大学教員の採用人事を知る4―論文の書き方編

この反響は予想できなかった

大学教員の採用人事シリーズが【3-面接・模擬授業編】で一応の区切りをつけた。需要が限られているだけに当初は備忘録程度の気持ちで書きはじめたが、ニッチな市場ゆえ情報が無かったためであろう、予想をはるかに上回る反響があった。

中には、私にアドバイスを求め、相談にのり、その結果アカポスを手に入れた読者もいた。大変喜ばしいことである。この方は周りに相談できる人がいなかったとのことだが、少しでも役に立てたのなら幸いである。

とにかく、こちらが予想しなかった(できなかった)程の反響をいただいている。中には「○○についてもっと詳細に書いてほしい」という意見も少なくなかったが、残念ながら私も公にできる情報に限界がある。もう少し時間がたって詳細に書けるようになったら、改めて記事をまとめ直すつもりでいる。参考までに、以下にこれまでの記事を掲載する。




研究業績について

本シリーズは、【人事担当者】の目線から公募で勝ち抜くためのポイントを説明した。上の記事からも明らかなとおり、採用人事は①応募書類のふるい分け(足きり)、②書類審査(誰を面接に呼ぶか)、③面接・模擬授業(誰を採用するか)、という3ステップ構成になっている。それゆえ、以上の記事を読んでもらえれば、採用の過程をすべて網羅したことになる。

ただし、それらの記事の中に、あえて書かなかったことがある。いや、書けなかったというべきか。いずれにしろ省略したところがある。

それは、研究業績、すなわち論文についてである。

というのも、論文の評価は人事担当教員によって判断が異なるだけでなく、そもそも分野ごとに書き方や評価基準がバラバラなため、一般論として述べにくいのである。それゆえ、あえて3つの記事の中では触れなかった(触れられなかった)。

しかし、論文に対する疑問・質問が非常に多いことも事実である。そして、論文が人事において重要なことも事実である。実際、今年度に私が担当した採用人事においても、最後まで論文が問題になった。人事担当教員が論文の何をどのように評価するのかは、多くの若手研究者にとって貴重な情報であるに違いない。

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