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永遠の0/百田尚樹

以前、金曜ロードショーで映画版の「永遠の0」を観て号泣し、次の日に早速小説を買いに行って読んだ一冊。

 
映画版では宮部さんのなんとも言えない表情で観客に無言の問いかけをしつつ終わりですが(岡田くんの演技がグッジョブでした!!)
小説版だとその続きが描かれていました。
映画を観てから小説版を読んでみてよかった。

 
小説を読むと、映画版だとかなりはしょられていたと分かりました。
小説の映画化がいかに難しいかを感じます。
映画版でも泣きましたが
小説版は更に泣きました。泣きじゃくりました。

 
「特攻隊員が遺した遺書が本音だと思うか?」
まさにその通りです。
人に見られる可能性がある以上、現代人だってSNSにどれだけの本音を書いているか。
誰にも見せていない日記にしても本音が書かれているか!?
死んだら誰に見つかるか分かりはしないのに。

 
言葉では伝えきれない感情を私達は持っていて
言語化したくても言葉は不十分で
私達が伝えられるものは一部でしかないのだと思う。

 
この前、苛めにより自殺した岩手の中学校二年生の件にしてもそうだが
恐らく生活ノートとやらで死ぬを「氏ぬ」などと別漢字を用いたのは
その辺りが関わっているのではないかと推測される。

 
辛い時に辛いと言えるかといったらそうではない。

 
今作の主人公の宮部さんの姿は周りからの証言により段々と輪郭がハッキリしていく。
「生にしがみついた男が何故特攻隊になったか?」
読み進めていく内に明らかにされる宮部久蔵の人間としての深み。
あの時代を戦った人々や歴史の裏側の
悲しさや怒り。
残酷さ。

 
話自体はフィクションでも
膨大な取材や資料を基にして書いたであろう今作はあまりにもリアリティがあり
終戦記念日を前に
私達読者へ「戦争とは?」「平和とは?」「命とは?」と何度も何度も投げかけてくる。
百田さんの力量には拍手を送るしかない。
なんて人を引き込ませる文章を書くんだ…!

 
「永遠の0」というタイトル、そして映画版の宮部さんの最後の歪な笑顔が送るメッセージ……
私達は自分達で考えて今に応え未来に繋げなければいけない。

 
安保法案について改めて考えてしまう。
私達はまた悲劇を繰り返すしかないのか、と。

 
余談ではあるが
私はお姉さんの目線でも物語を読んだ。
私は最終的にどちらを選ぶのだろう?


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