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オトナの写真学【2018年6月号第1特集】

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2018年5月の記事一覧

批評性が求められる?――海外の写真教育事情



『写真総合』(インプレス)

 前記事「学生はアラーキーよりもSNSがお好み?――動画やインスタの台頭で変化する学問としての“写真”最新潮流」で話を伺ったフォトキュレーターの小高美穂氏は、大学の英文学科を卒業後に渡英。イギリスの大学院(Falmouth Collage of Arts)の写真学科で学んだ経歴を持っているが、どのような教育が行われていたのだろうか?

「ひとつ驚いたのは、社会人が

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学生はアラーキーよりもSNSがお好み?――動画やインスタの台頭で変化する学問としての“写真”最新潮流

――写真の教育については、写真学科やそれに類する学科が複数の大学にある一方、専門学校も数多く存在。だが、著名な写真家の中には、そのような学校で教育を受けていない人もいる。写真を学校で学ぶ意味は? 大学と専門学校の違いは? 動画の発達やインスタグラムの人気の影響は? 写真教育の現状を、有識者の声をもとに見ていこう。

『(簡易版カラーチャート付) さぁ、写真をはじめよう 写真の教科書』(インプレス)

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日本企業も頑張って!――世界を変える“最尖端”画像技術選

―― ここでは、すでに世界で商品化されつつある“最尖端”AI画像技術を紹介していこう。

■フォトショップで有名なアドビが提供しているAIツール

Adobe Sensei適切な画像の検索、理想的な合成画像の作成、効率的なデータ分析が可能。レタッチする写真の顔の特徴を検出する「顔認識」や、被写界深度や色の鮮やかさをフィルタリングできる「ビジュアルサーチ」が搭載されている。

■マイクロソフトが開発

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本物と見まごうエロコラも爆誕!――AIが“異次元”写真を生み出す? 世界からカメラマンが消滅する日

――AIの発達していく中、IoT社会を支える技術としてカメラの進化は不可欠。画像解析による顔認識やAIアルゴリズム、ディープラーニングを使った画像補正など多方面に拡散しており、これらが生活や文化・感性にまで浸透しつつある。カメラの進化で、我々の表現はどう変わっていくのか?

現在の写真界で、衝撃作品を生み出し続けるヴォルフガング・ティルマンス。

 写真はテクノロジーの進歩と共に発展・変化を遂げて

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真実よりも重視される“世界を変えた”1枚の意義――映された事実と写されなかった真実、歴史を変えた報道写真の光と影

――報道写真の歴史を代表する1枚、ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」は、戦闘中の写真ではなかったことが現在では確実視されている。そしていま、デジタル技術の進化によって、報道写真の加工処理が問題となっているという。フォトジャーナリズムは、どこに向かおうとしているのか? 最前線の報道写真家にフォーカスし、その現状を読み解く。

イスラエル軍戦車に発砲していたパレスチナ武装勢力のメンバーが、イスラエ

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戦場写真をトイカメラ風に!? 報道写真をめぐる加工の境界線



O.J.シンプソン事件を伝える二誌。同一の写真を採用しながら、印象の違いは明らか。

――デジタル化が進む写真において、もはや加工はありふれたものとなった。被写体を見やすくするため、撮影者の意図を強調するため……その理由はさまざまだが、こと報道写真についてはその是非が問われている。

 前記事「政治とフォトジャーナリズムが作ってきた歴史の裏側――戦争は“フェイクニュース”の温床!? 写真が形作

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政治とフォトジャーナリズムが作ってきた歴史の裏側――戦争は“フェイクニュース”の温床!? 写真が形作ってきた“偽史”

――加工・改ざん、恣意的な演出や利用など、「真実を写し出す」とされる写真はその半面、“ウソ”の歴史でもある。クリミア戦争に始まり、第二次世界大戦やベトナム戦争、イラク戦争……常に世論を動かしてきたフォトジャーナリズムの中で生まれた“報道写真のウソ”の歴史と、その影響を探っていく。

同書にて、石川氏は自身の写真に対し「演出であるという批判を受けた」経験についても記している。(『報道カメラマン』石川

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飯やネコを撮るだけがカメラじゃない!――UFO&心霊写真はコレで激写! モノ雑誌ドン引きのカメラ批評

――よくモノ・グッズ雑誌では「ご飯を撮るならこのカメラ」や「夜景を撮るならこのカメラ」など、シーン別にカメラの機能を分析する記事が多いが、カメラの使い道はそれだけじゃない! そこで、7つのシチュエーション別にサイゾーが考える、最適なカメラをレビューしていく!

『カメラはじめます!』(サンクチュアリ出版)

 スマホでの撮影が当たり前になった今でも、モノ・グッズ雑誌では「ビギナーでもインスタ映えす

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ピース綾部撮影のどスケベ写真も……福山・永瀬はプロクラスに認定、芸能人写真家の存在価値を査定!

——福山雅治や永瀬正敏など、玄人はだしの写真を撮るとして有名な芸能人たち。彼らは本当に写真がうまいのか? サブカルチャー研究者で、早稲田大学助教を務めるトミヤマユキコ氏が、芸能人カメラマンの真価を一刀両断。芸能人でありながら写真を撮ることをアピールする彼らの自意識を暴く!

福山雅治や永瀬正敏と比べるといまいち有名じゃないが、玉木宏も相当なカメラ玄人なんですよね。

「趣味はカメラ」と公言する芸能

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Tバックじゃなければ局部撮影もOK?――着エロより危険な“アート”作品も! 水着グラビアは性の商品化なのか?

——世界的な#MeTooムーブメントにより、これまで無頓着だった日本の写真界にもその波が押し寄せてきている。一部では、水着グラビアも“性の商品化”だとして、議論を持たぬまま自主規制に走るメディアも。このまま水着グラビアはアートの文脈から完全に切り離され、姿を消してしまうのか?

水着グラビアで“発見され”、女優として大ブレイクを果たした吉岡里帆。一部のファンから反感を買ってしまったが……。

「世

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希子の炎上から見えてくる日本のジェンダーギャップ――あえてアラーキーに噛みついた!? インスタ炎上姫・水原希子の研究

——フォロワー数498万人を抱えるインスタで突如、写真家・荒木経惟に噛みついた女優の水原希子。なぜ彼女はこれほどまでに炎上するのか? そしてなぜ炎上してなおファッション誌・広告に引っ張りだこなのか? 本誌連載陣にして「乙女心」を探求し続けるライター稲田豊史が、フォトジェニックすぎる彼女の魅力を徹底考察する。

(イラスト/サイトウユウスケ)

Kiko's Profile[Kiko's Spec]

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中国やイスラム圏の同性愛者も被写体に……差別に抗うより自然体がクール! 進化する“LGBT写真”の美意識

——日本でも浸透するようになったLGBTという言葉。ただ、写真史を振り返れば、古くからゲイの写真家はいたし、ホモセクシュアルの人々が被写体になることもあった。では、現在に至るまでLGBTと写真の関係はどう進化/深化してきたのか——。各時代でキーパーソンとなった写真家たちを取り上げながら、その変遷を見てみよう。

古代をイメージした少年ヌード
【1】ヴィルヘルム・フォン・グレーデン
『Wilhelm

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【田中東子】女性を搾取した制作方法を内在的に批判する新しい写真【論点4/フェミニズム】

——エロティックな女性ヌードなどで知られ、世界的な評価も高い写真家・荒木経惟。長年、彼のモデルを務めてきたKaoRiさんによる告発が、「#MeToo」のひとつとして世間をざわつかせた。ただ、この騒動をめぐる議論は錯綜している。そこで、本当に語るべき論点を整理し、問題の本質に迫りたい。

田中東子(社会学者)
たなか・とうこ 1972年生まれ。大妻女子大学文学部准教授。専攻はメディア文化論、カルチュ

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【黒瀬陽平】法に触れた芸術家の沈黙は表現の萎縮につながる【論点3/アート】

——エロティックな女性ヌードなどで知られ、世界的な評価も高い写真家・荒木経惟。長年、彼のモデルを務めてきたKaoRiさんによる告発が、「#MeToo」のひとつとして世間をざわつかせた。ただ、この騒動をめぐる議論は錯綜している。そこで、本当に語るべき論点を整理し、問題の本質に迫りたい。

黒瀬陽平(美術家・美術批評家)
くろせ・ようへい 1983年、高知生まれ。アーティスト・グループのカオス*ラウン

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