エルサレムのイチゴ

【第22回】今週のアルジャジーラ〔パキスタン〕

お疲れな週末にさらにお疲れなニュースをお届けする……ってやつ、そろそろ定着してきただろうか。しつこく毎週金曜日に更新している「今週のアルジャジーラ」、いまだに誰が読んでくれているのかよくわからず、私の中では「読者:3人くらい」ということになっている。しかしnoteのダッシュボードというところでアクセスを確認してみると、意外とそんなこともないらしい。何でも続けてみるものだなあ。「あんな変なnoteが読まれるんだから俺のが読まれないはずがない」と、どこかで誰かの励みになれば幸いである。ちなみにいちばんされて困る質問は、「今週のアルジャジーラってなんなんですか」である。今週のアルジャジーラは今週のアルジャジーラだ。

Blast hits Lahore Defence area market

というわけで、私が今週気になった記事はこちら。上記はパキスタンに関する記事である。パキスタンは、「今週のアルジャジーラ」では二度目の登場だ。以前は、ラーワルピンディーという微妙な響きの都市で、市民と警官が衝突したという記事を扱った。

【日記/69】今週のアルジャジーラ〔パキスタン〕

今回の記事に登場するのはパキスタン北部のラホールという都市で、ここで爆発があり、最低でも7人が死亡しているらしい。

パキスタンでは今月テロ事件が相次いでいて、2月の半ばには南部のセフワンというところで自爆テロがあり、70人が死亡、150人以上が負傷している。また今回の記事と同じラホールでは、2月13日にも同様の爆発事件が起きており、14人が死亡している。犯行に及んだ組織はパキスタン・タリバン運動(TTP)であると見られているらしい。

ちなみに、ISILだのアルカイダだのタリバンだの、いわゆる「イスラム過激派」といわれる組織はそれぞれ何がどうちがうの? という疑問をお持ちの方は、以前まとめているので読んでみてほしい。これとは別に、主にソマリアで暗躍するアル・シャバーブという組織もあったりする。レバノンのイスラム系武装組織はヒズボラ。いっぱいあるのだ。

【日記/79】今週のアルジャジーラ〔アフガニスタン〕

ざっくり説明すると、今話題のISILはアルカイダから枝分かれした組織で、タリバンはアフガニスタン土着の組織である。パキスタンはアフガニスタンの隣の国なので、パキスタン・タリバン運動(TTP)とは、タリバンのパキスタン支部みたいなものだと考えておけばいいのだと思う。

前回の続き。前回はオスロ合意、そしてその直後のラビン首相の暗殺までをまとめた。長々と続いた中東の歴史シリーズ、今回で最終回を迎えられそうだ。

まずは2001年、ご存知アメリカ・ニューヨークで9.11同時多発テロが起きる。これによりイスラエルとパレスチナも完全に対立、オスロ合意で進みかけた和平交渉は中断となる。

2002年に、イスラエルはパレスチナとの間に「分離壁」を勝手に作ってしまう。パレスチナの人々は、壁があるせいで徒歩10分のところにあった会社や学校に行けなくなってしまい、生活が一変した。壁が恋人の家と自分の家の間に立ったりなんかするとなおさら大変だ。壁をこえて、命がけで恋人に会いにいかなければならない(分離壁が長大すぎて、壁を避けて遠回りしようとすると本当は徒歩10分なのに6時間とかかかる)。そんな恋人たちの悲劇を、ハニ・アブ・アサドという人が『オマールの壁』という映画にしている。

私も2016年の旅行のとき、このパレスチナ自治区にあるこの壁を見たが、実際に目にするとやはり悲しい気分になった。

(※落書きは、パレスチナの人々の唯一の抵抗のようだ。)

そして2005年、イスラエル軍はエジプトとの国境に位置するガザ地区から撤退するのだけど、2008年にロケット攻撃の阻止を名目にガザ地区へ侵攻。ガザはいつか訪れてみたい場所なのだけど(イスラエルからガザを通ってエジプトに出てみたいのだ)、今はまだ無理かなあ。ちなみにガザを舞台にした作品として、前出の『オマールの壁』と同じアサド監督の『歌声にのった少年』という映画がある。個人的には『オマールの壁』のほうが好きだけど、『歌声にのった少年』のほうがエンタメ色が強くてハッピーで見やすいので、おすすめするならまずはこちらかな。ガザで生まれた貧しい少年が、スター歌手を目指すというストーリーです。

というわけで、イスラエルを中心に振り返る中東の歴史シリーズは今回でひとまず一区切り。もっとわかりやすく説明できるかと思っていたけれど、意外と難しかった。

来週も「今週のアルジャジーラ」を一つよろしくお願いします。

شكرا لك!