天皇をめぐるスキャンダルも――大人もうなる描写が満載! 日々進化する歴史学習まんが

――児童書のコーナーに行くと、最近とみに盛り上がっているのが、歴史学習まんがの棚。昔からあるジャンルだが、近年新規参入やリニューアルが繰り返され、どんどん新しくなっている。大人の勉強にも耐え得るそのシナリオは、どのようにつくられているのか?

多くの人気マンガ家が装画を担当する集英社の『日本の歴史』シリーズ。

 歴史を子ども向けにわかりやすく描いた歴史学習まんが。それは長らく、学校の図書館に置いてある唯一のマンガであり、親が率先して買ってくれるもの。さらには読んでいても、「勉強してる」と言い張れたことから、多くの本誌読者は、小学生時代にお世話になったのではなかろうか。

 その、歴史学習まんがの世界が、最近とみに活況を呈しているようだ。皮切りになったのは、2015年に刊行された、『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』(全15巻)【1】。歴史学習まんがには初参入のKADOKAWAながら、手に取りやすい判型と、現代的な絵柄、そして大人も学べるほどの本格的な歴史観で評価され、累計400万部を突破したとのこと。

 また、歴史学習まんがの老舗出版社のひとつである集英社は、16年に全巻を新たに描き下ろした『学習まんが日本の歴史』(全20巻)【2】を発売。もっとも大きな特色としては、明治以降の近現代史に13巻から20巻までの8巻を費やし、20巻は『平成時代』のみに丸々1巻を割いていることがあげられる。

 これらの新シリーズは人気マンガ家を起用していることも特徴で、KADOKAWAでは『ケロロ軍曹』の吉崎観音や『DEATH NOTE』の小畑健、集英社では『NARUTO』の岸本斉史や『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦、『東京タラレバ娘』の東村アキコなどが表紙イラストを手がけている。もっとも、これらのマンガ家はあくまで表紙のみで、中身は別のマンガ家が描いているのだが……。そして、今年18年の10月には、これも歴史学習まんがの老舗の小学館が、ロングセラーシリーズに新たに1巻付け加える形で、『少年少女日本の歴史 22巻 平成の30年』【3】を発売。さらに同社は、長く集英社と学研のみの刊行だった世界史まんがを『学習まんが世界の歴史』(全17巻)【4】として、11月末に発売するなど、歴史学習まんがをめぐる各社の出版攻勢はデッドヒートの様相を呈しているのだ。

平成の歴史をどうまとめるか?

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