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床が滅茶苦茶に造られている

木造住宅の床ってどのように造られているかご存じではないですよね?
普通はそうです。
一般的な学校では習いませんし、工業高校や専門学校、大学の建築系学科でもないと教わることはまずないと思います。

それなのに、何となくで床をリフォームしていませんか?


■床も構造耐力上主要な部分です

1 床の構造は大きく分けて二種類

木造住宅の床の構造は大きく分けて二つの種類があります。

  1. 根太工法・・・伝統的な床組。土台、大引(おおびき)の上に根太(ねだ)を一尺ピッチ(一尺五寸の場合もある)でならべ、その上に仕上げ床を張る。

  2. 根太レス工法・・・最近主流の床組。土台、大引の上に厚い合板(24~28mmくらい)を張り、その上に仕上げの床を張る。根太が無く、代わりの合板により、床の水平剛性を上げることで水平方向の変形に強くなる。

分かりやすく言えば、古い家はだいたい根太工法ですので、リフォームするような築年数の木造住宅の多くは根太工法だと思います。

2 床には捨て張りが必要です

床のフローリングが歩くたびにギシギシと大きな音を立てたり、大きくたわんだり、していませんか?

施工不良の可能性もありますが、
一般的には、経年劣化により、床組みの固定が甘くなってきたか、湿気などにより木材が変形、劣化してきたか、または、フローリング材が劣化してきたか、などが原因です。

フローリング材は木製ですが、
薄い板を何層にも重ねて接着剤で固定したものが多く、
12~15mm程度の薄さですので、
床下空間の湿気などにより変形、劣化しやすいのです。

現代では、直接床下とフローリングが接しないように、かつ、フローリングの接着面積を増やすために、根太工法でもフローリング材の下に捨て張りと呼ばれる木材(主に合板)を張ってからフローリング材を張ります。

フローリング材の取付説明書にも「捨て張りしてください」などと明記されていると思います。

3 床の断熱材は必須です

例え、フローリングの下に捨て張りをしたとしても、床下から上がってくる冷気は防げません。

防ぐためには断熱材が必須です。
床用の断熱材があり、根太工法用と根太レス工法用に分かれています。

足元が冷たいというのは快適な空間とは程遠く、健康にも悪いですし、なかなか温まりを実感できないので暖房効率も非常に悪くなります。

■私が見かけたこんな床

1 根太が細い

根太と呼ばれる床を支える材料は根太のピッチやスパンなどにもよりますが、一般的には 45mm x 45mm か 45mm x 60mm が多いと思います。

しかし、
私が見かけたのは 30mm x 40mm と言ういわゆる「インニッサン」で組まれた床でした。
そりゃ、たわむわけです。
この材料は基本的には床には使いません。
知らずに使っているか、それしか材料が無かったのかは分かりませんが、
そんな細い材料を根太にするのはかなりの勇気が必要だと思います。

ただ、全く使わない訳ではなく、
使うとすると、和室の床リフォームの際に畳を取外して、畳の暑さの範囲で床を組もうとするなど、床を組める寸法に限りがある場合です。

ちなみに、
根太ピッチがまちまちだったり、根太ピッチが飛び過ぎていたり、
はあるある過ぎるので割愛します。

2 床が斜めになっている

建築物は経年によって地面に沈むことがあります。
現代のように地盤補強をしっかりとしていなかった時代もありましたので、地盤の弱い地域ではしかたのないことではあります。

建物全体が均等に地面に沈んでいれば傾くことはありませんが、だいたいは一部が沈んでしまい、家が傾いているケースが多いです。

そうして傾いた床をリフォームする場合、
既存の床の上に新しい床を重ねるのであれば、当然のことですが、床の傾きは一切改善しません。

傾きを直すには、床組みから全て改修しなければなりませんが、
水平に直していくにしても、
どこを高さの基準にするかがポイントになり、複数の出入り口があったり、掃出し窓があったり、する場合には知識だけではなく、経験が大事になってくるため、うまく合わせられていないケースも多々あります。

中には、せっかく床組みから改修したのに、出入口とフラットにすることを優先したのか、結局、また傾いた床を造っていた事例もありました。

まるで意味が無いので、それなら、重ねれば良かったのにと思いましたがすでに手遅れでした。

3 材料の見本市のような床組み

木造建築では、部位によって使用する樹種やサイズが概ね定まっています。

技術が進歩した現代では、
新しい工法や材料が登場してはいますが、基本的には昔と大きく変わることなく、むしろ、昔ながらの工法に新しい工法を融合して補強していくことが望ましいと私は考えています。

しかし、中には、
全く使うべき材料ではないものをそれらしく使っているケースもあります。

しかも、あれもこれもと、そこにあった材料をとにかく使いまくったかのような色々な材料が良く分からない手法で使われていることもありました。

「この材料は何のために取付けられているのか?」
と現場にいる全員の頭が「?」になったケースもありました。

DIYではなかったようなので、一応、業者が施工したとのことでした。

■最後までお読みいただきありがとうございます

床が傾いているというのは、ただ、ビー玉が転がっていくというだけではなく、ひどくなると、躯体にダメージを与えたり、人間の平衡感覚を狂わせたり、家や家族の健康にも影響が出てくることがありますので、直すべき時が来たら、しっかりとした技術者に直してもらった方が良いと私は考えます。