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日本を抜いたか?韓国バイオテック・K-bio(アペンディクス:『Kバイオ投資指針書』が取り上げた20社の概要)

1. メドファクト
ー キム・ソンジン代表 TGF-β関連論文200、引用4200
ー ベクトソティプ TGF-β阻害剤。キートゥルーダーやグリベックとの併用療法
ー 胃がん、すい臓がんの創薬を狙う

2.ティウムバイオ
ー SKケミカル新薬開発部署のスピンオフ
ー キム・フンテク代表は1990年から新薬開発に従事。血友病治療剤アップスティーラーを導出経験あり
ー Phase 2までやって導出を狙う戦略
ー TU2218  肺線維症 導出済み 7400万ドル
ー TU2670 子宮内膜症。GnRHを抑制
ー 5年以内に5つの導出、5つの国際治験

3. オスコテク
ー 癌、自己免疫疾患へのリン酸化酵素阻害財
ー 技術移転
ー レイザーティニプ ユハンに2015年に。その後18年にヤンセンに技術移転。12億5500万ドル
ー SKI-O-703 サイトカインに反応するリン酸化酵素JAKを阻害
ー G801はAML白血病のFLT3変異に作用

4. セリボリ
ー 薬物送達(DDS)技術
ー チョ・テヨン代表。23年この技術を研究。2001年にNature biotechnologyに気論文
ー 薬理物質の生体内伝達技術(TSDT)。正常な細胞は通過し、問題ある細胞にのみ薬物を届ける 疎水性アミノ酸のV字形ペプチドと薬物
ー タケダと共同研究
ー 血液脳関門BBBを直接通過するTSDT
ー コロナなどの起因するサイトカインストーム治療薬 インポーチンと結合するiCP-NI

5. ナイベック
ー 収益源として歯科用の骨移植材を生産しており、。コラーゲンも市販予定。3-4年後には年間30-40億円、営業利益率30%を見込む
ー 2004年創立のソウル大発ベンチャー。チョン・ジョンピョン代表はペプチドの研究者
ー 新薬開発を最重要視。細胞内に進入可能な薬物伝達技術である細胞透過伝達NIPEP-TPPプラットフォーム技術を持つ。抗体医薬品の短所を克服可能。このプラットフォームを抗体医薬品を組み合わせた抗がん剤候補物質を開発。転移を促すFerTを抑制。
ー 他には、大腸がんや骨粗しょう症治療薬の候補物質
ー CMOとして成長を狙う

6. レゴケムバイオサイエンス
ー キム・ヨンジュ代表はLG生命科学技術研究院で23年間経験、新薬候補物質の導出経験もあり
ー 2015年より毎年技術移転契約を締結して利益を創出
ー 第2世代抗体薬物複合体(ADC)を開発。要素技術のConjuallに優位性
ー 2019年に武田の米国子会社ミレニアムファーマとの間で450億円強の技術移転契約
ー ADCパイプラインは10以上あり

7. セルトリオン
ー Covid19治療薬CT-P59(レッキロナ)を開発
ー 2000年にバイオ業界に進出、2005年よりバイオシミラーに注力
ー 自己免疫疾患治療薬のレムシマ、血液癌治療薬トゥルクシマ、乳がん治療薬ホジュマは欧州市場、米国市場でも好調
ー 2022年に営業利益2000億円を目標としている

8. エスティパプ
ー RNA治療薬の原料であるオリゴヌクレオチドを生産するとともに新薬開発の第臨床第一相から関与するCDMO
ー FDAの最終承認待ち。2021年市販を見込む。生産能力は2022年初頭に2000キログラム程度に達する予定
ー 2019年にはスペインとスイスに拠点を有する非臨床(動物実験)CROを買収。Covid19治療薬開発をもくろむ製薬会社からの案件が増加し、稼働率上昇

9. GC緑十字
ー 血液製剤とワクチン、遺伝子組み換えタンパク質
ー CEPIを通じたCovid19ワクチンの生産を行うCMO
ー 2020年度に売上1兆5000億ウォン、営業利益503億ウォン
ー 次世代帯状疱疹ワクチンCRV-101をアメリカで第一相臨床試験実施中。2021年上半期に結果発表ご、第二相と導出を計画

10. ユーバイオロジクス
ー ワクチン専門CMO.CDMOへの成長を図る
ー 年間1000-2000万ドーズ
ー 2017年、コレラのワクチンを世界で3番目に承認を得た
ー Covid19のタンパク質再合成ワクチンを開発中。突起の一部を再合成して抗体を形成。ACE2とS1の結合を防ぐ
ー マクロファージを刺激する免疫増強剤EcML

11. シージェン
ー TOCE、DPO、MuDTなどの診断技術を持つ
ー COVID19のPCR検査キットで売り上げ急増。
ー PCRキットは5つのチャンネルあり、25種類の遺伝子を検査可能。COVID19(3種類)、インフルエンザ(A型、B型)、RSV、アデノウイルス、MERS、SARSなどを一つの製品で検査できる
ー 海外に7つの現地法人、63の代理店

12.ピーシーエル
ー 免疫診断に強みある血液スクリーニング会社。診断キットは5種類。HIV、HCV、HBV、HTLV、抗原抗体など
ー キム・ソヨン東国大学医生命工学科教授(元LG化学専任研究員)が2008年に設立
ー COVID19の抗原検査で売り上げ大幅増か。唾液抗原検査でセンシティビティは94%程度
ー ジェルでたんぱく質を固定するSGキャップ技術を利用して、既存製品よりも大幅に少ない量のたんぱく質でウイルスを検出可能。SGキャップ技術の反応率は約60%
ー 既存商品より小型化に成功したスクリーニング機器PCLOK2が2020年12月にFDA承認を受けた

13.サイトジェン
ー CTC検査。微量採血でがん診断
ー 半導体チップで免疫細胞は下に、がん細胞は上に置かれるような技術
ー チョン・ビョンヒ代表はもともとインドク大学の設計工学科教授兼サムソン電気顧問
ー 第一三共と提携。開発中の肺がん治療薬に関してコンパニオン診断
ー 骨転移がんのバイオマーカーであるオステオカルシンを検出できる技術あり。他社との提携で骨転移がんの新薬開発に向けた臨床試験を実施

14.フューチャーケム
ー 放射性医薬品を利用してがんや脳疾患の診断、治療剤を製造。パイプラインにある候補物質の保有は世界の放射性医薬品製造会社中最多という
ー チ・デユン代表は西江大学化学科教授出身。元世界放射性医薬品学会(ISRS)会長
ー 前立腺がんの治療・診断に注力。治療薬の候補物質FC-705はLutetium177とPSMA標的ペプチドを合成した物質で、韓国で臨床第一相、アメリカでは2021年第一四半期に第一相を実施予定
ー 前立腺がん診断薬の候補物質FC-303は韓国で第三相、米国で第一相試験実施済み
ー アルツハイマー型認知症の診断薬アルジャブを2018年に韓国で上市。米国では未承認
ー パーキンソン病診断薬のフィティビューも上市済み。注射90分後に検査可能

15.SDバイオセンサー
ー 2020年診断企業としては韓国最大の売り上げ
ー 免疫診断、分子診断機器、結核診断試薬
ー 韓国内で最初にCOVID19の抗原、抗体診断キットの承認を受けた。抗原検査はCT33以下サンプルで87.8-91.9%、CT25以下で95.9-100%の感応度
ー 中国、インドに現地法人。インドに生産工場あり、年間6000万回分生産可能。2021年には1億2000万回分に増強予定

16.コルマビエネイチ
ー 健康機能食品雄ODM、OEM
ー 韓国の生薬3種類を混合した「ヘモヒム」が主力商品
ー 放射線融合技術を活用して成分抽出
ー 免疫細胞の回復、造血機能の活性化などに効果
ー 販売は別会社。2020年には中国にも進出

17.コスメクスバイオ
ー 剤型のOEM、ODM
ー ホームショッピングを通じた売り上げが58%
ー 韓国、米国、豪州、中国に工場あり
ー 中国ではアムウェイ中国への納品を通じて販路開拓
ー しその抽出物の健康機能食品を2021年に上市予定。眼精疲労に効果

18.エルアンドシーバイオ
ー 皮膚、骨、軟骨移植用の製品を製造する会社。
ー 主力製品は真皮層を無細胞化する技術を活用した皮膚移植用の製品。欠陥はそのままで、免疫による拒否反応を減少
ー 2020年8月、中国進出を狙って中国国際金融公社CICCと合弁会社設立契約
ー 軟骨を移植する対候性関節炎治療剤を承認申請中
ー 肺脂肪を利用した脂肪萎縮症の治療薬も開発中

19.ケアジェン
ー ペプチドを利用した新薬と美容製品を開発
ー ペプチド関連特許は374
ー 美容製品で当座の収益を確保。営業利益は20億円程度
ー その上でペプチド関連新薬開発に投資。COVID19治療薬スパイクダウンを開発中。スパイクタンパク質S1を攻撃するペプチド
ー スパイクダウンの第一相臨床試験を米国、欧州で実施予定
ー BASFとの間でペプチド原料物質のグローバル独占供給契約を締結。BASFが開発中の化粧品原料のためのペプチドを供給。美白機能、抗老化、抗炎症機能、抗アトピー機能の4種類原料物質が対象

20.オステムインプラント
ー 歯科用インプラントで世界シェア4位。海外現地法人数は27か国29か所
ー インプラントの固定強度の調整の技術と、価格競争力を重視
ー 歯科手術時に使用するユニットチェアの製造や、歯並び矯正製品も手掛けるほか、デジタル手術領域に進出
ー その他歯科インテリア、矯正装置などに業容拡大

文責 鈴木悠司、D3 LLC ベンチャーパートナー(中国担当)

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東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、外務省入省。金融庁出向等を経て、マッキンゼー・アンド・カンパニー(東京・グレーターチャイナ)入社。主にグローバル企業の戦略策定を支援。マクロミル経営戦略室/CEOオフィス戦略開発グローバルヘッド、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ執行役員を経て、現在D3LLCベンチャーパートナー兼任(パートタイム)。ケンブリッジ大学よりM.Phill取得

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