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2021/10/20【世界的な原油価格高騰】原油価格高騰が引き起こしている問題【世界情勢】#25

今回は、政治から少し離れて経済問題、特に今、世界で問題になっている、原油高騰と、それがアメリカに与える影響について、お話をしたいと思います。

日本でガソリン価格が高騰する理由は?

今、日本でも、ガソリン価格の高騰が話題になっていると思いますが、その原因となっているのが、世界的な原油価格の高騰です。原油価格のベンチマークは、ブレント価格(北海油田)、ドバイ価格(中東)、WTI(アメリカ)の3種類がありますが、9月末に、WTI先物価格は約7年ぶりの高値を付け、1バレル当たり80ドルを突破しました。これは、昨年の今頃と比べると、当時は40ドル前後でしたので、約2倍です。これが、アメリカ国内で、ガソリン価格の高騰や、その他の消費財の価格上昇に繋がることが、大きく懸念されています。

原油の需給バランスの決まり方

そもそも、原油の市況は需給バランスに大きく左右されますが、このバランスを握っていたのは、OPECと言われる、サウジなどの産油国で作られる公認のカルテル、これに、非OPECながら原油の大輸出国であるロシアなどが加わり、21か国で構成されるOPECプラスと言われる機構が、協議によって需給バランスをコントロールすることで、原油の価格は安定的に維持されていました。

大きな原因は気候変動

そして、このコロナ以降、OPECプラスはずっと協調減産を維持してきましたが、経済活動が再開され、市況が高騰を初めた今でも、OPECプラスは大幅な増産に踏み切ろうとしません。これは、一つは、コロナの新たな波への警戒や、高値を維持したいという政治的な理由もありますが、今世界的に増産できない大きな原因となっているのが気候変動問題です。需要の先細りが確実な中で、投資家の理解が得られない状況下、民間の上場企業は、増産に踏み切ることが出来ない状況にあります。

今、欧州ではエネルギー危機に

この影響を一番受けているのが、欧州、ヨーロッパです。
欧州は特に環境問題の対策に熱心な地域です。気候変動対策は重要な課題であることは間違いありませんが、それを重視し、急速に舵を切り過ぎた結果、今、欧州はエネルギー危機に陥っていると言っても過言ではありません。石炭発電や原子力発電から欧州諸国は今急速に撤退/閉鎖をしていますが、再生可能エネルギーの風力発電などは伸び悩んでおり、電力を確保する代替手段が少なくなっています。一方で、消去法的に比較的CO2排出量の少ない天然ガスの需要が急激に上がっている状態ですが、こちらも高騰して、前年比で6~7倍となっており、これが大きな問題となっています。
イギリスでは、LNG価格急騰を受け、電気代が昨年同時期に比べて7倍近くに達しており、小中規模の電気小売り会社が倒産したり、製造業で、工場閉鎖に追い込まれる企業が出だしている状況です。

そんな中でアメリカですが、原油高の影響が直結するガソリン価格の高騰、これは、車社会のアメリカでは即有権者の不満に直結する中で、このまま行くと、更なる支持率の低下に繋がっていきかねません。次回はアメリカの状況について詳しくお話をしたいと思います。

今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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