しぐなす

200字小説「愛せるなら愛してみろ」

「あなたを心から愛しているわ」 「残念ながら俺はあんたが思っているような人間じゃねえんだ。もうわかっただろう、伯爵家の息子なんて嘘っぱちさ。なんなら盗みだって人…

200字小説「たとえばの話」

 たとえば私があなただったら、「いつも仕事がんばってるね」と言うでしょう。「女子は愛想がよければいいなんて嘘だよね」と言うでしょう。「君も入社して五年か。君のよ…

掌編小説「息子」

 十時過ぎてから、おふくろが急に医者に行くと言い出した。明日休みだから今日行かないとだめなんだと言う。そんなはずはない。明日は火曜日で祝日でもない。だが逆らうと…

掌編小説「ステキな奥さん」

 俺と嫁は幼なじみ。小さい頃は背比べをしあった仲だ。大きくなったら結婚しようって、小学校に行く前に言ってたけど、ほんとにそうなるとは正直思ってなかった。  結婚…

掌編小説「恋忘れ草」

 どういふご縁だつたのでございませう。東京帝国大学の学生さんが、弟の大次郎のお勉強をみに、月に何回か我が家にいらつしやるようになりました。片岡文彦様とおつしやる…

仄聞伝説(ほのぎきでんせつ)「想い、あふれて」

 昔、桂川のあたりのお屋敷に、美しい姫君がいらっしゃいました。  夏の夜、内庭にたくさんの蛍が飛び交っているのを、姫君がごらんになって、 「蛍をとって」とおっしゃ…