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DIYの後始末は誰がやるのか?

自宅や購入した賃貸住宅、古民家などを自分でリフォームする(DIY)動画や画像をSNSなどで公開している方が増えましたよね。

初心者の方が多いのは当然ですが、中には、プロ並みの作業をしている方もいらっしゃって、時々、楽しませていただいています。

しかし、再生回数を稼ぐためなのか、注目されたいからなのか、は分かりませんが、過激なことをしている方もいらっしゃるのでくれぐれも〝安全〟にはご注意ください。


■リフォームって簡単だと勘違いしていませんか?

1 テレビの影響って相変わらずすごい

以前放送されていた劇的なリフォームの番組は、携わる関係者がプロの方ばかりでしたので、あの番組を見て、
「自分でも出来そう」
と思う方は少なかったと思いますが、
最近では、
器用な芸能人の方々が素敵なリフォームをしてしまうという番組があり、
「自分でも出来そう」
と思ってしまう方が増えているのかもしれません。

しかし、テレビ番組では必ず演出が入り、裏側はほとんど映されませんが、
実際にはかなり多くのプロが携わっており、建設業者である私たちの現場よりも大勢のスタッフで作業する、などしているのが現実です。

冷静に見れば、すぐに分かることですが、
演出であることを忘れてしまうこともあるのかもしれませんね。

同じことを同じスケジュールで行うには、
私たちでも難しいスケジュールですし、出来たとして、コストがいくらかかるのか考えるだけでもゾッとします。

ネット社会になった今でもテレビの影響って大きいのだと改めて感じます。

2 道具や材料が簡単に手に入る

プロの道具、プロの材料、と言っていたのは昔のこと、
ホームセンターでもネット上でも、私たちが使っているものと同等の物が簡単に手に入ります。

お金に糸目をつけなければ、もっと良い物を手に入れることも出来ます。

しかし、道具が手に入れられたことで、
最も重要な「技」についてまで、簡単に手に入ると考えられているように錯覚しているケースも多いのではないかと感じます。

どこで見たのか分からない不思議な工法を使い、その部分には決して用いない材料を使ってリフォームしている様子を動画などで何度も見かけているので、勝手にそう思っているのですが、
自身が所有する建築物については自己責任なので、それを見ているプロもあまり騒ぎませんが、一部、訳知り顔の方が大いに盛り上がっていることもセットでエンタメとして成り立っているのだと、
思うことにして楽しんでいます。

■DIYリフォームを失敗したらどうします?

1 何度も諦めずに成し遂げますか

洗面台やら流し台、水栓金具などまで自分で購入できますので、電気やガス、水道以外はほとんど自分でDIY出来る訳ですので、失敗しても、何度もチャレンジすることは可能です。

実際に、そうした動画もありますが、
大体は、自分でやったからこんな感じ、
と結果にそこそこ満足して終わっていることが多いようです。

そこそこ満足しているから動画にして公開している、
と言う考えもありますが、
一度始めてしまった事は最後まで自分で何とかしようと考えることが多いのではないかと思います。

2 致命的な失敗が起こった場合はどうします

DIYした結果、元に戻せなくなってしまった、DIY前よりも悪化してしまった、ということもあるかもしれません。

それでも諦めずに、何度もトライするのも良いですが、
そうなってから慌ててプロに相談するケースもあると思います。

正直に申しますと、困ります
病気が手遅れになってから病院に駆け込むようなものです。

以前ご相談いただいた事例では、
2階建て住宅の1階和室の床からシロアリが出たということで、現地を確認に伺ったところ、和室の畳は全て取り外され、荒床(畳を載せる板材)も大部分が剥がされていました。

その剥がし方があまりに雑で乱暴だったので、何か犯罪にでも巻き込まれたのかと思って尋ねたら、
「自分で剥がしたがこれ以上出来なかったのでそのままにした」
とのことでした。

犯罪ではなくてホッとしたのも束の間、良く見なくても、床の復旧が簡易な施工では不可能な剥がし方であるのは一目瞭然でした。

しかも、見たことが無い特殊な床の組み方をしていたので、部屋全体の床だけではなく、一階の大部分の床を改修しなければならない状況でした。

直すには、大規模なリフォームが必要、
かつ、工事中は自宅に住めないので引っ越していただくこと、
が前提と言う大変な事態でした。

シロアリよりも何よりも、致命的なDIYによる復旧が何よりも大ごとにしてしまっていました。結果的には、私どもが携わることはありませんでした。

DIYに限らず、自分でどこまで出来るかの把握は必要なことだと思いました。

■DIYリフォームの注意点

1 最低限ライフラインはプロに依頼する

電気、ガス、水道に関する資格や確かな技術を習得していれば別ですが、ライフラインは何かあった際に大変な事態を引き起こします。

私たち工務店でさえも、これらの作業については協力業者さんたちに依頼します。
大工でもこれらの作業自体は真似ることは出来ますし、それなりに仕上げることが出来ますが、最高でも「それなり」にしかならないと考えています。

2 躯体には触らない

柱や梁を取り外すなんてことは流石にしないとは思いますが、
壁や床も構造耐力上主要な部分ですので、安易に、壊してしまうと取り返しのつかないことになります。

良くある事例として、
複数の個室を壁をぶち抜いて広い空間にしよう、
と壁を壊してしまうケースです。

筋かいや構造用合板などがあれば流石に撤去しないとは思いますが、
それ以外の壁でも多少なりとも耐力がありますので、それを別の箇所への補強なしに撤去してしまうことは家を弱くすることにつながります。

知識が無い方が躯体に変更を加える事は全くお勧め出来ません。

3 作業する前に考える

プロであろうが素人であろうが、行き当たりばったりが良くないのは変わりません。

作業に入る前に、作業内容に不安がないか、手順は理解しているか、必要な材料・道具は準備できているか、など諸々の確認をしてください。

リアルな話しは面白くないかもしれませんが、
リアルを無視して進んだ先にはあまり良い未来が待っていないと思います。

■最後までお読みいただきありがとうございます