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【愛用品リスト/3】Colemanのバックパック

「愛用品リスト」という無料マガジンを作った。ここに、自分が愛用している品について書いた散文を、noteのマガジンの上限である最大100記事まで追加しようと思っている……が、早くも挫折の兆しが見えている。およそ2ヶ月半ぶり、3回目の更新が、今日。私、愛用している品100もないんだわ。30記事くらいまでいったら拍手喝采でお願いします。

振り返るほどの量もないのだけど振り返ってみると、1回目が「牛乳石鹸」、2回目が「ほぼ日手帳」だった。そして3回目は、「Colemanのバックパック」でいこうと思う。

これは2015年、カンボジアに出発する2日前に、荷物をつめようと思ったらふと「あ、そういえば私バックパック持ってないんだった」ということに気が付き(遅い)、急遽ヨドバシカメラに行って購入したもの。容量は50Lなのだけど(思いっきりそう書いてある)、今年の旅行の直前まで、私はなぜかずっとこれは30Lだと思い込んでいた。バックパックの容量の感覚がよくわからない。

おかげで、自分のバックパックはものすごくちっちゃいもんだと認識していたのだが、50Lだったら別にちっちゃくはない。世界一周とかする場合でもイケるサイズである。そんなわけで、知らなかったけど私はまあまあのサイズのバックパックを背負って旅行していたらしいのでした。ヨドバシカメラの店頭で「安かったから」というだけの理由によって、なんの知識もなくテキトウに買ったわりには自分の体によくフィットするから、まぐれだけどけっこういい買い物をしたと思う。

ところで、松浦弥太郎さんの『日々の100』から女性作家のお買い物エッセイまで古今東西、自分の日用品や購入品について綴った文章は少なくない。告白するとこの無料マガジンも『日々の100』の影響を受けて作ったものだ。松浦弥太郎さんが本のなかで品良くカシミアのニットなどを紹介しているところを見ると、どこからともなく「ちくしょう!」という気分がわいてくる。山内マリコさんがセンテンススプリングで連載していたお買い物エッセイを文庫化した本も最近買ったのだけど、のっけからプラダの財布の話をしてくるので、「ちくしょうちくしょう!」と思う。

だけど、一言いわせてくれ。年齢も30に近付いてきたら、多少値が張ってもずっと使えるいいものを買って長く大切に使ったほうが良い、という言説に反対するつもりはない。だけど、バックパックは別だ。こいつは、そもそも大切になんて扱えない。粗末に扱うことを前提に考えなければならないのだ。

飛行機に乗るとき、手荷物検査のゲートをくぐるとき、こいつはあのベルトコンベアーの上に叩きつけられる。雨や嵐や砂にも耐えなければならないし、なかは荷物でパンパンになるから、重さにも負けてもらっては困る。
過酷な環境を突破するために、バックパック諸君には、とにかくタフでワイルドであることが求められるのである。あと、お金持ちの人はいいかもしれないけど、私はそこまでお金持ちじゃないので、ウン万円もするものを汚して叩きつけるわけにはいかない。バックパック諸君には、そこそこの値段でいてもらう必要もある。

その点、Colemanのバックパックくんは、安かったわりには(1万3千円)容量も強度もフィット感も申し分なく、どっすんばったんと地面や床に叩きつけても文句一ついわないタフガイだ。カンボジアに加えて、先月の中東の旅にも同行してもらったことによって、ますます愛着がわいてしまった。(体にフィットするから)君を背負うと、背筋がピンと伸びる。

「また一緒に……行ってくれるか?」

次の旅先が決まって私がそうたずねたら、きっと君は無言で、だけど力強く頷いてくれるんだろう。なんて、なんて頼りになる相棒なんだ。

手帳、財布、靴、鞄、洋服、家具、食器。モノにはそれぞれ使われるシーンというのがあって、きちんと高いものを買ったほうがいい場合もあるし、安けりゃ安いほどいい場合というのもやっぱりある(と思う)。もう30になるんだからきちんとしたものを買わなくては……という世間の波に押されそうになるとき(?)、ただ一人、Colemanのバックパックくんだけは、

「僕は……高いとか、安いとか、上質であるとか大量生産品であるとか、そういうことはよくわからない。

ただ、君が君であること。それだけが大切だと思う。」

みたいなことを、たぶんいってくれます。カッコイイ〜!

最近私は自分の軟弱さに辟易しているので、死ぬまでに、このColemanのバックパックくんのような強度を身に付けたいと思っている。高くも安くもなく、実直に、スマートに、そしてどこまでもタフに、過酷な環境でも耐えられる人間になりたい。

Colemanのバックパックくん、君は愛用品であると同時に、私の憧れなんだよ。旅の相棒として、これからもどうぞよろしくね。



شكرا لك!