曹洞宗はお仏壇に何てお唱えするの?

浄土真宗さんは南無阿弥陀仏、日蓮宗さんは南無妙法蓮華経、真言宗さんは南無大師遍照金剛……じゃあ曹洞宗は?

南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)

こちら↑が基本形です。お釈迦さまのことですね。
仏教のお師匠さまの中のお師匠さま、元祖お師匠さまであるお釈迦さまに心から帰依しますみたいな意味です。

ただ、「南無」を帰依しますと辞書的に訳すと「入信する」みたいに捉えて身構える人もいらっしゃるかもしれませんが、インドの挨拶のナマステと同じ語源ですので、そんなに大仰に捉える必要もないでしょう。「敬意を表してご挨拶申し上げます」くらいに捉えていただいても良いのではないかと私は思います。

この南無釈迦牟尼仏が曹洞宗の全国総合事務局のような『宗務庁』というところで推奨されてきたお唱えごとです。最近はこの南無釈迦牟尼仏にもう少し付け加えたお唱え言も推奨されています。

南無釈迦牟尼仏
(なむしゃかむにぶつ)
南無高祖承陽大師道元禅師
(なむこうそじょうようだいしどうげんぜんじ)
南無太祖常済大師瑩山禅師
(なむたいそじょうさいだいしけいざんぜんじ)

なんだかグッと文字数が増えましたね。仏教全体のご開祖さまとされるお釈迦さまお1人のお唱え言から、曹洞宗のご開祖さまとされる道元禅師(どうげんぜんじ)と曹洞宗の中興の祖とされる瑩山禅師(けいざんぜんじ)のお2人が増えて、3人のお唱えごとになったわけです。

最初の南無釈迦牟尼仏は前述と同じです。

次の南無 高祖 承陽大師 道元禅師は曹洞宗の開祖とされる道元さまです。南無は前述の通りで、「高祖」は開祖くらいの意味です。お寺用語というわけではなく、例えば中国の漢王朝の開祖・劉邦(りゅうほう)も高祖と称号されます。承陽大師(じょうようだいし)は道元さまの別名と言っていいでしょうね。正しくは大師号ですが、ここでは説明を省きます。そして道元さまに禅師という尊称をつけた呼称と続きます。

そして南無 太祖 常済大師 瑩山禅師ですが、瑩山(けいざん)さまは曹洞宗が日本全国に広まる礎をお築きになった方です。つまり中興の祖として、太祖(たいそ)とお呼びします。そして別名(大師号)の常済大師(じょうさいだいし)、瑩山さまに禅師という尊称をつける……と続きます。

お釈迦さまと道元さま、瑩山さまの御三方をまとめて一仏両祖(いちぶつりょうそ)とお呼びします。
南無釈迦牟尼仏のみのお唱えにするか、一仏両祖のお唱えにするかは皆さまがしっくりくる方を選んでいただいたり、菩提寺さん(お檀家になっているお寺)にご相談いただければと思います。
ただ、曹洞宗公式の行事など、みんなでお唱えする機会がもしあれば、その場その場の慣例に合わせましょう。

無言でもいい

最後になりましたが、禅は無言の礼拝も好みますので、無言のまま拝んでもオッケーです。口に出してお唱えしたらしたでヨシ。無言で拝んだら拝んだでヨシです。どっちが正しいか?ではありません。どちらも素晴らしいことです。

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