マガジンのカバー画像

コラム・エッセイ「特筆すべき点P」(無料)

93
脈絡のない思いつきを長々と書いているシリーズです。
運営しているクリエイター

#コラム

台風15号が来た日にフライトの予定があったときの話

 今年の8月ごろ、夏休みを利用してどこかへ行こうと思って長崎県への2泊3日旅行を決めた。行き先を長崎県にしたことに特に理由はないが、強いて言うなら「猫」だった。  聞いた話では、長崎県の猫の多くのしっぽはいわゆる「カギしっぽ」というやつで、そのへんにいるのはしっぽの曲がった猫ばかりらしい。しっぽの曲がった猫を見るために長崎県に行く。そんなのも面白そうだ。  ということで。9月9日発の飛行機を予約した。LCC(格安航空券)で、往復16000円。片道8000円と考えるとかなり

100円ショップ限定のアイドルグループ「スマプロ」を知っているか

セリア(100円ショップ)に行ったらカレンダーが売ってた。 あ、これアレだ。最近よく見る……。「アイドルなんとか」……なんだっけこれ…… 「うたプリ」でもなく 「アイナナ」でもなく 「ドリフェス」でもない……。 なんだこいつらは、誰なんだ。「流行ってるらしいけど詳しく知らない界隈を見たときの印象」を具現化したような、既視感と「知らん」が同居している感覚がすごい。 正体は「スマプロ!」という、セリアオリジナルの二次元アイドルグループであった。100均グッズ限定のアイ

欠点を開き直る人はえらい

「僕、遅刻癖あるんで、集合時刻とかぜんぜん守れないんで、そこのところよろしくお願いします」  と、仕事相手に言われたらどう思うだろうか。はぁ? なんだこいつは。何を開き直ってるんだ。と、イラッとくるのではないか。  しかし、私はこういう行為を許容したい。「よくぞ言った!」と褒めたいくらいだ。その理由はシンプルで、遅刻する人間のほとんどは「私は遅刻します」と言わないから、言ってくれるぶんだけエライという話だ。あらかじめ遅刻することがわかっているなら対策を練ることができる。

子どもの頃にやっていた超能力遊び

夜に信号待ちをしながら、子どもの頃によくやっていた「超能力遊び」のことを思い出した。 超能力遊びとは、ある規則的な動きを「自分が動かしている」と思い込む、という遊びだ。 道路の中央分離帯によく、縦に2つ並んだ信号機のような形のライトが置かれている。ブリンカーライトといって、ドライバーに光で注意を促すためのものらしい。 ブリンカーライトは上下の照明が短いスパンで交互に光る。上、下、上、下、と。 そのリズムを体になじませながら、人差し指を立て、ライトの点滅に合わせてあげさ

そしてハンガーは落ち続ける

2018年6月のまんがくらぶに掲載したコラムに加筆修正を加えたものです。  ハンガーにコートを着せて壁にかけたら、ハンガー本体とハンガーのフックを接続していたネジがすっぽぬけてしまった。  コートは自由落下して座敷席の床にクシャッと着地した。どこか安い居酒屋の座敷席で起こった、事件にもならない出来事だ。  僕は落ちたコートを拾い上げ、何度か埃を払い、コートの中のハンガー本体を取り出した。このハンガーは木製で、フック部分だけが金属製になっている。フックの下部がネジになって