エルサレムのイチゴ

【第29回】今週のアルジャジーラ〔イラン〕

しぶとく続いている「今週のアルジャジーラ」、最近は気になるニュースの前にグダグダ語るどうでもいい前口上のネタがなくなってきてしまった。金曜日、みなさん疲れていますか? 私は、さほど疲れておりません!

さて、今週の気になる記事はこちら。イランである。

Iran's Rouhani denounces US' Middle East ignorance

イランは前に一度取り上げたことがあって、そのときは保守穏健派の元大統領・ラフサンジャニ氏が亡くなったという記事であった。

【日記/85】今週のアルジャジーラ〔イラン〕

その後、5月19日のイラン大統領選で上の記事にあるロウハニ氏が再選を果たし、イランはどうにか保守強硬派に傾かず対欧米協調路線を維持しているということらしい。

ところで、みなさんご存知のとおり、アメリカ大統領のトランプさんは外交に関してあまり頭がまわるタイプではないようだ。先日ビビったのは、トランプさんが「イスラエルのエルサレムを正式訪問しちゃうぞ」みたいな発言をしたとかしなかったとかっていう記事だが、アメリカ大統領が「イスラエルの」「エルサレム」を訪問するなんてことになったら火薬庫に火をつけるようなものだ。イスラエルはエルサレムを首都だと主張しているが、イスラエルの実質的な経済や政治機能の中心はテルアビブにあり、エルサレムをイスラエルのものとするかパレスチナのものとするかはかなりややこしい問題を孕んでいる。

トランプのエルサレム訪問に恐れおののくイスラエル

……と思ったら、22日に本当に訪問していたのね。ひーっ!

トランプ氏、「嘆きの壁」を訪問 現職米大統領で初

で、そのトランプさんがイランを「テロ支援国家!」みたいに言って批判したので、ロウハニ氏ブチギレ、というのが今週の件の記事だ。

イランはシリアの内戦において、アサド政権の後ろ盾となっているらしい。しかし、アメリカはアサド政権と対立しており、シリアにおいてはアメリカとイランは対立構造にある。しかし目線をイラクやISILに移すと、アメリカもイランもともにISIL掃討に意欲を見せており、とりあえずわかるのは中東問題でおなじみの「結局何と何が対立してるのかわかんないYO!」という例の構図である。

トランプさんがこのイランの悪口を言ったのはサウジアラビア訪問中のことだったらしいが、サウジとイランは仲がちょーわるい。サウジはイスラム教スンニ派の国家であり、イランはイスラム教シーア派の国家だからだ──などという単純な理由でもみたいないのだが、とりあえず仲がちょーわるい。だからイランのロウハニさんにとっては、「対欧米協調路線とるって言ってるだろうが、なのに喧嘩売るのかよこのクソトランプが〜〜!」という感じなのだろう。

「今週のアルジャジーラ」のいちばんの目的は「私の勉強のため」なのだけど、「ん? イランとアメリカってどういう関係なんだっけ?」とか、「およ? サウジとアメリカはどうなってんだっけ」みたいな細かいことはすぐに忘れてしまうので、そういうときは「今週のアルジャジーラ」の過去記事を自分でさかのぼって自分で「あ〜そういうことか〜〜」と納得している。けっこう役に立ってるジャン! 願わくば私以外の誰かにとっても、「中東問題わかんないよー!」となったときに「そうだ、『今週のアルジャジーラ』の過去記事を読もう!」という選択肢が立ち上がるようになったらいいなと思う。

では、次回は6/9(金)。たぶん。あと、アメリカ・サウジ・イラン・ロシアの関係がわかりやすかったので、日経新聞のこの記事も参考にするとよいかも。

サウジとイラン 対立の構図 スンニ派とシーア派の盟主

※トランプさんも訪れた! ユダヤ教の聖地・嘆きの壁

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