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【プロローグ①】

 芸能マネージメントという仕事柄か、多岐にわたる事業や業務を行ってきたせい(おかげ?)か、ASOBISYSTEMで働くうえで、サラリーマンと一言で済ませるには、あまりにも能力の多様性と高いスキルが求められる会社だと本当の意味で気が付いたのは40歳を超えたあたりの頃だ。

 私は勤務歴が長く「なんでもする人」という立場で仕事をすることが多かったため、自分のスキルが直接的に周囲へ影響を与える場面も多く、必然的に責任というストレスに飲み込まれ、働く事が苦痛に感じる日々が続いた頃があった。そんな過酷な業務の中、ごく自然に光明が差したのは、役者のマネジメントを始めた頃からだった、と今だから思える。


 これから書くことは、あくまでも今現在での私個人の見解なので、全ての人に受け入れられるとは思っていない。ただ、劇的に自分の仕事に対する考え方に転機を与えてくれた経験談であり、誰にも話した事のない自分の生の言葉として初めて文章に起こしてみようと思う。のちに予定しているマガジンタイトルの意味も、全て読み終わった頃に、なるべく多くの人にわかって頂けるように頑張って書いていきたいと思う。




 まず芸能界という環境に身を置く人間は、相当にサービス精神が旺盛な人間でないと、とても務まらないと思う。表舞台で活躍するタレント。それをサポートするマネージャー。売り込みを担当する営業マン。人気商売故に世間の動向に常にアンテナを張り巡らせ、時代の波に乗り遅れないように、常に新しい人気を生み出すコンテンツの創造力を、タレントも含めた全スタッフが総動員で行う。そして忘れてはいけない、事務所全体の維持と社会的立場を守るバックオフィス陣。これら全てのスタッフが一枚岩となった芸能事務所から、初めて1人の売れっ子タレントが誕生する。

 多少辛口になるが、偶発的ブームに乗り付け焼き刃で芸能事務所ごっこ(に見えてしまう)の即席組織や、勘違いによる個人の自信のみでなんとかできると思ってしまっているタレントモドキ(該当の方ごめんなさい)では、それなりの売れ方や商売の規模感に止まる。場合によっては人知れず消滅してしまう。そういった人々をここ10年強の間に山ほど見てきたので、おそらく間違いないだろう。芸能界とは非常に厳しい業界である。


 そして、芸能界において最も人間力の強さが必要とされる職業はタレントだ。タレントは、自分の人生をかけ、収入の不安定さよりも夢を優先して業界に飛び込み、自らの姿と名前を世間に公表して就いた覚悟がある。その先には、一般人では得られない人生における喜びと成功が待っているからだろう。人気を得るために努力する刺激的な日々と充実感はかけがえのないものだろうし自分自身の活力となる。そしてひたすら高みを目指すやり甲斐こそがタレント業の最大の魅力なのだろうと、私はいつも自分事のように想像し思っている。そして当然、人間的に未熟であれば社会的制裁もタレント個人へ直接的にリスクとなる不安が常につきまとう…。とても私にはマネできない。本当にかなりの覚悟が必要だと思う。

 他方、そのタレントを徹底的にサポートするのが裏方であるマネージャーだ。職業という観点でみれば会社員なので、タレントに比べれば個人的リスクは数段少ない。だから私のような人間でもやれているが、その代償として、タレントを売るための労力と業務は多岐に渡る上に、予想のつかない事態に直面し問題を解決する日々の連続でもある。タレントの覚悟に遅れてしまっていては業務にならないし、自分の事のように、場合によっては自分の事以上に、常にタレントを守る必要がある。あらゆる事態に備え想定し準備を怠らず、タレントがタレント業に邁進できるようサポートし続ける必要がある。私も日々精進している最中だ。


 つまり、タレントをする人間とマネージャーをする人間に必要な素養は全く真逆であるべきなのだ。そして、タレントの表舞台で活躍する覚悟と、マネージャーの裏方に徹する熱量は表裏一体、常にイコールで結ばれた信頼関係が築かれていないと、成立しないビジネスなのだと私は思っている。




【プロローグ②】に続く。

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■ASOBISYSTEM執行役員■主な業務:マネジメント全般/営業全般/etc…■好きな芸人:ですよ。■苦手な事:洗濯物をたたむ事■嫌いな女性のタイプ:アキエフジン■好きなコメンテーター:テレビ朝日の玉川さん■好きなシーン:猫がトイレしている姿