マガジンのカバー画像

コラム・エッセイ「特筆すべき点P」(無料)

93
脈絡のない思いつきを長々と書いているシリーズです。
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

幽霊出たけどおなかいたい

 変に安い部屋だと思ったのだ。 「晴子、このサイト知ってる? 事故物件を一覧できる地図が見れるんだ」  夕食後に浩介がPC画面を見せてきた。さっきツイッターで流れてきて存在を知ったのだという。画面をのぞき見ると、マップ上に点々と炎マークがついている。これが事故物件を示していて、孤独死や事故死、自殺や殺人などの履歴の詳細を見ることもできる。 「へえ、思ったよりも事故物件って多いんだね」 「まあ、老人の孤独死なんかよくあるから」 「うちの周りは大丈夫?」 「近所で惨殺事件と

子どもの頃にやっていた超能力遊び

夜に信号待ちをしながら、子どもの頃によくやっていた「超能力遊び」のことを思い出した。 超能力遊びとは、ある規則的な動きを「自分が動かしている」と思い込む、という遊びだ。 道路の中央分離帯によく、縦に2つ並んだ信号機のような形のライトが置かれている。ブリンカーライトといって、ドライバーに光で注意を促すためのものらしい。 ブリンカーライトは上下の照明が短いスパンで交互に光る。上、下、上、下、と。 そのリズムを体になじませながら、人差し指を立て、ライトの点滅に合わせてあげさ

どうでもいいのに見てしまう

なぜ「愛される厄介者」が存在するのか

「愛される厄介者」とでも言うべき人がいる。  実例をフィクションに絞れば、たとえば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉であるとか、『男はつらいよ』の車寅次郎、『天才バカボン』のバカボンのパパなどが挙げられる。  彼らはみな自分勝手、欲望に素直で、周囲に迷惑ばかりかけている。なのに、人々に愛されているように見える。事実、読者には愛されている。 「どうしてあんな迷惑なやつが愛されているのかわからない」という人もいるが、それはむしろ基本的に彼らが愛されているから出てくる