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ベナンにカレー屋さんができるまで⑤〜疑いの気持ちを忘れるな!〜

こんにちは。

今回の記事も、ベナンでカレー屋さんをオープンした際に得た学びを紹介します。

ボランティアやビジネスに関わらず、今後アフリカで活動しようと思っている方にとって、アフリカでの仕事の進め方や現場感覚を掴んでもらうために参考になるような記事になっています。

現地の人だからといって全ての専門家じゃない


まず一人の女性を紹介したいと思います。

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左側に立っている女性。

彼女は、日本に留学経験もあり日本語もある程度わかるので、今回のカレー屋さんオープンでもアシスタントとして、とても活躍してくれました。

価格や契約交渉でも、常に横にいてくれて、その都度、私の理解が正しいのか、これはベナンでは普通なのか、確認していたんですね。

最初は彼女の言うことを100%信じていました。

ただ、私自身も2年間JICA協力隊員としてベナンにいたし、パン屋さんの運営にも関わったことがあったので、それなりに経験があります。


ある時、いつも通り、相場はこれぐらいかどうか彼女に聞いてみると、私の経験上、明らかに高い価格に対して、「相手が適正な価格だと言っているのでいいと思います」との見解だったんですね。


これをきっかけに彼女の意見に、違和感をもつようになりました。


そして、気づきました。


「彼女がベナンのことを全て知っているわけではないんだ!」と。


当たり前のことですよね。

しかし、おそらくアフリカ初心者の方が、現地で信頼できる人を見つけると、当然現地のことを自分よりも知っているので、その方からの情報をすべて鵜呑みにしがちだと思います。


これは注意が必要です。


逆のパターンを考えてみれば明らかです。

例えば、新卒の日本人大学生が、外国人に豊洲市場のマグロの相場の確認を求められても、高いか安いか判断できないですよね?私だってできません。


そして、厄介なのが、彼らは、はっきりと「知らない、わからない」と言ってくれない時があることです。


決して彼らを否定しているわけではなく、ただ日本人との文化やニュアンスが異なるのです。

よって、彼らは、はっきりとわからないとは言わない。ということを知った上で、仕事なり活動なりをやっていけばいいんです。


それから彼女には、わからない時には必ず「わからない」と言ってほしいと伝えた上で、一緒に仕事を続けていました。

彼女自身、ビジネス経験はほとんどなかったのですが、彼女のポジティブな姿勢や誰にでも見せる笑顔に何度も助けられ、彼女にはとても感謝しています。


いい意味でもわるい意味でもベナンに染まっている


疑わなきゃいけないのは現地の方からの情報だけではありません。

時には自分自身の思考を疑うことも必要です。


物件の賃貸契約を済ませた後に起きたエピソードを一つ紹介しますね。

*賃貸契約のエピソードはこちら


商売上手で手強いレバノン人大家さんとの賃貸契約を済ませ、水道を引こうと水道会社に行ったところ、

なんと前の借主の水道料金未払いが発覚しました。(賃貸契約する前に確認しておくべきでした)

そこで何とかコネクションを使って、水道会社のお偉いさんの親戚だという方と知り合うことができました。

彼が言うには「原則、未払いである15万円を払わないと水道は引けない。でも、私が交渉するから私に10万円渡してほしい」とのこと。

日本サイドからは、明らかに高いので、何とか他にやり方がないか模索してほしい、との指示が。

しかし私は、日本サイドの指示に対して、「アフリカでは正攻法や正論では、うまくいかないんです。ここではそういうものなんです!!」と反発し、最終的に日本サイドに納得してもらいました。

結果的に、交渉して値下げしてもらって、8万円ぐらい払って、何とか水道を引くことができました。

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でも、今考えると8万円って、おかしいですよね。

元々の15万円が8万円になっているので、安くなったように感じますが、普通は前の借主 or 大家さんが払うべきなのに、水道を引くだけで、8万円も払ったのですから。

だけどあの時私は、ベナンではこういうものだから、と疑うことをせずに、その要求を受け入れていたのです。


ベナン在住歴2年を超えて、いろんな経験をしてきました。

大体のものの価格相場もわかるし、商習慣も理解していました。

だからこそ、仕事の進むスピードはアフリカ初心者に比べて当然早かったでしょう。


だけど、普通なら支払わなくてもいい8万円をなんの躊躇もなく、支払ってしまった。

しかも、正当な日本サイドの意見まで、聞く耳を持たずにスルーしてしまった。

私はいい意味でも、悪い意味でもベナンに染まっていたんですね。


これは、アフリカ初心者というよりもベテランの方に伝えたいメッセージですね。

私たちはいい意味でもわるい意味でも、現地に染まっています。

だからこそ、日本サイドや他人の疑問や意見を、”アフリカではこういうものだから”と一掃せずに、一旦受け入れてみて、常に疑うことを忘れてはいけないと思います。


今回の記事はここまで。


最後までお読みいただきありがとうございました。

次回記事は、いよいよベナンにカレー屋さんができるまで最終話、『あんなに好きだったアフリカが嫌いになっちゃった話』について書こうと思います。

それでは〜。

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