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2022年10月締め請求書のお手紙

私たちデザインモリコネクションは、陶磁器デザイナー・森正洋さんのデザインした製品の卸売を主な活動としていて、毎月、お取り扱いいただくショップのみなさまへ請求書をお送りしています。

ふと思い立って、2021年9月分から、請求書を発送する際、お手紙を同封するようにしました。その時々に思ったことなどを書いています。イラストレーターのデータに直接書いているので、何を書いたか分かりやすく保管しておく意味もあり、noteに置いておきます。

請求書をデジタル化した方がいいんだろうけど、その場合、こういうお手紙をどういう形でつけたら良いのか、悩ましいところ。


いつもありがとうございます。
デザインモリコネクション小田寛一郎です。

2022年10月末締め分の請求書をお送りいたします。
ご確認のほどお願いいたします。

10月に入り、この時期は稲刈り後の稲藁を燃やす(野焼き)光景があり、昔に比べて少なくなりましたが(私が小・中学生、高校生の頃は、この時期どこも煙がもうもうとしていて、煙の匂いが夏の終わり、秋の始まりというイメージになっている)、少なくなったとはいえ、いまも変わらずやっている人たちもいて、風向きによっては、洗濯物が外に干せないこともあります。あとは野焼きから火災になり消防団員として出動するとか、野焼きが火災と間違われて通報されて消防団員として出動するとか。県や農協でも稲藁を燃やさないよう指導をしているようですが、法律がどうなっているのか調べてみました。

株式会社リヴァックスという産廃関係の会社のコラムにわかりやすくまとめてあり、「「環境省の通知の背景と内容の解説」シリーズ・第14回野焼きについて」を参照します。7年前の記事なので最新かどうかは心許ないところ。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第十六条の二では、廃棄物の焼却を禁止しています。第十六条の二に続く文面では、禁止の例外を規定している。禁止の例外、つまりOKなもの。

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第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
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この条文を見ると、なんらかの基準や政令・処分に従って行われる焼却、公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない焼却、周辺の環境に与える影響が小さいと政令で定める焼却、だけが、例外すなわち、燃やしてもOKなものです。

だけれども、平成12年に出された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行について」という通知の中の「第一二 廃棄物の焼却禁止」の七番目の項目で、農業者が行う稲わら等の焼却は例外(場合によっては燃やしてもOK)ということになっています。よく考えると、法律(立法)を通知(行政)で変えていることになる気がしますが、、よくあることなのでしょうか。行政の裁量の範疇なのでしょうね。

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七 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却としては、農業者が行う稲わら等の焼却、林業者が行う伐採した枝条等の焼却、漁業者が行う漁網に付着した海産物の焼却などが考えられること。
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それでも、法律にある「公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない」かどうか、「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である」かどうか、という縛りはある模様。ともかく、やむを得ないかどうか。

燃やす以外にも、すき込み(土と混ぜて腐らせ堆肥代わりにする)や、牛の飼料として業者に売る方法もあります。多くの人たちはそれらの方法で稲藁を処理しているみたいですね。

いまも残る稲藁焼却の様子を見ていると、おじいちゃん・おばあちゃんがやっていたりして、すき込みする労働力がない、販売する方法が分からない、焼却以外に方法が思い当たらないということなのかもしれない、しょうがないか、やむを得ないな・・という気持ちになってきました。


また、ふと思ったので、追加で調べてみた「野焼きの温室効果ガス排出量」について。住商アグリビジネス株式会社・営農支援のページの「地球温暖化と未来の農業を考える②」より。
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日本全体の温室効果ガス排出量は12億1,200万トン(CO2換算、2019年データ)、その3.9%が農業由来となります(燃料の燃焼を含む) 。
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1,212,000,000の3.9%で、47,268,000トンが農業由来。それでそのうち多いのはメタンで家畜のげっぷや稲作のガス湧きなど。次に多い二酸化炭素は、ほとんどが機械や施設を動かすための燃料の燃焼とのこと。 一酸化二窒素の排出もあるようです。

稲藁の焼却・野焼きそのものは、農業分野での温室効果ガス排出の主要なものではなさそうですが、上述のページのイラスト「農業分野から排出される温室効果ガス」には、農業廃棄物の焼却で二酸化炭素とメタンが出る、というふうに描かれています。

2022.10.31
デザインモリコネクション有限会社
小田寛一郎

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