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電気ポットでさりげなくつながる ーー 象印マホービンの安否確認システム「みまもりほっとライン」がフルリニューアル

象印マホービンの「みまもりほっとライン」は、電気ポットを使った安否確認システムだ。提供が開始された2001年当時としては、IoT活用の先駆けとなったサービスである。今回、自社開発システムからクラウドへの移行や機能の拡充など、22年ぶりのフルリニューアルが行われた。サービスの仕組みと機能について紹介する。

「みまもりホットライン」の基本となる仕組みは至ってシンプルなものだ。電気ポットの電源のオン/オフやお湯出し操作が行われた際に情報が送信され、見守る側に定期的なメールで知らせる。専用の電気ポット「i-POT(iポット)」には無線通信機が搭載されているので、利用者側がインターネットやWi-Fiの接続設定をする必要はない。i-POTのレンタル(新品を提供)を含むサービス利用料は、月額3300円となっている。

「みまもりほっとライン」サービスの流れ

クラウド化による機能追加で、活用の可能性広がる

象印マホービンは、家電製品を軸にIoTを活用するための基盤となるシステムを新たに構築し、その第1弾として、みまもりほっとラインサービスのIoTプラットフォームでの運用を開始したという。リニューアルされたポイントも含め、みまもりホットラインの特徴を次に説明する。

電気ポット
電気ポットは、内蔵される通信機のサイズが小さくなり、従来の容量2.2Lはそのままで、本体は軽量かつ小型化された。さらに、煎茶やコーヒーなど用途に合わせて使い分けられる4段階の保温設定機能のほか、見やすい設計のパネル表示や操作手順を示す番号シールなど、高齢者が利用しやすい機能が備わっている。

電気ポット「i-POT」は小型化、軽量化した。従来の料金を据え置きで提供される。
高齢者の使いやすさを考慮した便利機能が備わっている。

メール機能
使用状況を通知するメールアドレスは、最大3件まで登録できるので、家族に加え、親戚や介護関係者などとも情報が共有できる。新しい機能としては、「空だき通知」「未操作時間通知」などが追加された。例えば、操作ミスが続いたり長い時間ポットが未使用だったりする場合は認知症の前兆なども疑われるが、これらの機能は、異変に迅速に気づき大事に至る前に対処するための情報として役立つ。

ホームページサービス
クラウド化により、パソコン、スマートフォン、タブレット端末からアクセスできる「ホームページサービス(ご契約者様専用ページ)」の機能が充実した。データはほぼリアルタイムで更新され、直近1週間のポットの使用状況の確認や、過去と最近の使用履歴を比較など、生活リズムの確認に役立つデータの参照が可能だ。

さらに、1人の契約者が、複数の電気ポット情報を一度に確認できる「一括確認画面」が備わった。「実の親と義理の親を見守る」といった場面での利用や「マンション管理人や町や村の自治会長が複数の高齢者単身世帯を見守る」など、活用の可能性も広がりそうだ。

さりげなく、程よい距離感で見守る

この20年の間には、インターネットやスマートフォンを誰もが利用する時代となった。LINEや電話アプリなどを使って小まめに連絡を取ることもできるが、お互いの日常生活がある中で、安否確認のために連絡を毎日取るとなると、時に気疲れやストレスを感じることも出てくるだろう。また、そもそも親が高齢のためパソコンやスマートフォンは使えないという人もいる。電気ポットを介してさりげなく毎日を見守ることのできるみまもりほっとラインの、シンプルだからこその利点とニーズはそんなところにあるのだろう。

【サービス概要】
初期費用:5500円(税込み)
サービス利用料:3,300円/月(税込み)
※「iポット」はレンタル(新品)
※初期費用·利用料の中に含まれる料金
·「iポット」のレンタル料(送料含む)、「iポット」のご利用に関わる通信料
·メールサービスなどのサービス料
·万が一の故障時の修理費用(利用者による取り扱い不注意や外部要因によるものは除く)

文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員

トップ画像:象印マホービン

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