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【続いてる写経 855日め】〜読むべき順番

長いこと積読本となっていた『同志少女よ、敵を撃て!』を読了。
第二次世界大戦の時、ソ連が養成した女性狙撃兵のフィクションで、2021年本屋大賞にも選ばれた話題作です。

まずは一言。『同志少女よ、敵を撃て!』は、第二次世界大戦の独ソ戦関係の本を読むなら、最初に読むのが最適と思います。

というのも、本作は話題になっている関係書籍をベースに書かれたものだからです。特に、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』は主要な元ネタとのこと。
確かにこの本に書かれていたエピソードが使われていました。

ワタシはたまたま今の侵攻が始まった時に『戦争は女の顔をしていない』を読んでいたので、どうしてもそちらのネタ本に頭が引っ張られてしまいました。

『同志少女』を積読にしていた理由も、またあの戦争の内容を読むのが辛かったから。
ただ、なんとなく数ページ読み始めたら、小説として面白かったので(この表現が適切かどうかは悩みますが)、どんどん読めました。
特に狙撃兵を養成するシーンや、最初に人を実際に撃つまでの心理的葛藤は興味深かったです。

ただ、内容的には割と安心して、どんどん読み進められたのです。理由はおそらく、『戦争は女の顔…』を読んでいたため、ある程度の類推ができてしまったからだと思います。

しかも最後まで読んだ方はわかるかと思いますが、楽屋オチ的なエピソードにはちょっと苦笑…。

なので、純粋に小説として読みたいのであれば、『同志少女…』は最初に読むことをお勧めします。

このご時世、戦争を題材にした小説を読んで、娯楽性を求めてしまうことに気が引けるかたもいるかもですが、ワタシは小説やマンガのような娯楽ジャンルから、世界で何が起きたのかを知ることができるのは、ありがたいことと思います。

作者が噛み砕いて整理して、さらに人間的な葛藤を描いて、読者に寄り添ってくれているからこそ、歴史的な悲劇にも向き合うことができるのです。
語り部なしだと、戦争モノはやはり辛いです。

例えば『独ソ戦』(大木毅・著)と、岩波新書で話題になった独ソ戦研究の本は、事実の積み上げなので、研究書としては素晴らしいのですが、読み進めるのは非常にしんどかったのです。
今回『同志少女…』を読んで、『独ソ戦』で解説されているこの戦線の狂気も、わずかながらわかった気がしました。

『同志少女…』は、ウクライナ侵攻以前に出版されている事実も合わせ、舞台となっている国の政治家には、ぜひとも手にとって心を改めていただきたい、そう願います。

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