なんの話 その7

少し前の休日の話をしようかと思うのですが、実は今まさにわたくしニートに他ならず、毎日が休日であるがゆえに休日を休日と呼んでいいのか怪しいところではあるのですが、「人生の」という意味では休日に違いないだろうということで休日の話です。せっかく無職になるわけだし服でも買っておこうということで自宅から20分ほど歩いて高円寺に参上し、早速目に留まった古着屋に突入。古着屋はよく行くんだけどなぜかひとりだとやけに緊張するので「自分は今ふたりだぞ」という意識でドアを開け、なんとなく店員の視界に入らないようにしながら商品を物色しようと思ったら物音で気づかれてスニーキングミッション失敗。「今日は全品半額ですので」と言われたものの特に目ぼしいものは見つからず、後はもう義務で店内一周して出るかっていうターンをこなしてたら店員の追撃、「衣装か何か探してる感じですか?」「違います」「そうですか」という、ナニコレ珍会話を繰り広げつつ退店。「まさかアイツ僕が演劇やってたことを一瞬で見抜いたのか!?」と叫びながら商店街を歩いていると、ちょっと前にちょっと好きだった人と来た古着屋をみつけ思い出の足跡を追跡。なんかやたら人が多いしなんかやたら群れてるなと思ったら今日は日曜日。毎日が休日なのによりによって日曜日に来てしまったのは曜日感覚がなくなっていたせいか。店内群れてて、なんか蒸れてたので退店。遠路はるばる徒歩1200秒もかけてやってきたのに全然ショッピングうまくいかないじゃん、まあそれも醍醐味かってな具合で20分がたったの1200秒しかないことに気がつき人生に焦りが生まれる。焦りは汗となり、僕は落ち着きを取り戻すべく公園のベンチに座り、水筒に淹れてきたあっつ〜いお茶を飲んだ。手には紙袋。そう、なんとこの間に人知れず3軒目の店でYシャツを1着買っていったのだ!どうですかこの手法、西部劇でいえばちょうど決闘のいいシーンをスキップするような手法、斬新で新鮮で先進的で的面な効果を発揮しますよ。そして悲劇は起きた。略して「そしひげ」。なんと天空から私の頭上に松ぼっくりが落下してきたのだ。といってもまだ私はこの時点で松ぼっくりを視認しておらず、当たった衝撃の感じからたぶんこれは松ぼっくりだろうと推理。この名探偵に死角はないが探偵の資格もないということで大人しく周りを見回してみたものの松ぼっくりが見当たらない。まさか奇跡的に頭の上でバランスを保っているのか?と思って手で払ってみたらめちゃくちゃ鳥のフンだった。人生で初めて鳥のフンが直撃した。うわーってことでこれはうわーっとなるほかなく、しかし即座に脳裏をよぎったのは祖父の言葉だった。「うんこがついたということは運がついたということだよ」かつて兄が正月早々犬のうんこを踏んで帰ってきたときに祖父がかけたこの言葉、これがもし本当だというのなら僕が家を出る前に買っていた日曜16時、今日の競馬メインレースは的中するに違いない!しかもちょうど松ぼっくり改めうんこが落ちてくる直前に時計が差していた時刻は16時ちょうど!これほどまでに完成度の高いシチュエーションがあっていいのだろうか?Yシャツのおまけに大金がついてくるなんて!不敵な笑みを浮かべながらレース結果を確認したらすんごい外れてた。

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