふきなどの備品の用意。他の人が使いやすいように定位置にスプーンや衛生面に欠かせないゴミ手袋などを設置。次にありとあらゆるところをきれいにアルコールで吹き上げる。そこまでやってから一日の自分のスケジュール確認と包丁研ぎ。

次に昨日使った食材のチェックと納品されているものを綺麗に整理する(賞味期限の近い物から出しやすい位置に置きなおす)。

それが終わるとやっと自分の仕事に取り掛かる。できるだけ早く丁寧に。

そうこうしてると続々人が出勤してくるので、バカでかい声で「おはようございますぅぅう!!」と言たところでやっと一日が始まる。

でとりあえず怒られる。もう慣れっこさ・・。日々自分の甘さを痛感しつつも、次からその失敗をしないよう改善するだけだ。

朝のミーティングが始まる。英語・・

画像8

(始まった、もぉ何言ってんのかちゃんと聞き取れん・・)

とりあえず目だけは合わせて首を必死に縦に振る。この動作はとても大切だ。

一時期、携帯の録音アプリで録音してこっそりトイレで再生させていたのが懐かしい。

仕込みをしてランチ営業に入る。

もう一段階ギアを入れ直し営業に臨む。なんとかそれが終わり「あー!休憩だ!!!」なーーんてゆっくり言ってられるわけもなく、ディナーの仕込みに入る。予約が少ない日や団体がいないときはゆっくりできるが、1年目なので無理なのだ。

あとここ自分やっておくので休憩行ってください!」と心は涙でびしょびしょになりながら笑顔で先輩に伝えて、作業に戻る。

まぁ気持ちを汲んで手伝ってくれたり、お前あんま休んでないだろ?と気を使ってくれる方もいる。天使だ

ある日の一日を出したけど、これ以上に忙しい日は休憩とらずに立ったまま飯を腹にぶち込み15時間ぶっ通しで仕事の日もあったし、暇な日はもっと緩やかな一日を送れる。

だけど第一章で言った通り、開業1年目で暇なこともなく泊まり込むことも多かった。

画像7

そして冬が明けたころ頃メンタル面で問題が発生した。

そう人間関係

「D!だからよぉ。。これOOにしろゆーたやろ」「OO準備しとけや!」

自分でやれや・・あんたの手足じゃないしこっちも仕事あんのによぉぉ!!

正直もの凄いストレスだった。入れ替えの激しい食の世界。中途入社で入ってくる人間もそれなりにいて自分の部署にも入った。

めんどくさい事や新人がやって当たり前だと思ってる事をバンバン圧をかけてくる。トリプルバレルの強襲。

普段からほとんど怒ることのない自分もある時糸が切れた。そうx\rオールインを仕掛けたのだ。一通り言いたいことをまくし立てて言った。いや言ってやった

それが終わるとエレベーター近くの壁に拳が物凄い勢いで飛んでいた。もちろん誰もみなてないところでだ。自分でも驚いた。

画像2

ポーカーの台パンの起源はもしかしたらここから始まってしまったのかもしれない。その後もパワハラ?をやめる気配がなく、自分ではどうしょうもないので人事を頼った。とてつもなく優秀な人事の方の対応は早かった。その後の事は詳細をここで呟くわけにはいかないので簡潔に言うと、気づいた時にはその人は居なくなっていた。

年が明け遅めの冬休みをとるタイミングで、サロンデュショコラ(95年パリで始まったチョコレートの祭典)が開催されてると聞き、その場所に知り合いと向かった。

そこに出店している日本人の方と話す機会が訪れた。

画像3

画像4

↑今年のサロン・デュ・ショコラ

D:「○○ホテルで料理人として働いてる者です!」

??「なるほど。で、D君は何故料理をしているの?」

D:『ん?ナゼ・・・? へ?』

予期せぬ質問だった。何故。。?

D:「まだまだ未熟な面もあり成長している段階ですが、根本は料理が好きだからしています!」

??「まずね。ホテルにいる時点でスタートがダメだね。保険とかお金とか気にせず、もっと厳しい所に身を置かないと。君ぐらいの世代でパリで活躍してる者はたくさんいるよ」

今思えば鼓舞してくれていたのかな?そう思うと同時に感謝の気持ちさえも芽生える。

が、当時は凄くモヤっとして'なんで今日会った人間にそんなんいわれなくてはいけないのか?マジ意味わからんやろ'とシンプルに悔かったのを覚えてる。いや今この執筆中でも少し悔しい

画像5

ただその人物のことを後ちゃんと調べると、まぁとてつもなくすごい人だった。メディア露出や本も多数出しており、パリや日本に自分の店を持つ人物であった。奥さんは某元アナウンサー。この時は自分の心の持ち用がまだまだ未熟であった。

そしてその帰り道やけにあのワードが心に引っかかる。

「やっぱもっと厳しい所に身を置かないと。君ぐらいの世代でパリで活躍してる者はたくさんいるよ」

その年バタバタの開業となったホテルはミシュラン最高ランクの5つ星を獲得した。がレストランはミシュランの星を取ることはできなかった。(数年後一つ星を取ることとなる) そしてあのワードが引っ掛かったまま2年目編に続く・・

★最後に

1年目は言い方は悪いが"使われる立場になる"

いくら自分がこうしたい、その意見には反対だと思っていてもなかなか行動や発言するのは難しいと思います。なら自分に後輩や発言権が取れる役職までは悔しいが胸の中にしまって、目の前の仕事に対して全力で気を遣い、Yesmanにはならない程度の"上司から見て使いやすく自ら動ける人間"となるかと当時は考えてました。

この考えは合ってるのか分からないですが、ただの自分の意見としてとらえてもらえれば幸いです。

見栄や虚勢などの無駄なプライドは自分の成長の妨げになるので全て捨てようと思いながら当時仕事をしていました。

が、これがなかなかに難しい。

それと前編で自分が料理の道に行く話をしましたが、[なぜ数ある仕事の中から料理なのか]これは一番それが身近だったからです。

自分の父親が和食の会社に属しており、子供の頃おせち料理を手伝ったりしてました。当時全然興味なかったけど、父親と微妙な関係だった自分としては印象深い思い出の一つです。

それと父親が家で度々料理している姿を見たりして育ちました。で大学を辞めたいと思って次何するかと考えたときに、料理してみたいなぁと感じました。ただ自分は西洋(特に当時はイタリア)が好きだったので、西洋料理人になろうと至ったわけです。父親は今も聞いてきませんが、和食ではなくなぜ西洋料理なのか?

自分の人生だからお前の好きなようにすればいい方針の人なので、気になると思いつつもあえて聞かないのかもしれません。

18~22歳で社会の事やこんな仕事があると探し出すのはとてつもなく困難です。自分は今ですらこんな仕事があるのか!?と知るぐらいです。

自分は早い段階で今の仕事を見つけられたけど、実際高校、大学を卒業してさぁこれを一生の仕事にしようと思えるのは少ないと思います。

なので30歳ぐらいまでいろいろ手を出してみて、自分に合うものを見つけていければいいんじゃないかなと思います。(少し村上春樹さんの言葉借りてます)

★補足

前編に引き続きここまで読んで頂きありがとうございました!

今回一つの章で出す予定が途中から長くなり区切りをしました。

この後編がいいね、リツイート、コメントなどしてもらえると嬉しいです!

それとシレっと投げ銭制度作りました。サポートは手間という意見からです。すみません(._.

これは自分の日記です。有益となる情報を発信しているつもりはなく、見ている人にとってこんな世界があるんだよ!ということを知ってもらいたいなと始めました。なので今後もずっと記事は無料で公開します。

ということ宣誓して終わります。それでは少しだけ早いですが、良いお年を





ボソッ・・(そんなこと言わずに今年中にもう一本完成できればいいかなぁ~ 適当)

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?