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仕事の宗教学的解釈

すごい大風呂敷なタイトルになってしまったが、大学の宗教学レポートを書く中で仕事やサイエンティストとして学生時代から社会人までの十数年の生活と宗教とのつながりを感じたので、その共通点・相違点を文字化した。

宗教学的解釈と、書いたが自分は哲学を勉強し始めてまだ半年のペーペーなので間違いたくさんあるかもしれない。基本的に以下のの本を参照。

宗教とは? ー仕事との共通点ー

岸本英夫によると「宗教とは、人間生活の究極的な意味を明らかにし、人間の問題の究極的な解決にかかわりをもつ、と人々によって信じられているいとなみを中心とした、文化現象である」とされている。

私たちは、入社時から会社に属している間中、あなたはなぜこの仕事をしたいのか・あなたは人生で何を成し遂げたいのか、と問われる。

会社のミッションや状況、各人の立ち位置によって与えられるMustと、各人の個人的なWillを掛け合わせることを求められ続ける。そして、そのWillはMustとの距離が大きすぎない限り、Mustによって影響される。

この会社のMustは、宗教での信念に値するものである。信念とは、各宗教集団の教義であり、その信奉者の行動を引き起こす。

この観点で、仕事は、各人の生活の究極的な意味の探索を助けそれを解決する場であったりいとなみとして、宗教の意義と類似している

宗教の構成要素とは? ー仕事との比較ー

宗教は、宗教思想・宗教儀礼・宗教集団・宗教体験によって構成される。

1.宗教思想
 宗教におけるものの見方や考え方である。その対象は、人間・世界・宗教的実在である。
(宗教的実在観:究極的な拠り所としてのキリスト教における神や仏教における法のような新実存についての見方・考え方)
 仕事でもそれぞれの対象に関する認識があるが、違いは範囲の狭さと可変性・創造性である。人間観や世界観に関して、その対象とするマーケットや人口動態などの未来を含む人間や世界という狭い範囲であるが、属する企業や業界の定式化された仮説としての認識がある。
働く私たちは、個人の創造性によってそれに新たな解釈を加えることで、各人の描くよりよい世界(≒宗教的実在観に基づく)に向けて動くことが理想とされている。

2.宗教儀礼
 宗教儀礼とは、宗教的な目的を実現するために、一定の形式・順序に従って行われる象徴的な行為の体系である。これは、一般的に集団で行われ、人々の間に連帯感を高め、集団の秩序と維持につながるため宗教集団という観点で重要な位置を占める。

 各企業やその中の組織では、経営目標やKPIといった形で目標やルールが設定される。また、各企業や団体によって、表彰制度と関係する成功の定義や規制がある。

 さらに、宗教のはたらきは意味付けのはたらきであり、意味をあらわすために象徴が用いられる。象徴には、祈りや讃美歌といった言葉、合唱や舞といった動作、牛や蛇、樹木、寺院といった事物がある。会社では、社歌や皆で集って話を聞く機会、さらには社章のようなものが象徴にあたる。コロナ禍でリモートワークで会社における宗教儀礼の効力が弱くなり、帰属感や集団の一員としての責任などを醸成しづらくなり、その秩序を保つためのにくくなっているのではないか。

3.宗教集団
宗教集団は、先に述べた教義や儀礼を一つの伝統として保ち、伝えていくための担い手であり、思想・儀礼・人員・施設の四つの要素からなる。それぞれ、そのまま企業での構造にあてはまる。

また、宗教集団は社会集団との関係により、従属的宗教集団と特殊的宗教集団に分けられる。前者は血縁や地縁に従属し個人的な選択の余地がないもので、後者は人の自由な意思で選択可能なものである。ほとんどの場合で、仕事は特殊的宗教集団に当てはまる。

4.宗教体験
宗教体験は、個々の人間がその人格構造内部に宗教的態度を形成するための体験である。先述の教義・行動・集団の要素は、すべてこの個々の人間における宗教体験を源泉にする。

その体験は大きく3種類に分類することができる。
・教義を読んで人生や宇宙の真理を解釈して人生の意味付けをする知的体験
・悟りによる法悦や神の裁きへの恐れ、神の愛への感謝といった情緒的体験
・社会奉仕活動や修行などの宗教行動の実践などの意志的体験
これらも仕事と当てはめることは容易だろう。

宗教的な仕事の解釈というと、なんとなく盲目的に仕事にとらわれるような生き方を想像してしまっていたが、宗教の意義をもとにとらえなおすと、自律的な思考・行動が浮かび上がる。

仕事なんてお金を稼ぐため&人生の暇つぶしだよ~という考えもあるが、
仕事を人生の意味を見出すもの、見出した人生の意味を仕事でかなえる、というようにできるのは幸福なのだと思う。


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