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【気づき】

 さて、ここからが本題。様々な関係性の人たちと多く会っていると、人は大きく分けると2つのタイプになるのではないか? と私は思うようになってきた。

 それは、”保守的な人”と”そうではない人”だ。

 言っていること、やっていること、過程と結果。仕事における様々なシーンを見たり聞いたり体験する回数が増えると、だんだんそう思うようになってきた。そして私は、常に”そうではない人”でありたいと考えるようになった。裏方という仕事柄、私が尊敬できる人に”そうではない人”が多く、自分もそうありたいと思っているからだ。これが【プロローグ②】でキレイゴトと表現した考え方の源となっている。

 ”そうではない人”とは一体?

 この発想が生まれたのは、自分はこうなってはいけないな、という人間観察を意識するようになってからだ。キッカケは、あるタレントと仕事をするうえでの心がけを議論していた時。タレントは好感度が大切だから自分を客観的にみれるようにならないとダメだと思うと話し、そのタレントも確かにそうだと理解してくれた。その時、タレントだけでなく自分もそうだな、と思ったのだ。つまり自己中心的な人では周囲からの評価はなかなか得られないということだ。

 それから、自分が嫌悪感を感じた相手の特徴を忘れないようにメモしはじめ、それを自分自身から単純に消去していくことを意識してみたら”そうではない人”になれると気がついた。”そうではない人”という表現しか思いつかないのだが。

 では、何を消去していったのかというと、あくまでも私観でだが”保守的な人”が共通して持っている様々な特徴だ。目的を持って仕事を進めていくうえで邪魔になってしまう、誰でも少なからず持っているであろう本性であり人間らしい部分だ。この人間らしい部分が時には、特に組織で動くうえでは、周囲に悪影響を与え仕事が円滑に進まない原因となっているケースが多いと思う。

 


(以下、なるべく簡潔に伝えたいので、文章のまとまりを【A】【B】【C】と括る)


【A】枚挙に遑がないが、”保守的な人”に見られる、これまで私がメモしてきたキーワードをあげてみる。「自己中心的」「虚栄心の塊」「見栄っ張り」「理解に苦しむプライド」「ナルシスト」「表面は良いが中身がない」「異常な承認欲求」「他人の目を常に気にする」「チヤホヤされたい」「太鼓持ち」「口のみが達者」「思い通りにならないと怒る、もしくは病む」「楽な方に逃げる」「その場の取り繕いのみ頑張る」「必ず言い訳をする」「口数が少ない」「理由なき天邪鬼」「自分を肯定する人以外断固受け入れない」etc…。今後も新たな経験や出会いをする事で、私の中のこの引き出しはどんどん増えることだろう。


【B】しかし私にとって【A】の発見は非常に有り難い。自分は開けてはいけないと思えるこの引き出しがたくさんできることによって、反面教師すれば自然と”そうではない人”になれるからだ。自分はこういう人間であろう! と頑張って考えなくて済むし、自分を変に作らなくても良いのでとても助かっている。我ながら性格が悪いのかもしれないが、私なりに見つけ出した良い仕事をしていく方法なのだから仕方がない。私にとって仕事とは、経験値と情報とスキルを武器に、ロジカルに物事を考えて行動しタレントのために結果を出す連続。あとは常に【A】の引き出しを開けないようにしておけば、変に無理をしなくても周囲が勝手に私というイメージを形成してくれて楽に働ける。それは楽しい事だから、いつしか私の個人的な欲求や感情を満たそうという発想も起きなくなった。逆を言うと、そういう相手がいてくれてのことなので、自力では面白みのない仕事人間であるとも言えると思うが。


【C】そして”保守的な人”から受ける【A】を、付き合いが浅い相手から得るのはなかなか難しいのだが、私はなるだけこういった部分を相手から掘り下げられるよう意識的にコミュニケーションしている。そのために様々なテクニックを使う。初対面でも、ワザと相手が怒るかもしれない言葉を発してみたり、逆に異常に褒め続け相手の思い通りにやらせてみたらどうなるのかをみてみたり。あるいは闇雲にこっちから話しかけて、どのくらいの速度でどんな返しをしてくるのか試してみたり、時にはこちらがピエロになり反応を見てみたり、などなど。このようなコミュニケーションを試みると、相手が”保守的な人”か”そうではない人”か、大体の想像が出来上がる。そして、さらに深堀していって、信頼がおける相手かそうではない相手かを判断する。当然、それでもなかなか分からない経験が豊富な強者もいるので、自分が仕事をしていくうえでキーパーソンであるならば、分かるまで執拗に続ける。そうして自分なりに判断できてから、晴れて迷いなく全身全霊で一緒に仕事をやっていこう、という気になる。【A】の要素がめちゃくちゃある人とは、本来極力関わりたくないのだが、そうも言えないのが社会なので、その場合はかなり割り切って付き合う。これが現在の私が持っている仕事に対するスタンス。シンプルに言えば相手を知り関わり方を決める、という行為だ。

 以上、この【A】【B】【C】の内容を整理して上手に活用すると、社会人が仕事をしていくうえで非常に役立つ、というのが最近の私の気づきなのだ。

 この考え方は、役者という仕事で例えると、実はすんなり理解できる。

 役者は、当たり前だが役者である前に1人の人間だから、当然個人的な欲求もある。今回で言えば【A】の要素だ。ただし、配役が与えられ、セリフがあって、そしてシーンを作るために自分ではない別人になる。そういう仕事だから、役者が仕事を全うするためには、まずは【A】を排除し【B】である必要があると思う。 

 ただし、役者は単に【B】だけでは売れない、というのが決定的に私には真似できない点だ。役者は、時には【A】も使いながら【B】でいる必要があると思うのだ。私は役者ではないけれども役者をマネジメントする仕事をしてはいるので、想像の範囲で恐縮なのだが書かせて頂く。

 

 【A】は、言葉の印象だと悪口に感じるかもしれないが、裏を返すと個性でありその人の魅力でもある。私のように、自分の業務を遂行するために【A】を排除した人間は魅力的ではないと思う。役者には芝居力はもちろんだが、人気を得るタレント性も必要なので、【A】がある事で、良くも悪くも印象には残るし、芸能人にはその人間臭ささが実は必要不可欠な要素でもあると思う。ポイントは【A】のみではダメだという事。そこに、いかに【B】を混ぜ合わせ、自分が主張したい個性と周囲から求められている自分を整理して表現できるか否かが、売れる売れないの分岐点になると思う。それを意識せずにできてる人は天才だ。しかし、大抵の人は意識的に努力しないと会得するのは難しいだろう。【B】しかない私にとって、実は憧れの人物像である。
 【C】は、役者に置き換えれば芝居中の実践のひとつだ。役者たちはこの【C】を行えるように演技レッスンやワークショップでスキルを会得すべく頑張っている。私の場合は現実なので、出来事をそのまま受け入れて進めれば仕事になるが、役者は台本があり設定はあるが現実ではない。フィクションの中で【C】をあたかも現実のように魅せることが芝居なので、演者同士に高度なスキルが求められる事は間違いない。


 そしてこの例えは、実は企業に勤める社会人の方々にも当てはまるのではないだろうか? と私は思ったのだ。


 適度な【A】でタレント性を持ち【B】もしっかりできて仕事も手際よくこなす。しかし【B】を得るためには【C】を実施して【A】を知り、状況に応じ意識的に自分から【A】を捨てられる、客観的に自分をみれる冷静さが必要となる。【A】+【B】+【C】を上手に使い分け立ち回れる人が、私が思う理想の社会人の姿なのだ。

 

 普段、所属の役者たちが日々励んでいる演技レッスンを応用する事で、企業に勤める社会人の方々でも【A】+【B】+【C】がきっと会得できると私は考えている。役者は【A】【B】【C】をシーンに合わせ、どう配分して芝居に落とし込んでいくか、その引き出しのパターンをどれだけ多く持てるかのレッスンをひたすら行なっている。開けるべき引き出しと開けない引き出しを、常に取捨選択しながら瞬発的に考えて演じる。そして意識していないだけで、実は現実の仕事でもそんなシチュエーションが数多くあるはずだ。だが現実となると、例えば失敗をしたら、得意先や上司に怒られるし、反省するがまたミスをして怒られたり、そんな事を何度も繰り返して、ようやく自分の能力が成長していくのだろうが、役者のレッスンは、言ってみればそれらを疑似体験できる場なのである。


 私は、最初は所属する役者を売り込むために必要な情報が欲しくて、時間を作っては演技レッスンを見にいくようにしていた。だがいつの間にか、講師が話すことやそれを理解し芝居に励む役者たちの姿をみていくうちに、これは、実社会で頑張る社会人すべての方々にもきっと役立つはず、と思い始めてきたのである。




【社会人に役立つ演技レッスンの内容とは】に続く。

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■ASOBISYSTEM執行役員■主な業務:マネジメント全般/営業全般/etc…■好きな芸人:ですよ。■苦手な事:洗濯物をたたむ事■嫌いな女性のタイプ:アキエフジン■好きなコメンテーター:テレビ朝日の玉川さん■好きなシーン:猫がトイレしている姿