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【番外】星の汀さんの愛のことば「アモールとプシュケー」より

星の汀さんの紡がれる言葉はいつもとても細やかで美しいのですが、それにとどまらず、深く本質を貫いています。

創作大賞への応募作品として連載されていた【アモールとプシュケー】(全10話)を、私はのんびりと時間をかけて味わわせていただいているのですが、やっと半分を超えた第6話でついにノックアウトです。

永遠の命を持つ愛の神と、定命じょうみょうである人間の娘との愛のやり取りの中に、愛というものの本質が凝縮されていたからです。

今はゆっくりと言葉を紡げないので、私が特に感じ入った汀さんの愛のことばを引用させていただくに留めようと思います。

永遠に若く美しいまま愛し合えるのなら、狂おしく求める必要なんてない。苦しいくらい愛おしいこともきっとないのでしょう?

星の汀note「アモールとプシュケー〈6〉愛のゆくえ」プシュケーの台詞より

アモールは言ったのだ──同じひとつの命として分け隔てなく愛してほしい、と。

同 プシュケーの心の声

「──はじまりはおもいの矢だったかもしれないけれど、愛し合うということは、自分を明け渡し、ゆだね、命を預け合うことだったのだって、冥府で気づいたの。──このからだをあなたと分けあって、善いことも悪いことも、哀しいことも喜びも、わたしがわたしであることの苦しみも、あなたが半分になってくれたの。あなたの半分を、きっとわたしが引き受けたの。わたしがあなたになって、あなたがわたしだった──だから、あの坂も正気で通り抜けられたのかもしれない」

同 プシュケーの台詞より

わたしが死んだらもう誰も、この想いを覆すことはできなくなるもの。そうよ、わたしは死をもって、この愛を完成させるの。そうするより他に、できることはないのだもの

同 プシュケーの台詞より

プシュケーの決意のなんと尊いこと。愛の神であるアモールのほうが迷いに流されているように見えます。
魂同士の激しく触れ合う完璧な愛の絶頂を経た者、共に永遠に生きることが叶わないのなら、「死をもって、この愛を完成させる」というプシュケーの決意は正しい。

こんなに美しい言葉で愛の本質が語られた、これは完成度の高い芸術作品だと感じました。いつかこんな言葉が紡げるように私もなってみたい、という憧れも込めて。
汀さん、今ごろ、しかも読み終えてもいないのにご紹介、まことにすみません。
読み終えて改めて、書けそうなら書評を書かせていただくかもしれません(いつになることやら)。

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