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第15号 アルツハイマー病の新たな治療「周波数刺激療法」の可能性を探る、英語が苦手で論文を読むのが辛いのでコツを教えてください

// 2021年7月31日 第15号
// 1. 今週の注目ニュース:アルツハイマー病の新たな治療「周波数刺激療法」の可能性を探る
// 2. 質問コーナー:英語が苦手で論文を読むのが辛いです。コツを教えてください。

こんにちは、東京大学の池谷裕二研究室で脳・老化・人工知能の研究をしている紺野大地です。

先日Twitterでも紹介しましたが、"NeurotechJP"という素晴らしいサイトを見つけました。
このメルマガはブレインテックや老化に関わる最新論文の解説に重点を置いているのに対し、NeurotechJPではニューロテック(ブレインテック)についてのキーパーソンへのインタビューや注目スタートアップをまとめているという特徴があります。

このサイトは和木 勇人さん門井 翔佳さんという2人により運営されています。
ぜひこのような取り組みで日本のブレインテックがもっともっと盛り上がると良いですね!


では、今回も始めていきましょう!

1. 今週の注目ニュース:アルツハイマー病の新たな治療「周波数刺激療法」の可能性を探る

今回取り上げるのは、アルツハイマー病に対する新たな治療法(周波数刺激治療)についてのレビュー論文です。

この治療法はGENUS (Gamma entrainment using sensory stimuli)と呼ばれ、一言で言うと、
「40Hzのガンマ波で脳を刺激することでアミロイドβが減り、認知機能が回復する」
というものです。

私がこの話を始めて耳にしたのは2018年ごろであり、最初に聞いたときはトンデモ系の研究かと疑っていました。
しかしながら、2019年に米国神経科学学会でGENUS発見者のLi-Huei Tsai先生の講演を聞いたり、その後の様々な論文を読むうちに「これは本当かもしれない」と考えを改め、現在ではアルツハイマー病の予防法・根本治療法としてかなり期待しています。
そこで今号では、GENUSについてまとめたいと思います。

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