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僕が狙っているのは「絵本コーナーの平置き」です

2019年5月11日 『絵本は20年間売れ続けたら、一生売れ続ける』


おはようございます。

YouTubeの『毎週キングコング』のチャンネルにハマっているキングコング西野です。

シンプルに梶原君が面白いです。

さて。
絵本作家としても活動していると、「私も絵本作家になりたいです!」と声をかけていただくことが珍しくありません。

もちろん僕は背中を押しますし、具体的なアドバイスを求められたら答えますが、内心は「なかなかシビアな挑戦を選んだなぁ」と思っています。

というのも、僕自身、いろんな仕事をさせてもらっていて、その中で最も難易度の高い仕事が「絵本を売ること」と「絵本作家として売れ続けること」で、他の仕事と比べるのも少しナンセンスですが、競争倍率でいうと、それはもうブッたまげた数字が出てきます。


『絵本』という優しいファンタジーの裏側では、夢破れた絵本作家の死屍累々の山が築かれておるわけです。
実際、「絵本作家」として食っていけている国内だと5人もいないのではないでしょうか。

少なくとも、僕は「絵本作家」としては食っていけていません。

『分業制で作る絵本』を印税だけで回収することは難しく、絵本の作り方や届け方をビジネス書にしたり、「絵本を描いているキングコング西野」として活動したり、ナンダカンダ複合的の収入を得て、絵本の赤字を回収している感じです。

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だったら何故『絵本』に挑戦するの?

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競争倍率はハンパねぇですが、その困難と天秤にかけた時に勝ってしまう(=人生を賭けて検証したくなる)仮説が僕の中にはあります。

その仮説というは、
『絵本は20年間売れ続けたら、一生売れ続ける』です。

絵本作家をやっていると、親御さん達から「この絵本は子供向けですか?」「この絵本の対象年齢を教えてください」という言葉をいただきます。

ヴィジュアルに『子供向け』も『対象年齢』もねぇよ!」と思っているのですが、いつまでたっても無くならないこの質問を受け続けて、ようやく気がついたのは、「多くのエンターテイメントは自分の為にお金を払うのに、絵本は子供の為にお金を払う」という今さら当たり前の事実です。

これは確か『革命のファンファーレ』にも書きましたが、面白いことに、多くの親は「失敗をしたくない」ので、自分が安心して子供にオススメできる(=子供にハマらない可能性が極めて低い)絵本を選びます。
その絵本というのは、「自分が子供の頃にハマった絵本」です。

出版業界全体で見ると毎日200冊の新刊が出ていて、本屋の棚は毎日衣替えを繰り返しているのに、絵本コーナーの「平置き」から、『はらぺこあおむし』や『100万回生きたネコ』が消えないのは、それらの作品がそのループに入ったからです。

つまり、「子供が親になるまで(約20年間)売れ続けてしまえば、その作品は一生売れ続ける」というわけですね。

なぜなら、多くの親は「失敗したくない」から。

20年以上売れ続けた絵本を市場から消すのは、地球上から新生児の誕生を途絶えさすほどの難しさがあり、ほぼ不可能です。

作品として「面白い・面白くない」の話ではなく、「子供にプレゼントするものか、否か」という理由から、『鉄腕アトム』や『北斗の拳』を地球上から消すのは可能ですが、『はらぺこあおむし』を地球上から消すのは、無理です。

僕が狙っているのは、『はらぺこあおむし』や『100万回生きたネコ』が居座っている「絵本コーナーの平置き」です。


あの席さえ獲得してしまえば、今回のような『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』を一生続けることが可能です。

ディズニーは『映画』からスタートして体験(テーマパーク)への横展開をしましたが、新規顧客を一生獲得し続けられる『絵本』からスタートして、映画や体験に横展開した方が強いと思います。


昨日、チビッ子から「西野さんはディズニーを越えられるの?」と訊かれたので、「余裕だよ」と返事しておきました。
現場からは以上でーす。




2019年5月12日 『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』最終日、宜しくお願い致します。

今日は『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』の最終日です。

技術スタッフさんには後ほど個人的に御礼をお伝えするとして、今日は、個展の運営ボランティアとして、2週間頑張ってくださったオンラインサロンメンバーの皆さんに御礼を言いたいと思います。

雨の日も、風の日も、お客さんがたくさん来すぎてしまって会場がパンクした日も、決して笑顔を絶やさず最後の最後まで接客にあたってくださって本当にありがとうございました。本当に。

Twitterのタイムラインには、スタッフの皆様の評判がたくさん上がっていて、その全てが、丁寧に丁寧にお客さんと向き合ってくださったスタッフの皆様への感謝の言葉でした。

僕も時間が許すかぎり会場に足を運びましたが、皆さんがチームとして日に日に強くなっていることを感じ、自分は何もしていないのに、なんだか勝手に誇らしい気持ちになりました。

今回、ボランティアスタッフの皆さんとの向き合い方の中で、一つだけ決めていたことがあります。
それは「皆さんの待機場所となっている事務所には、(必要以上に)行かない」ということです。

僕が行ってしまうと、やたらと気を使わせてしまいますし、ボランティアスタッフの皆さんの指揮は田村Pに全て任せていたので、田村Pをリーダーとした『チーム田村』としてまとまった方がいいと判断したからです。

それによるメリットもデメリットも、いろいろ考えた上で判断したつもりですが、もし、僕の判断が間違っていたら、ごめんなさい。

「今回の個展での僕の役目は何かなぁ?」と僕なりに考えた結果、『ボランティアで働いて良かったと思ってもらえるような圧倒的な世界観作り』と『資金調達』だと判断しました。

皆さんのゴールデンウィークを丸ごと奪ってしまうわけですから、一生の思い出になるような圧倒的な世界を作ることに終始しました。

空間演出の只石さんや、照明の矢野さんや、音楽のヤナエルさんや渡邊さんが出してくださった設計図を、それぞれ一回以上はひっくり返しました。
(クソ素人が本当にごめんなさい!)

たとえば、今回は僕のワガママで、個展開催直前になって、『えんとつ町のプペル』の光る絵画を展示することになりました。


『チックタック×満願寺』のコンセプトからは大きく外れていて、「詰め込めばイイ」の幕の内弁当的な演出で、それをプロが嫌うことも重々承知ですが、それでも入れてもらいました。

「あの場面(個展会場のちょうど中盤あたり)では、コンセプト弁当よりも、幕の内弁当の方が、お客さんの満足度が勝る」と判断したからです。

両方のパターンを試したわけではないので、今回の僕の判断が正しかったのかどうかは分かりませんが、とにもかくにも徹底して「お客さん目線」で設計図を描いたつもりです。

お客さんの笑顔や感動している姿が、ボランティアスタッフの皆様の報酬になると思ったからです。


そして、もう一つは『資金調達』ですね。

もともとの見積りでは1300万円ぐらいで作れるハズでしたが、こだわればこだわる程、予算がかさみ4000万円近くかかってしまうことが分かりました。

表では「ひっくり返った。死んだ!」と言っていますが、田村Pから「このままだと、個展の制作費が4000万円になるかも…」と知らされた時には、1ミリの迷いもありませんでした。

すぐに、「クラウドファンディングを使って、光る絵を売って、講演会の権利を売って、4000万円を集めよう」と思いました。

僕が講演会で全国をまわるだけで『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』がフルスイングで開催できるのなら、安いもんです。


報告のつもりでも、こんなことを言ってしまうと、少し押しつけがましくなってしまいますが、これは僕の役割なので、御礼は本当に要りません。

僕の役割は「フルスイングできる環境は作ったので、そのかわり特大のホームランを打ってね」とスタッフの皆様にプレッシャーを与えることです(*^^*)

本当は、こういう話を個展の初日にでもすれば良かったのかもしれませんが、こんな文章を書いた後に皆さんに会うのが恥ずかしくて、今日になりました。

最終日だと皆さんと会わずに済むので。

今日は、これから福岡で講演会をしてきます。

お得意の資金調達です(*^^*)

皆さんがいなければ今回の個展はありませんでした。

このサロンを通じて皆さんと出会えて良かったです。

また一緒に面白いことをしましょう。

そして、
個展会場にお客さんとして足を運んでくださったサロンメンバーの皆さん、
個展の感想を呟いて拡散してくださったサロンメンバーの皆さん、
生あたたかい目で見守ってくださったサロンメンバーの皆さんに、感謝します。

そして、田村さん。


田村さんがいてくれて本当に良かったです。

また、ゆっくり呑みましょう。

『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』の最終日の会場には行けませんが、少々のトラブルぐらい簡単に乗り気ってくれることをもう知っているので、あとは、皆さんにお任せします。

僕は、また面白い新ネタを拾ってきます。
この2週間、本当にお疲れ様でした。

そして、本当にありがとうございました。
大好きです。


『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』最終日、宜しくお願い致します。

西野亮廣




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