無くなれない日々 (4)2019.11.6〜

11月6日(水)。荷風のように日記を綴りたかったが、無理だった。

11月7日(木)。整理整頓ができない弊害は多いが、これから外出しようという時に、服がない、ベルトがない、本がない、・・・いろいろなものが、いつも「ない」のだ。目の前には大量の何かが、確かに「ある」のに。山のように積み上がっているのに。不思議だ。こんなに「ある」のに、なにも「ない」。世界は不思議だ。

11月8日(金)。細長い動物たちが、にょろにょろと縦に伸びて立ち、胴体から生える4本の柔らかい手足をぐにぐにと動かしている。それだけでも気色悪いのに、うじゃうじゃと群れて蠢いている。この堪え難い人生。

11月9日(土)。今日バーで隣り合った老人が、若者にありがたい話をしていた。「与えられた場所で頑張れ!」「上司の言うことは受け入れろ!」「与えられた場所で頑張れ!」「必ず誰かがその努力を見ていてくれる!」「与えられた場所で頑張れ!」「それを続けていれば出世できる!」と。私はそれを聞いて、「にゃあ」と思った。さっきまで可愛い猫を撫でていたからである。

11月10日(日)。徳仁氏の即位パレードがあったそうだ。目出度い事らしい。私がふとした拍子に何かに即位したら、どんなパレードを開こうか。・・・どこか、楽しげな飲屋街で飲み歩くのもいい。そして下々の民草たちと語らい合いたい。しまいには泥酔して、へべれけになって、恥ずかしいことをしたい。

おやすみなさい。