四月の風
もう残り僅かで3月も終わる。「4月になれば、今年も新入社員が入ってくるなー」とぼんやりと考えた時、去年の新人歓迎会に起きたある出来事を思い出した。
毎年の恒例行事
どこの会社でもそうだと思うが、4月には毎年の恒例行事として新人歓迎会がある。去年もご多分に漏れず行われた。
会は盛り上がり、いつも通り二次会、三次会へ。
会社には「肝臓に恨みでもあるのか?」と使い古された表現をあえて使いたくなるような人達が沢山おり、最後の最後までアルコールの摂取は止まらない。
終電を逃した新人Nくん
歓迎会が行われたのは水曜日ということもあり、みんな終電が近くなると各自ボツボツと帰りはじめる。皆、社会人としての最低限のマナーを守る程度の理性は保ちつつも、飲み続けるからすごい。
最後まで残っていたメンバーも帰ろうということになり、駅に向かう。すると、自己紹介の時にポメラニアンが大好きだと訴求していた新人Nくんの足取りが重い。
「どうしたの?」と声をかけると「いやー、、、終電とっくに終わってました。。笑」とNくん。何やっとんねんとツッコミを入れつつ、このまま置いていく訳にはいかないなと。
家の場所を聞くと中々の距離感(会社から電車で1時間半位)の場所に住んでいると。
明日も研修はある。最初は大切な時期だからしっかり勉強してもらいたいし、何とか帰さないとなーと。
僕は覚悟を決め(且つ酔っ払っていたこともあり)、「タクシーで帰りなさい」と一万円札を握らせる。「いやいや、大丈夫ですよ」と突っぱねるNくん。それでも今は大切な時期だという旨を伝え、納得させるとタクシーを捕まえ、無事に帰らせる。
しっかりしてるようでツッコミどころがあるNくん
その後はNくんからメッセージの嵐。事細かに「今〇〇駅付近です」「後○○分で着きます」「お金も足りそうです。タクシーの運転手さんが良い人で少し安くしてくれるとのことです」。
しっかりしてるなー、というかここまでやる奴も珍しいな、などと思いながらメッセージを読んでいく。「明日も研修頑張って」と最後にメッセージを送って、終わらせた。
翌日になると自分が可愛がってる後輩YからNくんの件で話があると連絡があった。内容を聞いてみるとNくんからYに「ダッチさんに迷惑をかけた。お金を返金しようと思うが、どう思うか?」と相談を受けたと。
でYが言ったのは「ダッチさんは失敗とかマイナスのことをプラスに変えるよう、いつも考えて行動するように言っている。だから今回のケースでいうと、Nくんも同じように後輩が失敗した時、同じようなサポートをしてあげることができれば、ダッチさんはそれが一番喜ぶ」と伝えたと。
これはこれで驚いた。多分事前にYから(Nくんに伝える内容について)相談されていたとしても、僕はきっと同じような内容を答えただろう。
普段から自分の考えを周りに伝えておくと、自分で勝手に考えて、柔軟に行動してくれるのだと、ちょっと感動したり。もちろん、それができる人が優秀なだけだとも思うけれど。
その日の夜。再びNくんからメッセージ。
「昨日は本当にありがとうございました。おかげで今日の研修はいつも通り万全な状態で受けられました。いただいたお金ですが、Yさんに相談して、今回はありがたく受け取らせていただくことにしました。今後、同じような失敗をする新入社員がいたら、その子に同じことをしてあげたいと思います。後、ちょうどお釣りが3,000円位あったので、これもその時に使わせてもらおうと思います」
うんうん、それは良かった。と読み進めていくが、最後の文に引っかかった。
「え、お釣りあったの?」
それは、少し違うんじゃないだろうか。
Nくんが失敗を糧に、同じような失敗をする子が出てきたら、その子の立場に立ってサポートしてあげることは(こちらがやってほしいと思う)方向性としてあってる。でもそのサポートのお金は自分の金を使えと。人の金でサポートするのは間違ってないか。
しっかりしてるようで、少しツッコミどころのある新人Nくん。
とりあえず来月の新入社員歓迎会は、ウシジマくん位目を殺して、Nくん(もしくは最悪Y)に3,000円を取り立てに行きたいと思う。
今年はどんな人達と出会えるのだろうか。
最後までお読みいただきありがとうございます〜!よろしければシェアしていただけると嬉しいです!