魔法使いウィズ作者 楠本裕樹氏・己の源流を探して
誰にも忘れられない特別の一本があると思います。今回は僕にとって忘れじのゲームの作者に、38年の時を経てたどり着いたというお話です。
魔法使いウィズは僕が初めてお小遣いを貯めて買ったゲームです。1986年前期は魔城伝説やイーガー皇帝の逆襲などコナミのMSX名作が次々と発売されていました。しかしMSXの友人達が皆こぞって購入していたので、どうせ貸して貰えると踏んでいたのです。テクザーやキャッスルなども名作でしたが、ファミコン版を友達の家でプレイしていたので、どうしてもMSXのオリジナルタイトルが欲しかったのでした。
そんな訳でソニーのショールームで散々に遊び倒した後「これならいける!」と購入を決定。丁度MSXゲームの転換点であるメガロム第一弾グラディウスが発売される少し前の光景です。
ウィズはの原作はセイブ開発のアーケード版でした。僕も後にプレイしましたが、全然別のゲームと言う印象です。AC版は基本的に一本道の横スクロールアクションで、美しい背景や多数のキャラクタ、そして可愛い演出を楽しむゲームです。
しかしMSX1ではとても再現できない内容でした。しかしMSX版はその制約を逆手に取り、地上・地下迷宮・天空と全く違うゲームが展開されていきます。
またお姫様を救うというストーリーが設定され、ようやく天空の城に辿り着いてご対面になると思ったら・・・とんでもないどんでん返しが待っていたりします。このように少ない32KBの中に魔法と冒険が詰まったMSX1の古典的名作です。
しかしこの時期はMSXにも多くの名作が発売され、雑誌での情報は多くありません。開発もソニーなのかセイブ開発なのか謎のままでした。しかし2024年になってゲーム雑誌Beepのコラムで貴重な情報を発見したのです。魔法使いウィズを作った人、楠本裕樹さんの文字を見つけた時は心が躍りました。
早速楠本裕樹さんについて検索してみると、模型丼さんという模型関連のHPに楠本さん御自身のコメントがありました。当時ソニーでゲーム制作をされていたとのことで、これまた名作のMSX版ガルフォースも制作されていたそうです。パソコン少年にはログイン誌で有名な横山宏先生や伝説的なメカニックデザイナー柿沼秀樹さんなども登場して読みごたえのある内容です。
僕は全然模型には詳しくないのですが、楠本裕樹さんは10代の頃からモデラーとして活躍され、2002年当時はおもちゃの企画や、原型師、ゲームデザイナーなど多方面に活動されていたそうです。
MSX版ガルフォースや魔法使いウィズは非常に独創的なゲームで、そのオリジナルな部分がMSXの非力さを補っていたように感じていました。楠本さんのマルチな才能がその根幹にあることを知れたことを、僕は嬉しく思いました。
僕も齢50を過ぎて、多くの偉大な作品によって自分が創られていったことを自覚するようになりました。それらの創作物の歴史を辿ることは、自分の源流を探索する旅路でもあります。これからもこうして思わぬ場所から見つけ出した宝物を、皆さんと共有出来たらと思うのでした。
MSX版魔法使いウィズ よもやま話
①僕はウィズのアイコンをネット黎明期の1998年から使用しているのですが、いろんな人から「くろまどうしのパクリか?」と聞かれます。最近では
🤷♀️「あんたのアイコン、これのパクリでしょ?」
と嫁がファイナルファンタジーのTシャツを御揃いで買ってくる始末。
ファイナルファンタジー FC版1987年12月18日発売
魔法使いウィズ MSX版1986年5月21日発売
そっちがパクッとんじゃあああ!🤬
因みにEDではウィズ君の正面のショットが拝めるんですが、こっちはもっとFFの黒魔導士に似ていますよ🤣
②MSX版魔法使いウィズの海外版の情報です。
③最後に折角なので当時の雑誌の記事や資料を掲載してみます。
魔法使いウィズMSX版を遊びたいという方への情報。
現在では中古ROMか1993年8-9月号のMSXFAN付録FD版のどちらかになります。FD版はデーターを刷りだせば簡単にエミュで遊べるのでお勧めです。AC版ウィズはアケアカシリーズで手軽に遊べるのでこちらもお勧め。
1993年8-9月号のMSXFAN記事。MSXFANらしい解りやすいまとめです。
MSXマガジン1986年6月号 この号で購入を決意した思い出の記事です。1986年5月21日発売の情報が。
マイコンBASIC 1986年7月号 ベーマガの名物ライター断空我さんが担当。
ログイン1986年 06月号
Beep 1986年7月号
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