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アラスカ旅行記⑦ 「緩い」

突然ですが、アラスカ人はかなり緩いです。

例えば予約制の乗合タクシー。サイトで駅に16時に迎えに来てと予約しても、返信のメールは「やぁ、ダイスケ!僕たちのサービスを利用してくれてありがとう!11時に迎えに行くよ!」。

「滞在している◯◯ HOTELに迎えに来てほしい」と伝えても「こんにちは。明日、◯◯ VILLAGE(10kmほど遠方にある全然違う施設)に迎えに行きます」。

日本だと口頭だと間違えるからメールの方が安全とされていますが、アラスカは逆。メールより電話の方が確実。メールで問い合わせても3日くらい平気で返信がありません。

そんなアラスカ人の緩さは、時に良い方向にも作用します。

事前に申し込んであったデナリの山頂をセスナに乗って眺めるツアー。担当の人が迎えに来てくれるとのことでしたが、この日は案の定めちゃくちゃ天気が悪い。

担当者到着。

「やぁ、君がダイスケだね。今日なんだけどさ、天気悪いだろ?君の都合次第だけど遊覧ツアー、今日じゃなくていいよ

「え、マジ?でもこれって僕ひとりだけのフライトじゃないでしょ?」

「うん、でもこれじゃ山頂見えないだろうし。今日しか時間無いなら、氷河見れるところまで連れてくけど、どうする?」

「うーん、確かに今日はコンディション的に最悪だね」

「だろ。この後はこの近くに滞在してるの?あー、この後もアラスカに居るなら、明後日晴れるけど、延期にする?」

「じゃあ、そうして貰っていいかな」

「全然いいよ。じゃあ、リスケジュールしとくね。じゃあ明後日ね」

緩い……。ありがてえ……。

でも、それこそ電話で僕に事前にどうするか確認してくれたら、片道20km、往復40kmも運転しなくて済んだでしょうに…。緩いお…。ワイルドすぎだお…。

その時点で朝の9時。僕の次の目的地であるフェアバンクス行きの列車は16時に1本しかないので、あと7時間くらいある。ホテルのチェックアウト時間もあるので、駅周辺に移動して食事等で無理矢理時間を潰せど、あと5時間以上時間に空き。

何もやることが無い。時間軸も緩い。

近くのビジターセンター(観光案内所)に立ち寄ると、初心者でも歩ける往復3時間くらいのトレッキングのコースがあるという。小雨になってきたし、それ、めっちゃいいじゃないか!

とはいえ、僕にはトレッキングと森の組み合わせにトラウマが。

過去にマンガ『マスターキートン』に登場するイングランド島の西の端、コーンウォールに憧れて一人旅に出かけ、海岸線をずっと歩いていただけなのに、一本道が森の中に突入し、進めど進めどどんどん深い森になり、陽が沈んできて、急激に海風が冷たくなって、スマホやGoogle Mapなど存在しない時代に、このまま異国の森で狼に食べられて死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしたことや(20代)

オーストラリアのシドニーの郊外にあるブルーマウンテンという渓谷でも、ひとりでトレッキングして、日頃都会でまず道に迷うことがない慢心からか、森の出口が分からなくなり、あれ、これっていわゆる青木ヶ原樹海みたいなこと?青木ヶ原、ブルーマウンテン……青繋がりで●ぬやつ?みたいな状態で、陽が沈む直前にギリギリ脱出したことや(30代)

とにかく異国のトレッキング&森との相性が芳しくないけど、大丈夫かな。きっと大丈夫だよね。日々の作曲散歩の甲斐あってか結構健脚だし、レッツゴー♡(40代)


トレッキングを始めて10分
急にジュラシックパークみたいな景色が広がる
異常繁殖したキクイムシに食い尽くされた一画
温暖化による影響と言われています
下に生えてるモシャモシャした草がキレイ
こちらもキクイムシの被害
針葉樹の森が続く
雨露が葉っぱの上で
球状を保つ様って
仕組みが分かっていても神秘的
木の実の青が美しいけど
毒の実だったりして
高山の可憐な花々
葉が赤い木は
キクイムシによる被害
針葉樹の赤ちゃんなのかな
落雷で倒れたのか
キクイムシの被害で倒れたのか


アラスカは人造物が殆ど無いので、スマホの電波が届く範囲がめちゃくちゃ限定されてます。下の写真のスマホ画面の右上、衛星マークとSOSマークは「電話は通じないけど、遭難したら衛星のGPS使ってあなたのこと救出しますよ」っていうことらしい。20代と30代の記憶、再び…。

アメリカでヘリ救出依頼したら
2000万円くらい請求されそう
念には念を押しながら
道に迷わないように…

無事に下山。いやー、トレッキングして良かった。(きっとこれに気を良くして、50代の僕はまた何かしら海外の森で迷子になる気がする)

最後はアラスカ鉄道の到着を撮影すべく待機。

近くにいたアラスカ人のお爺さんが僕に「方向が逆だよ!鉄道はあっち(左)から来る!」と言い張っていたんだけど、どう考えてもお爺さんの方が間違えてると思ったら、案の定僕がカメラ向けていた方向(右)から来た。アラスカ人、とにかく緩い!

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