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幻の40分間

27人。

一駅歩く間に話しかけられた人の数だ。
歩いた時間は30分ほど。
コンテストに応募するために物語を想像してみたが何も思いつかない。
せっかくだし一駅分歩きながら考えてみよう。

そんな軽い気持ちで外に出てみたが考える時間なんてなかった。
次から次に色んな人が話しかけてくる。

どこ行くんだ。乗ってけよ。
どこの人。
チャイ飲んできな。
お金頂戴。
こっち来て。

一人と会話を始めたらひげもじゃな人たちに囲まれる。
さすが人口13億人のインド。

歩道を爆走する車に轢かれそうになって、牛の大群に出会って、
急に壊れる地面にやられそうになりながら隣駅までついた。

そして今度は電車で帰る。
たった3分。
30分苦労して歩いた距離がたったの3分間で逆戻り。
この3分の間に、ああさっきの人たちは今頃何をしているんだろう。
チャイ売ってるのか。
お客さん拾えたのかな。
もう2度と会わないかもしれないさっきの人たちをどこか懐かしく思う。
周りを見渡せば携帯をいじっている人が殆どで他人に注意を向ける人はいない。
気づけば振り出しに戻っていた。
この40分ほどは幻だったんじゃないかとさえ感じる。

たった一駅、されど一駅。
たまには歩くのもいいかもね。

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