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映画を見ない私のAmazon Prime Video鑑賞記「聖の青春」

映像の作り手のはしくれなのに、映画を見に行くことはほとんどありません。
気になった映画があっても、人が多い最初の頃は行きたくない、行こうかなと思った頃には終わってしまっている。映画が始まったら他のことは全くできないのでソワソワする(それがいいところなのに)。
そんなこんなで、せっかくのいい作品を見逃し続けています。

ところが、最近便利なサービスに気づきました。Amazon Prime Video。
「実家がAmazon」を公言するくらいAmazon依存症の私。当然のごとくプライム会員に加入しているのですが、プライム会員のサービスの中に、Amazon Prime Videoの一部作品を無料で鑑賞できる特典があり、これが「おまけ」というにはもったいないくらい良質の作品が揃っています。ちょっと時間ができたときに見はじめることができて、中断自由。飲食もポップコーンだけでない豊富な品ぞろえの「おうち映画館」が私にあっているようです。

今回私が観たのは「聖の青春」。

現在、将棋界では藤井聡太七段が一般のニュースにも登場するくらい話題になっていますが、今を遡ること30数年前、平成のはじめにも、将棋が話題になった時期がありました。
「羽生世代」
羽生善治現九段を中心に、若手棋士が台頭し、将棋界の世代交代が進みます。その「羽生世代」のひとりが村山聖九段(段位は没後のもの)。

「東の羽生、西の村山」と並び称されますが、幼時より重い病にかかっていたため、闘病しながら将棋界を勝ち抜いていくことには常に苦難がつきまといます。わずか29歳でこの世を去るまでの生涯を、ただ淡々と、将棋盤に向き合う村山九段の姿から描き出します。

恋愛パートなどもほぼなく(一瞬、それらしき場面はありますが)、唯一村山九段の心のやりとりが深堀りされるのは、羽生現九段とのシーン。「青春」というと色恋になりがちですが、ともに高みを目指す二人が、お酒を飲み、不器用に言葉を交わしながら、お互いの存在を確かめ合う姿は印象的です。

この作品の原作はノンフィクションであり、多くの棋士が実名で登場します。(架空の棋士にもモデルが存在し、ご本人が出演されている役もあるのでその点が少々ややこしいのですが・・・)

実際の棋士を知っているだけに、演じる人の個性が強すぎると違和感を感じるものですが、この映画では村山九段役の松山ケンイチさんは体重を増量してまで熱演。東出昌大さんの「羽生九段」の完コピもお見事でした。演じきると「オーラまで」コピーされちゃうのですね。

将棋を知らなくても、頂点という誰もが行けるわけではないところを目指した一人の人間の生き様を十分感じられます。将棋を知っていると、「聖地」がたくさん登場する上に随所に小ネタが挟まれていて更に楽しめますよ。この映画を機に、将棋の世界もぜひ覗いてみてください。

↓ストーリー編を見ると、バックグラウンドが少し予習できます



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