ぶつける先のない怒り
頭に来ることがあったので聞いていただきたい。
私、母、姉の三人でお茶をしていた時のこと。
姉が「報告があります」と立ち上がった。
立ち上がったその身体が、いつもより大きい感じがした。
何を言うかと思えば、「息子が生まれることもあり、人生を見つめ直した。改めて、ホテルの支配人を目指すことにした」と言った。
姉がどんな人生を送ろうが勝手ではある。
ただ、経済的に頼りにならない弟としては、安定している姉であることが望ましいというのはある。
問題はそこではない。息子が生まれる?
聞いてないんだけど。だから身体が大きくなっていたのか。
以前、私に恋人ができたとき、後にそれを知った姉は
「なんで教えてくれないの」と言っていた。
おいおい、なぜ自分には適用されぬのじゃ。
そもそも相手は誰なのだ。
「配偶者の方は?」と私は聞いた。
「配偶者はいない」と姉は答えた。
私はすぐに察した。不倫である、と。
それがあまりにも悔しくて泣き出してしまった。
不倫は良くないとかいうつもりはない。
だが不倫相手を妊娠させてしまうのはいただけない。
恋に落ちてしまうのは仕方がないかもしれないけれど、
気が付いたら妊娠していたなんてことはありえない。
何かをしたから妊娠したのだ。
100%ではないにしろ、妊娠しないようにすることだってできる。
何を考えてこのようなことになってしまったのか。
私は姉に言った「会わせてくれ」と。
まず殴るつもりだった。
余計なお世話だし、自分の尺度でしか判断していないのだけど、
姉を傷つけるようなことをして許せなかったのだ。
普段の私は、そんなバイオレンスな人間ではない。
そしてそこまで姉のことを大切に思っているわけでもない。
どうしようもない怒りを覚えたところで目が覚めた。
そう夢の話だ。
頭に来ることはあれど、この話においては、見ず知らずどころか
存在すらしない人に怒っていた。
わしは暇人か。
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