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【プロローグ②】

 マネージャーはあくまでも裏方。タレントの売り込み方を試行錯誤するのと同時に、タレントの不安や精神的苦痛、健康維持、時には厳しい口調で叱咤激励するなどなど、様々な方法でサポートをする。そうなると当然、日々考えることの第一優先はタレント。自分の事は2番目以降だ。プライベートを犠牲にしてでも。この環境こそが、大抵の人には最大の試練となり、社会人としての技量が試されるポイントになると思う。世間には、このようにがんばる人を〝社畜〟などと揶揄し馬鹿にする人がいるけれど、私はそうは思わない。むしろ仕事で得られるスキルほどお金に代えられない貴重なものはないのに、、、と思う。勿論、価値観は人それぞれだから否定も肯定もしないが。

 この話は芸能界に限らず、一般企業の会社員でも同じ事だと思う。芸能マネージャーという仕事は立場だけで言えば、おそらく一般企業の中間管理職と環境が近いのではないだろうか。部下の面倒も見る必要があるし、上司からの無茶振りも来るし、業績も上げねばならないし、、。「何のために仕事をしているのか」と壁にぶち当たりストレスとなる。だからきっと、家庭を持ち子供をつくったり、熱中できる趣味を持ったりして、せめてもの自分への癒しと生き甲斐をつくり、仕事を頑張るのだと思う。

我ながら、とても当たり前でつまらない事を書いていると思う。。


 ところが、だ。芸能マネージャーが接するタレントは人間である。つまり意思があるからマネージャーやスタッフの考えだけで進めることはできない。【プロローグ①】で書かせて頂いた通り、タレントとマネージャーは表裏一体だ。実は一番大切なのはタレントよりも自分の事だ、と考えている人にしてみたら地獄のような職業だと思う。タレントのために費やす時間と自分のために費やす時間の優先順位が、ごちゃついているようでは両立は至難の業となっていく。自身が〝悲劇の主人公〟にならないようメンタルの強さが必要となる。おまけに人気商売故にグラつきやすいマネタイズの安定性を保つのだから、毎日気が気じゃない。私の知っている範囲での他の職種に比べると、かなり高度なセルフマネジメント力が必要になると思っている。私もこの事を理解し飲み込むまでに数年かかっているし、今でもうっかり自分のエゴを優先にしてしまいそうな時がたまにある。そんな時はすぐに客観的に自分を見直し、自制するよう言い聞かせている。数年前、とあるTV制作会社の偉い人がこんな事を言っていた。「売れたのはタレントの能力。売れないのはマネージャーのせい」。とても心に刺さった事を今でも覚えている。

 では、何が楽しくてこの仕事に就いているのか? マネージャーとは永遠に報われない職業なのか? 素朴で当然な疑問だと思う。これが不思議なのだが、その働くやる気の源と仕事の魅力が、アソビシステムにいればこの先ずっと続く、と私は本気で思っているのだ。


 まず、私は他の芸能事務所で働いた経験がないので、他所の事はわからず書く事をご了承頂きたいが、前述した通り、芸能マネジメント業はタレントという人間を売る。マネージャーがタレントの本音も聞かず、ただ売れば良いというわけではない。もっと言えば、自分が評価されたい、などと思いながら売り込んでいるマネージャーでは、タレントとの信頼関係が生まれているはずもないから、いつまでたってもそのタレントは活躍できないと思う。マグレで売れたとしても一発屋に止まり長続きはしないだろう。いつしかタレントからも不満が出るはず。そのような人はマネージャーには不向きだと思う。アソビシステムの良いところはタレントとの距離が近く会話が多く、仕事も決して強制はしない。普段からの信頼関係を第一優先にしているから、タレントの個性に合わせた仕事が自然に生まれている、と私は思っている。勿論、仕事だからお金を稼ぐ事も大切な業務なので、話し合いをしながらタレントの理解と信頼を得ながら進めていく。それがまた楽しくもある。自然と自分の事よりも、信頼してくれているタレントの将来を優先し、意地でも売ってあげたいという感情が生まれる。
 
 次に、おそらく他の芸能事務所にはないアソビシステムで働くことが楽しい点は、芸能では珍しくベンチャー企業で社風が自由なところだ。社長の人柄もあるが、アイデアが出しやすくそれが実践しやすい。私自身も社長に新しい試みを定期的に提案しジャッジを仰いでいる。社長から依頼をされプロジェクトを創ることもある。企画を考えることはシンプルに楽しい。社長からOKが出て、プロジェクトを実践してみて、想定通りにうまく事が運んだ時はさらに嬉しい。若いスタッフから新しい情報を得るのも楽しい。今の環境は私にとって理想的だ。ただし、そのアイデアを出そうと思える源にあるのは、決して自分が評価されたいからではない。繰り返しになるが、タレントをヒットさせたい、タレントが喜んでくれる事が目標だと、本気で思って動いているから更に楽しいのだ。


 これを読んでいる人の中にはキレイゴトに聞こえる人がいるかもしれないがそれでも構わない。これはあくまでも私の持論だが、自分が会社員として給与をもらい生活させてもらっている以上「献身的に働く」ことを最も重要視している。その献身先がタレントであるだけの話なのだ。


 芸能に身を置く人間で、自分が評価されるために、例えば、出世のために俗に言う社内政治に精を出すような輩は不毛な行為で馬鹿だと思うし、そもそも生理的に大嫌いだ。芸能界が形のない究極のサービス業であり水商売である以上、自分の評価を自ら求めるような働き方をしていては絶対にダメだと私は考えている。求めずとも評価は周囲が勝手にしてくれる事。タレントとの信頼関係も自然と生まれる事。これまで様々な経験を経て、様々な人たちと出会った事で、芸能界で働くのはこういう事だ、という結論に行き着いた。おかげで何の迷いもなく毎日楽しく働かせてもらっている。

読んで字のごとく”仕える事〟と書いて仕事。芸能マネージャーにおける仕える先はタレントなのだ。(ちなみにタレントが仕える先はファンである)

何故このようなキレイゴトを本気で言えるようになったのか、、。


【気づき】に続く。

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■ASOBISYSTEM執行役員■主な業務:マネジメント全般/営業全般/etc…■好きな芸人:ですよ。■苦手な事:洗濯物をたたむ事■嫌いな女性のタイプ:アキエフジン■好きなコメンテーター:テレビ朝日の玉川さん■好きなシーン:猫がトイレしている姿