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新しいニッポンのタブー【2020年2月号第1特集】

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記事一覧

心神喪失者の行為は、罰しない――精神障害者の犯罪はなぜ減刑? 医療観察法の知られざる実態

――精神科に通院歴のある犯罪者が裁かれるたびに「責任能力」の有無が問題となるが、触法精神障害者を対象とした医療観察法という法律が成立して今年で17年たつことは、どれだけの人が知っているだろうか? 「刑罰のタブー」と言えるこの処遇をめぐる深い闇とは――。

『精神障害者をどう裁くか』(光文社新書)

 2019年12月5日。東京高裁で、ペルー国籍の34歳の男性に無期懲役の判決が言い渡された。15年、

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日本でも麻薬をさばいた天才プログラマー……まるで闇社会のジェフ・ベゾス! 時代を先読みする新・麻薬王の肖像

――コロンビアのパブロ・エスコバル、メキシコのエル・チャポ……。麻薬王には凶悪でド派手な男といったイメージがあるが、それをポール・ルルーという人物は覆したかもしれない。彼はインターネットを駆使し、麻薬密売をはじめ闇ビジネスをグローバルに展開した。新しき麻薬王の実像に、国際ジャーナリストの山田敏弘氏が迫る。

「タイム」の元記者で女性ジャーナリストのエレイン・シャノンが著した書籍『Hunting L

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#PRタグ外しの指示はあったのか? 電通にはびこる悪しき忖度体質!『アナ雪』ステマ問題本当の戦犯

――映画『アナと雪の女王2』のプロモーションに際して、マンガ家たちが報酬を受けていたにもかかわらず受発注の関係性や「#PR」を明示しなかったとして問題になったいわゆるアナ雪ステマ疑惑。なぜディズニージャパンや電通はステマに手を出したのだろうか?

ブロガーだけでなく、ニュースサイトなどでも報じられたこのステマ問題。数年前に大騒ぎになっただけに、アレルギー反応は根強い。

 昨年末時点で世界累計の興

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スラング、コカイン、大麻栽培まで――ラッパーの“禁忌”な生き様――SEEDAが語る映画『花と雨』

――SEEDAが2006年にリリースした傑作アルバム『花と雨』を原案とした同タイトルの映画が封切りとなった。ドラッグディールの細かな描写から、ヒップホップムービーへのリスペクトまで、彼のリアルな生き様が映像として大成した。

(写真/cherry chill will)

 誤解を招く表現かもしれないが、自他共に認めるSEEDAの珠玉の名作『花と雨』を映像化することは、一種のタブーなのかもしれない

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すべての初期衝動を映像に落とし込む――『WALKING MAN』でANARCHYが望んだ描写

――ANARCHYがメガホンを執ったことで話題となった映画『WALKING MAN』。彼が映画で表現したかったこと、描写したかったこととはなんだったのか? ラッパーとして成功を収め、そして映画監督としての才を見せた男は、次作への構想も話してくれた。

(写真/cherry chill will)

 注目の若手俳優・野村周平が、どん底の生活からラッパーとしての成功を目指す主人公〈アトム〉役を演じる

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【丸屋九兵衛/視点4:ヒップホップ】ホモフォビアが根強いシーンで鎧をまとった直前の歌姫に近い

――“演歌界のプリンス”と呼ばれてきた歌手の氷川きよし。このところ、“変身”が見られるとして話題となっている。また、週刊誌で“生きづらさ”を語ることもあった。しかし、これらがいわゆる“カミングアウト”に当たるとは言いづらい。一体、何が起きているのか――。フワッとした報道ばかりの状況下、本誌は徹底的に論じる!

丸屋九兵衛(万物評論家)

まるや・きゅうべえ
京都・伏見稲荷出身。ブラック・ミュージッ

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【輪島裕介/視点3:演歌】芸能の性別越境を回復し演歌の規範を突破する

――“演歌界のプリンス”と呼ばれてきた歌手の氷川きよし。このところ、“変身”が見られるとして話題となっている。また、週刊誌で“生きづらさ”を語ることもあった。しかし、これらがいわゆる“カミングアウト”に当たるとは言いづらい。一体、何が起きているのか――。フワッとした報道ばかりの状況下、本誌は徹底的に論じる!

輪島裕介(音楽学者)

わじま・ゆうすけ
1974年、金沢市生まれ。大阪大学大学院文学研

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【湯山玲子/視点2:男性論】ミサンドリー時代に合った男と女を行き来する戦略

――“演歌界のプリンス”と呼ばれてきた歌手の氷川きよし。このところ、“変身”が見られるとして話題となっている。また、週刊誌で“生きづらさ”を語ることもあった。しかし、これらがいわゆる“カミングアウト”に当たるとは言いづらい。一体、何が起きているのか――。フワッとした報道ばかりの状況下、本誌は徹底的に論じる!

湯山玲子(著述家・プロデューサー)

ゆやま・れいこ
映画、音楽、食、ファッション、クラ

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【森山至貴/視点1:クィア】きーちゃんを苦しめてきたテレビ的“疑惑”フォーマット

――“演歌界のプリンス”と呼ばれてきた歌手の氷川きよし。このところ、“変身”が見られるとして話題となっている。また、週刊誌で“生きづらさ”を語ることもあった。しかし、これらがいわゆる“カミングアウト”に当たるとは言いづらい。一体、何が起きているのか――。フワッとした報道ばかりの状況下、本誌は徹底的に論じる!

森山至貴(社会学者・作曲家)

もりやま・のりたか 1982年、神奈川県生まれ。東京大学

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橋本環奈に熱愛報道が?――芸能記者が語る2020年のゴシップ予想



『橋本環奈 写真集 NATUREL』(講談社)

 薬物逮捕や闇営業問題など、不祥事続きだった2019年の芸能界。では、今年の週刊誌報道を賑わすのはどんなタレントなのか? 日夜ゴシップを追う、芸能記者は次のように語る。

「いつか絶対に撮られるだろうなと思うのは橋本環奈ですね。このところ夜遊びの目撃情報が頻繁に入ってくる。共演俳優と飲み歩く姿も目撃されているし、ジャニーズタレントとの交際の噂

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タレントに尿検査を強いるのはタブーなのか?――業界変革は嵐が去ったあとから! 関係者が語るエンタメ未来展望

――昨年はさまざまな芸能ニュースがちまたを賑わせた1年だった。芸能関係者にとっても疲労困憊だった2019年を振り返りつつ、嵐の活動休止や氷川きよしの方向転換などから見えてくる2020年の業界展望を語っていく。

2019年芸能スキャンダル大賞は間違いなく沢尻エリカの薬物逮捕だろう。今年の大河ドラマ『麒麟がくる』にキャスティングされていたが、すべて台無しに。

[座談会参加者]
A…大手芸能事務所デ

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雑誌記者を名乗るヒットマンも登場――抗争激化で売上&トラブル増加! 山口組分裂と“ヤクザ記事”の今

――2015年に「神戸山口組」と「六代目山口組」が分裂して以降、抗争状態が続く山口組。以降、分裂に関係するとみられる事件は100件以上発生し、死者も10人に。昨年10月、六代目山口組の若頭・高山清司の出所前後から、再び抗争が激化しているが、ヤクザ記事を毎号掲載する実話誌の報道はどう変わったのか?

『若頭の社会復帰と三つの山口組の行方 中野太郎の激震から七代目の野望まで』(徳間書店)

 依然とし

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「桜を見る会」で再注目される!――指針はあるけど基準は曖昧! 暴力団に限らない反社の定義

――安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力が参加していたことをめぐり、政府は「反社の定義は困難」と答弁書を閣議決定した。確かに反社の定義というのは曖昧で、時代によって変わっていくものだろう。それでは、今の時代はいったい何をもって「反社」と定義されるのだろうか?

(絵/藤本康生)

 誰もがコンプライアンスに縛られるこの時代に、あろうことか政府がやらかした。昨年末から盛り上がりをみせている

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ポピュリズムの波に乗って台頭!?――大統領なのに子どもにケンカを売る! 世界の過激な保守派リーダーたち

――ドナルド・トランプ政権誕生以降、世界各地で「○○のトランプ」と呼ばれる保守派リーダーたちが続々登場している。近年は欧州を中心に「ポピュリズム」が台頭していることもひとつの要因とも見られているが、なぜ世界的にこのような過激派たちが人気を博しているのだろうか?

『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』(日本経済新聞出版社)

 昨年12月18日、米国下院本会議はドナルド・トランプ大統領による「

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