ストロングゼロがかすむほどの成分!――アメリカを震撼させた「フォー・ロコ」のヤバさ

――前記事「吉澤ひとみもとろサーモンも飲み込まれた!――コスパ最狂のタブー過ぎる酒? ストロング系チューハイレビュー」では国内で販売されているストロング系チューハイを取り上げたが、当然ながら海外にも「ストロングゼロっぽい酒」はあり、中でもアメリカで販売されているモルト飲料は予想の斜め上を行っていた。

アメリカのパリピたちから絶大な支持を受ける「フォー・ロコ」。(写真/Getty Images)

 日本中を席巻しているストロング系チューハイ(以下、ストロング系)の波は海外でも注目されており、ネット上にはそれらを紹介する外国人の動画も数多くある。そんな中、とある動画を見ていて気になったのが「ストロング系はまさしく“日本版Four Loko”である」というセリフ。「Four Loko(以下、フォー・ロコ)」とは一体……?

 調べてみたところ、北米・中南米・アジアの一部で販売されている缶入りの「アルコール麦芽飲料」とのこと。そして、そのアルコール度数はなんと最大14%!海外にもストロング系っぽい酒は存在するのだ。

 フォー・ロコは2005年にオハイオ州立大学の学生たちによって開発され、その名はアルコール、カフェイン、タウリン、そしてガラナの4つの成分が含まれていたことに由来する。

「カフェインとアルコールなんか混ぜて大丈夫なのか?」と思ってしまうが、前出のドクター・クラレ氏いわく「アルコールとカフェインの相性は非常に良く、エナジードリンクの秘密の成分として1%未満の少量(表示義務がない)アルコールが添加されているものも多い」という。さらに「カフェインを体内に取り入れることによって体温と血圧が上昇し、血管が拡張します。そこへアルコールが入り込むと身体は元気になったと“錯覚”するのです。ストロング系にコーヒーを混ぜたらすごい効果が期待できるかもしれませんね」とのことだ。

 ドクター・クラレ氏の説明を聞くと、どう考えてもヤバそうな酒だが、案の定10年には全米各地の大学などでフォー・ロコの乱用による急性アルコール中毒が多発、死者までもが出る事態となった。結果、行政の指導が入ることとなり、フォー・ロコの販売元はカフェイン、タウリン、ガラナを主成分から除外すると発表した。これを受け、発表直後から“規制前”の商品を大量購入する動きが起こり、ブラックマーケットが形成されたという。

 しかし、その人気は依然として高い。バリエーションも年々増えており、17年にはボトル入りで、なんとアルコール度数35%の製品も発売されている。

 そんなフォー・ロコだが、日本ではまだ入手する術がない。ドクター・クラレ氏によれば「カフェインとアルコールを混ぜてはいけないという法律は日本にない」とのことなので、仮に規制前と同じ成分で販売された場合、日本が一気に巨大市場にもなり得る。

 果たしてストロング界の黒船が上陸する日は来るのか……? 日夜ストロング系を嗜むファンとしては、ヨダレを垂らしながら待つしかない。

職場で飲んでもバレないの? 芥川賞作家による「ストロングゼロ文学」?

 ストロングゼロが話題になり始めた2年前。ツイッター上では「ストロングゼロ文学」なるものが誕生し、有名な文学作品にストロングゼロを紛れ込ませたり、ストロングゼロに関するエモーショナルなポエムツイートが多数投稿されていた。

 そんなブームも落ち着いた昨年末、「新潮」(新潮社)の2019年1月号に『蛇にピアス』(集英社)で知られる芥川賞作家の金原ひとみが、その名も「ストロングゼロ」という作品を発表。流行作家の「ストロングゼロ文学」だ!

 本作の主人公は仕事中にもかかわらずストロングゼロを飲む女性編集者。鬱状態の彼氏との同居や仕事のストレスから逃れるために、職場でもアイスコーヒー用の氷入りのカップにストロングゼロを入れてストローで飲んでいるのだが、その行為を思いついたときの「こんないいアイディアを思いつくなんて、私はすごい」というセリフは、ツイッターに投稿される「ストロングゼロ文学」を彷彿とさせる。

 昨年、パリから帰国した著者にしてみれば、ストロングゼロは興味深いカルチャーに見えたのかもしれない。

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