Jリーグとコンプライアンス(5)

「コンプライアンス」的な判断は時代によって変わる

私は昭和生まれです。子供の頃には「パワハラ」「セクハラ」なんて言いませんでした。私の高校時代、体育教師が生徒を殴るなんて日常茶飯事でしたし、女子生徒の体に「タッチ」しても騒ぐ方が白い目で見られていました。これだけ見ても、時代によって何が「適切」で「不適切」か変わることがわかるでしょう。

画像1

プロスポーツ界では、大相撲や野球の「タニマチ」つまり選手個人のスポンサー的な人物との関係は特に過去数十年の間に変化を迫られました。昭和の時代、興行系には暴力団が絡むのが普通と言われ「タニマチ」と呼ばれたサポーターの中に、力士や野球選手に供する金品の出どころが不明瞭な人が相当数いたのではないでしょうか。しかし近年では「暴力団排除条例」などが次々施行され、反社会的勢力とつながりのある企業と契約を結んだり、金銭的なサポートを受けることは違法あるいは不適切な行為となりました。野球界では、野球賭博と巨人に属する選手の関わりが2015年から2016年の間に発覚しました。当該選手が失格処分となり二度と球界に戻れなくなったことは記憶に新しいところです。

サポーターに潜む「タニマチ」リスク

このように選手を「応援」する人の中に反社会的勢力等と関係を持つ人物がおり、選手やスタッフと親密になる問題を「タニマチ」問題といいます。Jリーグでは、クラブが反社会的勢力と関係のある企業等を株主とすることは規約で禁じられており、株主やスポンサーについては、クラブ側も相当の注意を払って選んでいるはずですが、サポーターはどうでしょう。スタジアムに来る人や、ファンクラブ会員を全員スクリーニングすることは不可能です。そのため選手やスタッフは、特定のサポーターと必要以上に親密になることは避けるのが賢明といえます。(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?