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マイクロソフト キネクトのインタラクティブコンテンツへの活用

イントロダクション

マイクロソフトのキネクト(Kinect)は、ゲーム業界を超えて広範な分野でインタラクティブコンテンツの革新を推進してきました。安価でありながらもその高精度なモーションセンサー技術は、ユーザーとデジタルコンテンツの間に新たなインタラクションの形をもたらし、さまざまな分野で活用されています。本記事では、キネクトの技術がどのようにインタラクティブコンテンツに応用されているかについて詳しく探ります。

キネクトの歴史

  • 2010年:「カラダまるごとコントローラー」のキャッチコピーでKinect for Xbox 360が発売され、ライバルのNintendo WiiのWiiリモコン、バランスWiiボードやSonyPlayStatimon Moveと共に、家庭用ゲーム機での体感型ゲームの人気が盛り上がりを見せました。

  • 2012年:Kinect for Windows SDKの正式版が公開され、Kinect for Windowsが発売されました。これにより、開発者はゲーム以外のアプリケーションにもキネクトを活用することが可能になりました。

  • 2014年:Xbox One Kinect(Kinect v2)が日本で発売され、より高精度なモーションキャプチャーが可能になりました。

  • 2017年:Xbox One Kinect(Kinect v2)の生産が終了し在庫品にプレミアム価格がつくなど業界に混乱が起こりました。 Intel製の同種製品RealsenseやAI技術を用いる等の代替技術の発展も進みました。

  • 2020年:Azure Kinect Developer Kit (DK)が日本で発売され、クラウド連携を活用した新しい応用が広がりました。

  • 2023年:Azure Kinect Developer Kit (DK)の生産終了が発表され、ORBBEC社などのパートナー企業に深度センサー技術のライセンス提供が開始されました。

キネクトの技術概要

キネクトは、複数のセンサーを搭載しており、以下の主要な機能があります:

  • モーションキャプチャー:深度センサーを使用して、ユーザーの動きを3D空間でリアルタイムに追跡します。深度センサーは通常のカメラと比べて暗所での撮影に強く、低照度環境でも高精度なトラッキングが可能です。暗所に強いためプロジェクションマッピング用の安価なセンサーとしても需要があります。

  • ジェスチャー認識:ユーザーの手や身体の動きを認識し、それに応じた操作を可能にします。

プロ用のモーションキャプチャ・システムは導入に数百万円~数千万円かかる場合がありますが、キネクトは数万円で購入できるため、非常にコストパフォーマンスが高い点も大きな強みです。

新しいUIとしての活用

キネクトは、従来のマウスやキーボードに代わる新しいユーザーインターフェース(UI)の研究にも利用されています。キネクトのモーションキャプチャー技術を使えば、ジェスチャーだけでコンピュータやデバイスを操作することが可能です。例えば日本マイクロソフトとニチイ学館が共同開発した医療支援システム「Opect」では執刀医が術中にジェスチャー操作で患者の情報を閲覧できるシステムの商用化を行っています、キネクトの技術を活用して今までに無い新しい操作体験を実現することが可能です。

インタラクティブ広告での応用

キネクトはインタラクティブ広告の分野でも注目されています。ユーザーが広告と物理的にインタラクトできる新しい形の広告体験が可能になります。例えば、ショッピングモールや展示会で、ユーザーが体を動かして操作するデジタルサイネージ広告や、店舗での製品紹介に利用されることがあります。これにより、消費者はよりエンゲージメントの高い広告体験を享受することができます。

エンターテイメント分野での応用

エンターテイメント分野では、キネクトを使ったゲームが最も一般的な応用例です。しかし、近年ではゲーム以外にも、インタラクティブなアートインスタレーションや、舞台演出など、多岐にわたる応用が進んでいます。演者の動きに応じて変化する映像や音楽を用いたパフォーマンスは、従来のエンターテイメントの枠を超えた新しい体験を提供します。
日本のエンターテイメントではPerfumeによるKinectの3Dスキャンを使用したライブ演出やチームラボの未来の遊園地でのKinectを利用した体感アトラクションなどが話題になりました。

まとめ

マイクロソフトのキネクトは、その高度なモーションキャプチャー技術によって、インタラクティブコンテンツの世界に新たな可能性をもたらしました。新しいユーザーインターフェース、インタラクティブ広告、エンターテイメントなど、さまざまな分野での応用例を見ると、キネクトがユーザーエクスペリエンスをいかに豊かにしているかが分かります。2024年現在、キネクトの生産は終了しましたが、その技術はORBBEC Femto Bolt https://www.orbbec.com/asia-pacific/femto-bolt-ad-japan/
などのパートナー企業の製品に引き継がれ、さらなる進化と新しい応用が期待されています。
弊社でもPanasonicの創業100周年イベント「価値創造」https://www.d1fx.com/works/app/panasonic-projection-mapping/や非公開案件で多数Kinectを利用したシステムの開発を行っております、開発をご検討でしたら、株式会社ディーワンにご相談ください。


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