SUUMOがエアビーに低所得者用物件を供給!?――リクルートと楽天の思惑とは? 民泊利権を狙う宿泊&住宅サイト

——今年6月、いわゆる民泊新法が施行される。これを前に、リクルート系の不動産情報サイト「SUUMO」と外資民泊仲介サイト「Airbnb」が業務提携するなど、民泊事業をめぐる大きな動きが見られる。では、民泊市場に絡もうとする宿泊系サイトや不動産系サイトは、どんな思惑を抱いているのか──。

■これで“ヤミ民泊”は排除される? 旅館業法と民泊新法の違い
旅館業法で規定されている「簡易宿所営業」と、住宅宿泊事業法(民泊新法)の「家主居住型」「家主不在型」で規定されている宿泊施設提供条件をまとめてみた。
※参考:ウェブサイト「民泊の教科書」

 2017年6月9日、住宅の空き部屋やマンションの一室に旅行者を宿泊させる「民泊」のルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が参議院本会議で可決。18年6月15日に施行される。

 それまで、民泊はその8割以上が法のグレーゾーンで行われる“ヤミ民泊”といわれてきたが、同法の成立により、民泊ホストは都道府県に届出をすることで年間180日の営業日数を上限として合法的に民泊を運用できるようになった。これを受け、民泊事業をめぐる動きが活発化しており、中でも楽天とリクルートの動向に注目が集まっている。

 具体的には、楽天は17年6月、日本最大級の物件掲載数を有する不動産情報サイト・LIFULL HOME'Sを擁するLIFULLと共同で設立した新会社・楽天LIFULL STAYを通じて、国内における民泊事業への参入を表明。7~8月にかけて米エクスペディア・グループ傘下のHomeAway、台湾のAsiaYo、中国の途家(トゥージア)といった海外の大手民泊サイトと業務提携することを発表した。さらに、12月には世界最大規模の宿泊予約サイトであるオランダのBooking.com(以下、ブッキング)との提携に合意。これによりブッキングが日本市場で民泊事業に参入するとともに、楽天LIFULL STAYの民泊情報はブッキングにも掲載されるようになる。

 一方のリクルートは18年1月、不動産情報サイトのSUUMOを運営するリクルート住まいカンパニーが、民泊仲介サイト世界最大手の米Airbnb(以下、エアビー)と業務提携し、民泊事業へ参入。SUUMOに物件を掲載する不動産オーナーに対し、空室を民泊として活用できるように提案・支援することで、物件の収益性を向上させる算段だ。

 本稿では、この“楽天×ブッキング”と“リクルート×エアビー”という2強に代表される、民泊事業をめぐる宿泊系サイトと不動産系サイトの思惑に迫りたい。

旅館・ホテルを敵に回す楽天トラベルの真意

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