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介護サービスを休む際の注意点と対策

今回の記事は、要支援〜要介護2くらいの親御さんがいる方向けの内容です。

介護サービスを自粛することによる影響

covid-19の感染拡大によって、親御さんが介護サービスを自粛していませんか?また、自粛した方が良いと伝えたことはありませんか?

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介護サービスの事業所からすると、介護保険は本人の意向によって実施するものなので、休むと言われると、基本的には「はい」という対応となります。

では、休むとどうなるか。

”20年10月には要支援から要介護へと変わる申請が前年同月比30%超増えた自治体が10市に上り、近畿地方の担当者は「自然増ではあり得ない」と話している。”
”国立長寿医療研究センターの島田裕之・老年学社会科学研究センター長は「感染者数と申請の傾向に連動がみられ、自粛に伴う重度化が起きた可能性が高い」と分析。「対策を考えないと、介護費の増大などで顕在化するのでは」と警戒した。”

実際、私たちの事業所でも、濃厚接触者となり2週間休んだ方がいました。
利用再開して、私たちはとても驚きました。
想像以上に、歩けなくなっていたからです。
休む前は15m位は歩けていたのが、再開後はその半分。
歩く速度も、これまでの倍かかるようになりました。
もし、あと1週間休んでいたら、歩けなくなっていたのではないかと思う事例でした。

このような報告は、すでに日本デイサービス協会と京都大学の調査でされています。

短時間デイサービス利用者のCOVID-19の蔓延による欠席が及ぼす影響を検証する為、1週間以上欠席した利用者(計 741名)のBIおよび体力測定値(握力/開眼片足立ち/CS-30/TUG )を欠席前後で比較したところ、BIおよび体力測定値(握力/開眼片足立ち/CS-30/TUG )のいずれにおいても、欠席前に比べ欠席後は悪化する傾向が見られた。BI の全項目(食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行・階段昇降・着替え・排便/排尿コントロール)のうち、特に歩行・階段昇降・ 移乗といった相対的に大きめの動作で、悪化傾向がみられた。
欠席日数が1カ月以上に及ぶと、また介護度が高くなるほ ど、TUGの悪化傾向は強まっていた。本調査では、欠席後にTUGが有意に悪化する傾向がみられたが、一方で、通常利 用時のTUG値(直近と3か月前の比較)は、有意に改善する傾向が確認されたことから、デイサービスの利用で身体機能 の維持・改善が期待されるところ、COVID-19蔓延による長期欠席により身体機能は悪化したと考えることができる。

新型コロナウイルスに感染するのを防ぐには、人との接触の機会を減らすことが1つの選択となります。しかし、このような影響も起こります。

もともと、何らかの生活が困難になってきたので、「介護サービスを利用」することになったと思います。そのため、対策をしないまま利用を控えることで、生活の困難度が高まるのは、想定されることです。

ではどうするか。

専門家に対策を相談しよう

人との接触を減らすことによるデメリットや不安も踏まえ、現在関わっているケアマネージャーや介護サービスの方と相談しながら、対策を考え選択しましょう。

本来、介護サービスは利用者や家族の意向はもちろん、現在抱えている不安や悩みに応じた選択肢を一緒に考えてくださります。
仮に休むとなっても、では休んでいる間どうするのかについてもぜひご相談ください。

例えば、下記のような対策が考えられます。

対策①デイサービスから訪問サービスへ切り替える

デイサービスは、おそらく一般の方が想像している以上に感染対策を実施しています。しかし、集団でのサービスなので、一旦感染すると拡大する可能性は否定出来ません。今回の事例である、要支援〜要介護2くらいの方であれば、比較的日常生活は自立しているので、ご本人やご家族は短期的にはデイサービスを休んでも影響がないと感じ、このような層の方が比較的多く休まれます。しかし、上記の研究結果のように、悪化する可能性があります。
そこで、訪問のサービスに切り替え、集団で人に会う機会を減らした上で、専門的な人に見てもらいながら、ケアを実施していくという選択があります。私は、専門家と会う機会を担保しておくことは、とても重要なことだと考えています。

対策②自宅で簡単に出来るセルフエクササイズやアセスメントをする

動かないと動けなくなります。これを、生活不活発病と言います。生活が不活発になって起こる病気です。当たり前のように思いますが、結構見落とされやすいことです。今回の方が、もしデイサービスで動く機会を確保していたとしたら、利用をしなくなることで、動けなくなります。

そうならないように、デイサービスの専門家から自宅で簡単に出来る運動や体操を教えてもらうことや、健康状態を測ることを教えてもらうという方法も考えられます。ちょっとしたことで、予防につながります。また、もし違和感を感じたり、異常が見られたら、専門家への相談につながります。

対策③コミュニケーション手段を増やし、非対面での交流の機会を増やす

人との交流が重要ということは、みなさんご存知だと思います。
改めて下記に知見を共有します。

・同居者以外との交流が、毎日頻繁群と比べ、月1回〜週1回未満群では認知症を伴う要介護認定に1.39倍至りやすい。
月1回未満郡になると、認知症を伴う要介護認定に1.45倍、死亡に1.37至りやすい。
健康指標との関連から見た高齢者の社会的孤立基準の検討
誰かと食事(共食)をしている高齢者に比べ、1 人暮らしで孤食である男性は 2.7 倍、女性では同居世帯に関わらず孤食であると 1.4 倍、3 年後にうつに なる可能性が高まる。
新型コロナウイルス感染症流行下での 高齢者の生活への示唆: JAGES 研究レビュー

このように、人との交流は健康にとても密接に関係していることが分かります。ではどうするかですが、対面以外の交流の機会を作っていくという方法が考えられます。

最近は、スマートフォンを持つ高齢者が増えてきました。しかし、上手く使えず、写真の撮り方や、家族とのコミュニケーションに悩んでいるという方がいらっしゃいます。そのような方々が、例えばLINEが使えるようになると、テレビ電話や写真、テキストなどで交流が促進されます。実際に、デイサービスを休んだ方も、休み中毎日娘とLINEしていたのと、楽しそうに話している方がいらっしゃいました。
このように、インターネットを介したコミュニケーションを使い、家族や友人と交流することで、健康面に良い影響を与えることにつながると考えられます。

実際には、一人一人病気や障害、また状態や興味関心が異なるので、全員に適応するわけではありません。だからこそ、実際に関わっておられる専門家に相談することが大切です。

もし、介護前や介護中の方で、これらの件で困っている方いらっしゃれば、お気軽に私までご相談ください。

下記は、介護前の親御さんがいる方向けの内容となっています。
もし、不安に思うことがありましたら、近隣の「地域包括支援センター」にご相談ください。

また、こちら去年の3月に書いた記事ですが、残念ながらこのような事態になってきています。
分かっていれば、防げることもあります。


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