【ライブレポ】6/18 転校少女* (不)定期公演
6/18(金)に渋谷のSpace oddにて開催された、5人組アイドルグループ・転校少女*の表題のライブに行ってきました。それにしてもこの(不)定期公演、会場や開催時期が定まっていないことから「不定期」と銘打っているのは分かるのですが、なぜそこに「()」を付けているのかは不明で、これは新規ファンの僕にとっていくつかある転校少女*の謎の一つです。
この日は同会場で2公演が開催され、一部は僕が行ったこの(不)定期公演、そして2部はこの日6/18に誕生日を迎えたメンバー・松井さやかさんのソロライブでした。
松井さんの誕生日ということで2部のみならず1部も特別で、メンバー各人の衣装はすべて松井さんの私服(おろしていない服もあったそうです)、そしてライブセットリストは松井さん考案というものでした。
驚くことに、この日披露された曲数はなんと11曲にも上りました。
1時間にも満たないライブ時間なので、通常であれば8曲程度が関の山かと思うのですが、大盤振る舞いのライブでした。
確かに思い返してみると、転校少女*メンバーはツイッターにてこのライブの告知をするときに「いっぱい曲を披露する」とは書いていました。
結果としては予告通りだったのですが、とはいえ平日の浅い時間帯開催のライブですし、そんなに頑張るのかな?と失礼ながら疑問だったのですが、終わってみれば下手したら土日開催のワンマンライブに匹敵するほどの曲数をやってくれました。
披露した曲数とライブの楽しさは必ずしも比例しませんが、たくさんの曲を聴けるに越したことはありません。
個人的にはたまたま休みが取れ、ちょうど時間も合うし行ってみようかなくらいのラフな気持ちで寄ったのですが、移動をめんどくさがらずに行って良かったと強く思います。
行って良かった。今回のライブに関してはもうこれに尽きます。
この日、松井さやかさんがライブの最後に「時間を作って来てくれてありがとう!」と言ってくれましたが、こちらこそ平日の夕方に余りあるほどのライブを観させてもらって感謝しかありません。
◆セットリスト・見出し
ライブレポに入っていきます。
①ほぼノンストップのライブ
トータルのライブ時間が1時間にも満たないのに11曲も聴くことができたのは、11曲がほとんどノンストップで披露されたからでした。
まずライブの入りから特殊でした。
ライブでは往々にして、開演時メンバーの登場に先立ってグループのSEやOvertureといった出囃子が流れます。
転校少女*にもovertureがあり、それが流れてメンバーが登場し一曲目に移るというのが通例なのですが、この日一発目に流れたのはOvertureではなく、いきなり一曲目の「Girl*s Time」のイントロでした。
先にも書いたようにこの日のセットリストは松井さん考案ということで、これもいつもとは違う特別演出の一つなのかなと思ったのですが、いま思うにライブ時間を確保するためには、1分程度のOvertureでさえ削る必要があったのでしょう。
②スモーク効果
ライブハウスでは往々にして、霧みたいなモヤモヤしたものがステージ上に立ち込めています。これはスモークというそうで、そのモヤモヤで幻想的な印象を持たせるという意図ではなく、照明の色をより強調させるというしっかりした目的のもとにたかれているそうです。
この日、特にそのスモークがいつになく強くたかれているように思え、そのおかげか照明だけでなくステージ上でのメンバーの姿を一層輝かせていました。
記憶に残っているのが、「With You」の冒頭、ソロを歌う塩川莉世さんの両脇を固めていた佐々木美紅さんと松井さんの髪色でした。
佐々木さんはブラウン、松井さんは数週間前に染めたばかりのグレージュ系の髪色でしたが、滞流するスモークがふたりの髪の毛の色をきれいに引き立たせていたように思います。
他の場面でも、ステージの中央でソロパートを歌うメンバー以外の姿は強めのスモークでかすみ、センターに立ち歌うメンバーは逆にピントが合っていくかのように浮き出てきました。
とはいえ、バラード系が多めの序盤にステージを占めていたスモークも、後半に向かうにつれてメンバーの動きによってステージがかき回されて薄れていきました。
スモークの薄まりは、盛り上がり曲が増えてきた終盤ではむしろピッタリで、霧が晴れた晴れやかな気持ちの象徴に思えました。
③盛り上がる曲でなくとも...
ライブの中盤、「星の旅人」~「プロムナードの足跡」にかけ、4曲連続でバラードチックであったりシリアスめな曲が続きました
転校少女*の曲の多くにはこうした「エモーショナル」な側面を持つ曲が数多くあるのですが、メンバーの素晴らしいところは、いわゆる盛り上がり曲ではないそうした曲を歌っていても場の空気をトーンダウンさせないことです。
ここにはメンバーのステージ上で見せる表情や指先の動きなどもさることながら、第一に歌唱力の高さがあると思っています。
単純にメンバー全員歌が上手いので、全く退屈しないというかむしろ聴き続けていたくなります。
ここからは何人かの歌声にフォーカスしてみます。
成島有咲さんは、ここ数カ月の間で単純に声量が増している気がします。
ボーカルの根幹を担う塩川莉世さんと2人で歌うパートなどでも、独特の伸びを見せる塩川さんの声に当たり負けしていません。
また、このふたりの歌声は近しい性質なのか非常によく混ざり合っていました。
成島さんは今年1月に加入したのですが、成島さんはじめ1月加入組のメンバー3人(佐々木さん、成島さん、佐藤かれんさん)は、この数カ月の間で転校少女*の持ち曲30曲程度のほとんどを仕上げたといいます。
これらの曲もライブ回数を重ねるごとに「解禁」されてきているので、今後もこうしたパートの組み合わせの妙をたくさん見られるのだと思うと楽しみです。
松井さやかさんは音の切れ目が比較的クリアなイメージで、これは例えば佐々木美紅さんや塩川さんの倍音気味な、音の広がりを活かした歌声とは対照的です。
ピアノっぽい音と言い換えられるかもしれません。
耳に入ってくる感触が良いです。
松井さんは歌い方も印象的で、とりわけ「エモーショナル」な曲のサビとなるとマイクを両手で包み込みながら、身体を前に傾けて歌います。
この姿勢だけでも歌に気持ちを相当込めていることが伝わってきます。
急激な成長曲線を描いていると感じるのが佐藤かれんさんでした。
リズム感が格段に良くなっていたように思います。
佐藤さん特有の明朗さはそのままに、テンポの大きな浮沈がありませんでした。
とても安定しています。
「With You」の2番Aメロ、成島さんの長いソロを受けてのソロパートもしっかりと歌い切っていました。
佐藤さんに関しては、歌声に加えて動きもよく見えました。
これまでも振り付けの動作がひと一倍大きいなとは思っていたのですが、この日まじまじと見ると、手を振り下ろすだけの動き一つとっても遠心力を活かしており迫力があります。
この日僕は下手側からライブを見ていたのですが、佐藤さんが真正面、いわゆるひとつの「ゼロズレ」ポジションに来たシーンが何度かありました。
振り下ろす振り付けは、そんなゼロズレポジションだと特に強く食らいます。
そんな佐藤さん、エピソードにも事欠かなく、ライブ終盤には勢いあまって靴が脱げてしまったようでした。
片方の靴はステージとフロアの間の段差下に落ちてしまっていました。
ライブ終わり、佐藤さんはステージ上に残ったもう片方の靴だけを手に持ってステージを後にしていましたが、この背中はなんとも寂しいものでした。
シュールな光景なのですが、これも振り付けの勢いと同様、靴が脱げてしまうほど身体をいっぱい使った動きをしていることの現れだと捉えています。
その激しさには、身に着けている靴でさえもついてこれないほどだったのでしょう。
④ノンストップでも余裕が
MCもそこそこに、ほぼノンストップでパフォーマンスを披露したこの日、数曲を終えた時点でメンバーの顔には汗が結構浮かんできていました。
早くも前髪が乱れてきているメンバーも居ました。
途中でしっとりめの曲も挟まれたのに大粒の汗をかいているというのは、メンバーは振り付けやフォーメーションだけでなく、歌声にも相当の神経を使っているということなのでしょう。
そのこともあってか「プロムナードの足跡」くらいからは心なしか空調のクーラーが強まったような気もしました。
しかし、そんなタフなライブをこなしながらも、メンバーからはどこか余裕が見られました。
「100年キミだけ」では佐々木さんと塩川さんが向かい合って何やらふざけあっていたり。
「NEVER ENDING STORY」では松井さやかさんが「変わり始める夢物語 加速させるよじっとしてらんない」というサビパートをオリジナルのメロディーでは無く、おそらく松井さん独自の高音ハモリで合わせていたりしました。
先述のように、1月加入の佐々木さん、成島さん、佐藤さんはここ数カ月で一気に転校少女*のほぼすべての持ち曲を仕上げました。それにもかかわらず、覚えたての曲に引っ張られている感じはまるでありませんでした。
怠慢ゆえライブレポには残せなかったのですが、2週間ほど前に転校少女*は前名義の「転校少女歌劇団」時代のグループ結成初期にリリースした曲をノンストップで披露するライブを開催していました。
新メンバーにとってはそこで初披露となる曲も多くありましたが、そこでもなんの迷いもなく、まるで結成当初から付き合ってきたかのように扱っていたのは素晴らしかったです。
繰り返しになりますが、平日夕方という微妙な時間帯に開催されたこの日のライブでしたが、細部に感心するばかりの、非常に満足のライブでした。
見出し画像:転校少女*公式ツイッターアカウント画像(@tenkoushoujo)を改変