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マーケティングにおける「ドリル」と「穴」のバランス

よくWebマーケティングの業界にいると、ドリルと穴の議論に出会います。

お客様が「ドリルが欲しい」といったときに、本当に欲しかったのは「穴をあけるためのソルーション」であって、別にそれが鉛筆などの別のソルーションでもよかったのでは?というようなお話です。

営業で言えば、要求と欲求の話になりますね。顧客の要求通りに実装すると、まったく使われない糞仕様になりがちです。それは「本当に顧客が欲しかったもの」ではなく、「顧客がその時に知っていたソルーション」を実装してしまうからになります。

ところで、マーケティングにおいて、最近「ドリルと穴」のバランスをよく考えます。

「ドリル」とは、実は顧客が知っている言葉なんです。だから、本当は顧客の本当の悩みを解決するソルーションをこちらが提供していても、「ドリル」という名前を付けて売ったほうが理解しやすいのです。

例えば、顧客は「業務効率化」に悩んでいるとします。そして顧客のボキャブラリーには、AIやRPAというソルーションしか知らないとします。

本当は簡単な条件分岐で解決できるコーディングや、クラウドワークスで100人くらいにぶん投げて外注すれば解決できる問題を、高単価で受注できるから、「AI」や「RPA」という言葉を使い、受注します。

やってることは10年前くらい前のSelenium IDEなどで解決可能だったとしても、そういう「ドリル」な言葉で受注したほうが高単価でとれるようになるのです。

実際「鉛筆」よりも「ドリル」として売ったほうが儲かる

消費者は、常にソルーションを提供する人と比べると、知識がありません。

だから、よりよい解決方法があったとしても、「ドリル」しか知らず、「鉛筆」や「針」などのソルーションを知らないのです。

ただ、サービス提供者からすると、「鉛筆」「針」としてサービスを売るよりも、「鉛筆」を「ドリル」として売ったほうが儲かるんです。なぜならその価格設定でソルーションを売ったほうが儲かるから。

ドリルと穴のバランス

では、業務効率化を推進するプロダクトがあったとして、

「Seleniumで御社の業務を自動化します!」

なのか

「AIやRPAを利用して御社の業務を自動化します(裏側は人力クラウドソーシングです)」

なのか。

マーケティングでのインターフェイス設計なのではないかと思っています。

「ドリル」という言葉ではないと顧客とコミュニケーションできないけど、「穴」をあけられないと顧客の課題を解決できない。

今回弊社のランディングページの情報設計を行ったときに、このドリルと穴の問題についていろいろと考えたので、そのことについてメモしてみました。

昔の枯れた技術がRPAという名前をつけたことで復活したように、「ドリル」に代わるソルーションをコミュニケーションの中で定着させることが、マーケティングコミュニケーションの上で重要なのではないかな~なんて最近は考えています。

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