『闇金ウシジマくん』はセーフティーネット? 経済評論家が読み解く“闇金と闇金マンガ”の必然性

――企業や経済をテーマにしたマンガは数あれど、90年代のバブル崩壊後から“金融”をテーマにした作品が多く見受けられる(気がする)。ここではそれら“金融マンガ”、中でも闇金や消費者金融に特化した作品を、金融市場の動きとともに見ていこう。

60作目をも超える映像化を果たした『ミナミの帝王』。(公式HPより)

 マンガ『ミナミの帝王』(原作・天王寺大 劇画・郷力也/日本文芸社)に登場する「ミナミの高利貸し萬田銀次郎」といえば、10日に1割の金利、「トイチ」の金融業者。20万円を貸す時はあらかじめ利息を引いて18万円を渡し、返せない場合は10日ごとに、利子を含めた額の1割の利子がさらにつく。

 これだけでも恐ろしい利息だが、『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平/小学館)の丑嶋馨社長はさらにすごい。パチンコ依存症の客たちに貸し付ける時は、3万円を渡して、受け取る借用書は5万円。これは、あらかじめ金利1万5000円と手数料5000円を引いているからだ。

「ウチは10日5割(トゴ)でやってるが、パチンコ依存症の『奴隷くん』には今日中に返済させる。だから、奴隷くんの金利は1日3割の“ヒサン”だ。『奴隷くん』が今日パチンコに負けて5万円が払えない場合、次の日の利息分1万5000円は払わせる。2回利息分を回収すれば、3万で元金は取れる。だが『奴隷くん』の借金は5万円のままだ。あとはジャカジャカ金を奪いたい放題だ!」(『闇金ウシジマくん』第1巻)。

 まさに恐ろしい蟻地獄だが、そんなウシジマくんの闇金「カウカウファイナンス」に金を借りにくる人たちの人間模様を描いた『闇金ウシジマくん』は単行本38巻、映画化、ドラマ化もされたヒット作。こちらも映画化されている『ミナミの帝王』に至っては、1992年に連載がスタートし、単行本140巻の超ロングヒット。これらの金貸しを扱った「金融マンガ」に、なぜ人ははまるのだろうか?

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