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落語とプレゼン、つかみのパターン。

プレゼン/講義/講演…最初の関門が「つかみ」

対象がどんな人たちか…にもよるんですが,講義でもプレゼンでも「つかみ」があるとないとじゃ意外とちがうんですよね.

場がスタートしていきなり本題に入っていくのもアリではあるんですけど,スタートしてすぐってオーディエンスもふわふわしてる場合があるので,本題に誘導するためにも「つかみ」があると空気も作りやすいです.

TEDプレゼンのショートバージョンみたいなものだと「つかみ」をやってる暇もなく,オーディエンスも臨戦態勢なのでそのままいけますけどね.

【落語とプレゼン/講義】
はい,「いいつかみ」の近道は落語にあるんです.
そして「マクラ」つまり「つかみ」で客席の反応/雰囲気/を掴みつつ演目を選んできます…
だから「つかみ」なんですね.もちろん客席の空気をほぐす意味もあります.
古典落語や江戸時代を舞台にした噺の場合,サゲ(オチ)も当時の言葉や文化が関係してくるので,その文化背景や言葉の意味を事前にマクラの中で解説しておくという役割も持ってます.「時そば」なんていう有名な噺も江戸時代の時間の数え方がわからないとサゲの意味がわからなくで笑えないんですね.さて,
落語は

① マクラ
② 本題
③ サゲ(オチ)


で構成されているので,意外とプレゼンや講義に近い.特に研修講師の場合はそうです.
僕の場合はなぜか落語にハマってた時期があって,その時に聞いていたものが役に立っています.
落語だと演目によってマクラが決まっているものもあればその時々で変化させるものまであるんですけど,マクラは本題とサゲの伏線になってることが多いんです.
場面によるとは思いますが,学会/プレゼン/講義どんなシーンでも「本題の伏線になるマクラ」を喋れるようになっておくととっても便利です!


【つかみ/マクラで反応を見る】
これは人によると思うんですが,僕が一番気をつけていることは…
「オーディエンスの反応を予想しない!」
ってことです.
自信満々のマクラでプレゼンや講義をスタートさせた時,オーディエンスの反応が予想と違っているともう地獄です.
そのあとの時間は胃痛と闘うことになるのが目に見えてます.
オッサン講師の場合は特に…オーディエンスは厳しいです.
なので,マクラでは「反応を見る」をに徹しておくことが最適解なんです.
そこで反応が良くて場が和んだらそのままスムーズに入り,空気を作っていく.
反応がガチガチに堅いのなら「ほぐす」か「硬いままいく」かを選択しながらビルドしていきます.


【例えばこんなマクラ】
画像をご覧ください

画像1

この画像はある日の授業(講義)のスライドです.
なんてことはない普通のスライドなんですが,この回のテーマはご覧の通り
「住処としての介護施設」です.ちょっとまとめます.

テーマ:住処としての介護施設
マクラ:?????
本 題:住むってことに特化して考えると介護施設ってどうあればいいんだろ?
サ ゲ:(例えば)利用者個々の生活と多人数ならではの良さをバランスさせた環境を作ろうね.

こんな感じになるとどんなマクラだといいでしょう?
ちょっと考えてみてください.


【キャラを知られてるか,そうじゃないか】
ちなみにマクラでウケを狙うのは「日本では」めっちゃくちゃ難しいです.
昔.アメリカに少しの間住んでいたんですが,テレビのチャンネル数が日本とは比べものにならないレベルで多いですよね.
日本のテレビはチャンネル数も少なく,動画全盛期でいろんな人が演者になれる時代にはなりましたが,YouTuberも勝ち負けがはっきりしてきましたね.これは日本人が日本のテレビによって「キャラでアイスブレイクする」癖をつけられたからです.
よほどキャラが立っている人ならまだしも,無名の講師やプレゼンターに対していきなり心を全開にしてくれるオーディエンスはあまりいません.
つまり,相手が自分のキャラをまだ知らないうちにマクラでウケようとするのはかなり無謀な行為だったりします.
ということで超現実的なアドバイスとしておきます.


【自己紹介+本題/サゲへの伏線をマクラにする!】
これは実際に新人教員の皆さんが初めて教壇に立つ前のシミュレーションとしてやってたスキルアップ演習です.

① テーマを適当に決める(バナナとかコーヒーとかハワイとか小学校とか…なんでもいいです)
② テーマに沿って10分間の講義内容(本題)と結論(サゲ)をつくる(それぞれ)
③ ②までできたらマクラをつくる
④ ひとりずつやってみる
⑤ 全員でフィードバック

みたいな感じです.
前段でお話ししたように,日本人はキャラ不明な人に心を開くのが苦手な民族なので(エビデンスはないですが)
「キャラを理解してもらう」
「本題とサゲへの伏線を投げる」
を同時に行うために
「自己紹介+伏線マクラ」というコンボを繰り出します.
もしくは
「自分のエピソード+伏線マクラ」
ですね.
これにスライドを1.2枚合わせると自分のこともわかってもらえます.
その時,プレゼンター/講師側は前述のように「オーディエンスの反応を見る」んです.
言ってみればマクラは「これから自分が進む道をライトで照らして見極める」作業です.
そして,どんな走り方をすればいいかを知るための行為です.
笑点の最初の挨拶もそうですが,ぜひ落語のマクラをチラッと見てみてください.
いろんなヒントがありますよ.

#プレゼン #落語 #講義 #コラム #エッセイ


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