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時間

✳︎今日のひとこと

お客様がお望みならなんでも書きます。自動手記人形サービス、バナナ・エヴァーガーデンです。←イッキ観しておかしくなってるし。
あのアニメをご存知ない方も多いと思うのですが、とりあえず強引に進めます。兵士として生まれたヴァイオレットが過去を消せないまでも、人生を取り戻していくように、私もなんと55にこの世に再度生まれました。
小学校4年より前は目に障がいがあれど、幸福な子どもとして。
そこから小説家になるまでは地獄を見て。
そのあとはただただ忙しくて。
もしも私に私の人生があるとしたら、幸福な子どもの後の暗黒時代をクリアして、今、初めてまた世界に出たのです。だから年齢は12歳くらいだと思いたい。しわもあり、子どもも産んだし、腹も出ているが。
世界は思ったよりはずっとゆるく優しく、しかし地球の人たちの風習はわからないことだらけでした。

洗濯ものを取り出して、どう干すかを考えて延ばしながら悔いなく干す。
朝座って、コーヒーを静かに飲む。
旅の思い出をかみしめながら荷解きをする。
お昼をどこで食べようか考える。
お皿をゆっくり拭いて、しまう。
寝る前にちゃんとストレッチをする。
爪を爪きりであせってバチバチ切るのではなく、やすりで整える。
それがほんとうにしたいことでした。
このどれもを、忙しすぎて20代と30代にはひとつもできませんでした。
いつもいつも辛くて、疲れていて、横になりたくて。
自動的に泣いたり笑ったりしているけれど、いつも眠くて。
なんでもいいから少しだけゆっくりしたい、いつもそれが本気で人生のいちばんの望みでした。
私がどれだけ働いていたか、そんじょそこらのブラック企業なんて屁でもないというくらいです。
これじゃいけない、こういうことはやがて作品に出てしまう、と思って、むりにでも仕事を減らして、人にも会わなくなって、やっと少しだけ上記のことができるようになりました。
そうしたらわかったのです。
そうして「今目の前の時間」を味わうことこそが人生のいちばんだいじなことだと。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…