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多国籍になってしまった/小さきアプリ屋の悩み

最近、ITバブルだという声をよく耳にするようになった。羽振りの良い若い兄ちゃんらがいっぱいいる、職業を聞けば、またIT系だ。

そんな実感は私にはない。

取引先は増えないし、請け負う単価も上がらない。この五年、売上は何も変わらない。減りもしないし増えもしない。

変わったのは、求人だ。エンジニアの求人を出しても、一人も応募されなくなった。本当に、誰一人として応募してくれない。

求人は、かつてのバブル期を超えているらしい。

こないだ、大手印刷会社の営業部長さんと世間話をした。少子化で、新入社員数が退職者数を下回っているらしい。企業の成長には人がいる。人が減ってしまうと、仕事が減ってしまう。売上が下がることになるので、人材確保が目下の急務らしい。でも、少子化という若手の絶対量が減っているので、為す術がない。

ITバブルの実感は全くないが、子どもたちのなりたい職業でITエンジニアが一位になるくらいだから、若手の人材の多くは、IT業界へ流れているのかもしれない。勿論、大手企業や人気ベンチャー企業に、だ。うちには一人も、扉すら叩いてくれない。

ところで、求人で一人も応募されなくなったというのは、日本人に限ったことだ。実は、それに反比例して、外国人の応募が右肩上がりに増えている。外国人を扱う人材会社の営業メールや電話も目に見えて増えた。

日本文化の日本式企業に、突然、異文化の外国人を雇い入れるのは、かなりのリスクがある。このグローバル社会に何を言うかと思うが、現実の金の問題は難しい。長い目で見れば、外国人を雇い入れて教育しなければならないが、その投資額は馬鹿にならない。

だがやはり、日本人の若手がどんどん減っているのは一時的な現象ではなく、この先もずっと変わらないだろうから、どうにも打破できない日本のこの状況に対応するには、ここで一時的に売上が下がってしまっても、外国人を受け入れる覚悟をどこかでしなければならない。

今、うちでは、正規のエンジニアが、私以外に日本人がいない。少し前から、うちは多国籍になってしまった。

日本人の仕事に対する姿勢は、理解できないことがかなりあるようで、文句がかなり飛び交っている。特に言われるのは、

・何故、残業する前提の納期になっているのか

これだ。十数年、IT業界にいて、これが当たり前のことだったので、改めて考えさせられた。

発注元は、金を出しさえすれば、どんな短い納期でもやってくれると思っている。請負側は、休日をなくしてでもその金以上の期待に応えるのがサービスだと思っている。

外国人たちからすれば、全くもって理解不能らしい。サービスとは可能な時間に妥当なものを提供するのが当たり前だという。

確かに、そうなんだろう。世界から見て日本の働き方がおかしいのはなんとなく分かる。それで、うちだけが、多国籍になってしまったついでに国際化した体質に変化させても、取引している周囲が日本式企業なんだから、うちが嫌われることになるだけだ。

意図せず多国籍になってしまったことで、新しい発見はある。それが楽しかったりもする。だけど、しばらくは日本は変わらない。今日も、明日も、外国人たちは私を悩ませる文句をいっぱい言うだろう。

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