働く時間が不愉快だったら灰色の人生だ

本田宗一郎


楽しく働くということが一番重要なことだと言ったが　

これはまさしくその通りなので

我々の本当は一番のモットーは何かといえば

金を儲けるということはもちろん今　大事なことです

金がなくちゃ　やっぱり楽しくないんだから

金を儲けるということは大事なことなんです

ところが金は幾らあったらといいか

ということになると　これはなかなか大変なんだ

金を幾らたくさん持っていたって

２人前の飯を食えば大体

腹が壊れちゃって坊主の手へ

しまいに渡らなきゃならんだからね

それで秦の始皇帝じゃないけど

3,000人を擁すれば

平に平にと謝って歩かなきゃならん

そう回りきれるものじゃないんだから

やはり金というのはあったって

邪魔にはならんけど　しかし幾ら儲けたってしようがない

現代人として一番大事なものは

２４時間を楽しく暮らすということなんだ

その２４時間のうちで

一番長い時間は何かといえば

働く時間と寝る時間なんです

この長い時間が不愉快だったら

これは灰色の人生だと思うんですよ

だから職場というものは

人生においての一番長い時間

寝る時間と働く時間は一番長い時間だから

楽しい職場にしてあげることは大事なことなんです

現代人の課題であり

そして我々経営者の

いわゆる責任においての課題だと思う

毎日毎日の積み上げが　３６５日が１年であり

１年の積み上げが

一生であるというような生活が　もしできたなら

これは現代人として素晴らしい

そして企業としても素晴らしいものだ

と私は思っておる